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議論とわたし

「わたしに考えが有ります」


 会議室にいる人達の視線がわたしに集まりました。

 わたしは机の上に広げられたミルガンの街周辺の地形図を引き寄せて、ある地点を指さします。

 

「この入江にラグラーナを誘い込みましょう」


 そこは以前ゴブリン退治の依頼が出ていた入江です。

 その入江は三日月型になっていて、入江に誘い込んだあと入り口部分を塞いで閉じ込めるのに最適な形をしています。


「分かりやすく、図を描いて説明します」


 わたしは会議室の黒板に入江の絵を描くと中にラグラーナが入った後、三日月型になっている入江の先端を閉じ、ラグラーナを閉じ込める図を描いて説明しました。

 

「おいおい、嬢ちゃん。そこの入江は遠浅で、巨大なラグラーナは入れないぞ」


 漁師さんの代表が意見を述べますが、無論考えています。


「事前に土属性魔法で水深を3メートルくらいに整えておきます。

 それくらいならラグラーナは進入出来ますが深く潜る事は出来ません。

 入江に閉じ込めた所で、マジックアイテムで水の上を歩けるわたしが戦います」

「ふむ、深く潜る事が出来ないならば討伐は可能かも知れないな」

「あたし達はどうするのよ、あたし達だって戦えるわ」

「トロンさんとドミニクさんにはラグラーナを入江に閉じ込める為に魔法で囲いを作って欲しいのです。

 海賊と戦っている所を見ましたが、お二人共、土属性魔法を使えますよね?」

「ええ、使えるわよ」

「あたし達は、ラグラーナが入江に入ったら逃さない様にすればいいのね」

「はい、アイゼンさんには囲いの前でラグラーナが囲いを破壊するのを防いで欲しいのです」

「………………そうね、あたしには水の上を自由に歩く事なんて出来ないわね」


「所でどうやってラグラーナをおびき寄せるんだ?」

「「「「……………………」」」」


 漁師さんの代表の疑問に再び辺りに沈黙が降ります。


「ユウ殿、その辺はどうするのだ?」

「そ、そうですね。え~、その、こう、気合いで……何とか……」

「「「「……………………」」」」


「船を囮に使ったらどうでしょう?」


 焦るわたしに助け舟(今、上手い事を言いました)を出してくれたのは、いままで沈黙を守っていた商業ギルドの副ギルドマスターでした。


「船を?」

「はい、ラグラーナは大きな船を持っている海賊を襲っていました。

 ですから、大きな船を囮にすれば、ラグラーナを誘い込む事が出来るのではありませんか?」


 商業ギルドの副ギルドマスターの名案に待ったをかけたのは漁師さんの代表です。


「しかし、ミルガンの街には小型の漁船は沢山あるが、大型の船はないぞ。

 交易船も小型のものしかない。

 ラグラーナは大型の海賊船を襲っていたのだろう?

 小型の船で上手く誘えるのか?」

「あ、大型船ならわたしが持っています」

「え? どう言う事?」

「ダスト海賊団を討伐したときに船をそのまま頂きました」

「そう言う事ね」

「それで、その船は今何処に停めてあるんだ?」

「わたしのマジックバックの中です」

「「「「……………………」」」」


「ま、マジックバックの中に大型船が入るのか?」

「はい、わたしのマジックバックはダンジョン産の高性能なヤツですから」

「そ、そうか」

「船はロープを付けてわたしが、従魔で引っ張ります。

 水属性魔法で抵抗を少なくすれば、かなりのスピードで進めます。

 それにこの方法なら万が一の時にはロープを切れば良いので危険は少ないです」


「では、急いで入江の水深を深くしましょう」

「おい、土属性魔法を使える魔法使いを集めろ!」

「商業ギルドは、討伐に必要な物資を手配してくれ」

「畏まりました、領主様」


 こうして、『ラグラーナ』討伐作戦が始まりました。

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