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ゴブリンとわたし

  シリウスと走る事3時間と数十分、ダムスの森に到着しました。

  ここからは戦闘力の無いシリウスは危険なので送還します。

  わたしは1人森の中に踏み込みました。

  森と言っても普段から樵達が出入りしているので、樹海の様な足場の悪さなどは有りません。

 しっかりと人が歩ける程度には整備されています。

 しかし、人が歩きやすいと言う事は、ゴブリンにも歩きやすいと言う事です。

  周囲を警戒しながら30分程歩いた所に樵小屋が姿を現しました。

  樵達は森での仕事中、この樵小屋を拠点にしで樹木の伐採を行います。


  この辺りでゴブリンの群れが目撃されたそうなのです。

  わたしは、樵小屋を中心にゴブリンを探しました。


「あ、これは!」


 薬の材料になるキノコを見つけました。ラッキーです。


「ここにも」


  今度は薬草です。

  この薬草は採取するのに少しコツがいります。

  採取に失敗すると薬効が無くなり、毒性が出てくる扱いが難しい薬草です。

  先ほどのキノコも良く似た毒キノコが有り、見分けるのが難しいものです。

  わたしは薬師の知識のお陰で手に取るように分かるので問題ありません。

  恐らく、こう言った特殊な薬草やキノコは余り冒険者に採取されないのでしょう。

  少し森を散策しただけで、そこそこの収穫が有りました。


「これを納品するだけでゴブリンの報酬を軽くこえますね」


 この薬草やキノコは常時、買取してくれるはずです。しかも、見分けやすい薬草より効果が高いので買取額も高価です。

 ホクホクです!


  採取しながら森の奥に向かっていると、動物の骨を見つけました。

 何者かに食い散らかされたようですね。余り時間がたってないようです。

  わたしは慎重に進みます。


 !!


  背中に走ったゾワッとした感覚に従い、わたしは咄嗟にその場を跳びのきした。

  次の瞬間、寸前までわたしが居た場所に雑な作りの矢が刺さります。

  動物の骨を削り作られた鏃には液体が塗られています。

  毒薬ですね。

 解毒剤を作れるとは言え場合によっては命を落とすかも知れません。

  何処から射られたのでしょうか?

 わたしは意識を集中させて周囲の気配を探りました。


 キン!


  僅かに風を切る音を感じ、飛んできた矢を反射的にショートソードで斬りはらいます。

 武芸百般の技能のおかげですね。


  矢を放ったのは少し先の木の陰にいるゴブリンアーチャーです。

  素手ないし木の棒などで武装したバンデットゴブリンと呼ばれるヤツですね。

  ただのゴブリンならこのバンデットゴブリンをさします。

  ゴブリンアーチャーはその亜種です。

  しかし、数が多いです。

  見た所、30匹以上います。不味いですね。

  これは恐らく上位種が居ます。

 先日買った魔物図鑑によると、通常ゴブリンは3~7匹で群れをつくります。

  30匹以上が群れて行動しているなら、上位種が率いている可能性が高いです。


「断ち切れ 水の刃 アクアスラッシュ」


  わたしは3匹のゴブリンを纏めて魔法で切り裂いて駆け出しました。

  ゴブリン1匹、1匹は大して強くは有りません。

  脚で撹乱さて各個撃破していきます。


 28匹のゴブリンを切った後、少し離れた所に更に6匹を見つけました。

  どうやら逃げようとしている様なので回り込みます。

  森の中の少し開けた場所に居たのは、人間の大人くらいの体格で、冒険者を殺して奪ったであろう剣と革鎧を付けた魔物、ホブゴブリンでした。

  ホブゴブリンを護衛するかの様に5匹のゴブリンが剣を構えます。

  ゴブリンの亜種、ゴブリンソルジャーの様です。ゴブリンソルジャーと言っても、剣術が使える訳では有りません。

  1匹1匹確実に倒して行きましょう。


「さあ、後は、あなただけですよ」


 あっという間に残り1匹となったホブゴブリンが剣を抜き襲いかかってきます。


「グガァ!」


  横薙ぎに振るわれた剣をしゃがんで躱わし、革鎧に守られていない喉を突きます。

  ホブゴブリンは躱そうと首を捻りましたが、首を大きく切り裂くことが出来ました。

  ダメージに体勢を崩した所を狙い首に刃を落としました。


  その後、辺りを見回りましたがゴブリンは発見出来ませんでした。

  ゴブリンとホブゴブリンの討伐証明である右耳と心臓の中にある魔力の結晶である魔石を回収して死体を始末します。

  ここが街道なら埋めるか燃やすのがマナーですが、幸い森の奥なので、野生の動物や他の魔物に食べられるでしょう。


  さてガナの街に帰りましょう。

  ホブゴブリンの事を報告しなければなりません。


  わたしは森を後にしてシリウスと街道を走り出しました。

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