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お話とわたし

 現在、わたしは、海賊を探して海上を飛んでいます。


 水上の虎団に囚われていた2人と簀巻きにした頭目は、ミルガンの衛兵に任せておきました。

 大きな海賊団はあと2つ、エミット一家とダスト海賊団です。

 小さな海賊団はいくつもあるようで、海賊旗を掲げる船をすでに3隻ほど沈めておきました。


 どの海賊も大したお宝を積んでは居ませんね。

 海賊狩りで、1番の収入は水上の虎団のアジトで手に入れたお宝です。

 かなり溜め込んでました。

 この国の経済の為、わたしが使ってあげるべきでしょう。

 

「お!」


 大きな船を洞窟の中に隠す様に留めている島を見つけました。

 ただの島ではありません。

 船には海賊旗が掲げられています。

 どう見ても海賊船です。

 もし、違っていても海賊旗を掲げていれば海賊とみなされて当然です。


 問題は奴らが島のあちこちに散らばっているので探すのが大変だという事です。

 面倒ですがここは、虱潰しにしていくしか有りませんね。


 わたしは海賊船が隠されている洞窟のそばに降り立つと、オリオンを送還し雷鳴の鉈を手に様子を窺います。


 洞窟は海に繋がっている為、絶えず波の音がしていて忍び込むのは容易です。

 洞窟の入り口には、粗末な机と椅子があり、2人の男が賭け札に興じていました。

 見張りでしょうか?

 見張りならきちんと見張らなければ意味がありません。


 わたしはアイテムボックスから投擲用ナイフを取り出すと、男の額に目掛けて投擲します。

 ついさっき、賭け札で負けて晩の酒を譲る約束をした仲間の額に何処からか飛んで来たナイフが突き刺さったのを、唖然と見ていた男の喉を鉈で切り裂きます。


 わたしは早速、船を破壊するべく水龍の戦斧を振り上げました。

 しかし、ここでわたしに良い考えが浮かびました。

 船と言うのはとても高価な物です。

 この船は前の水上の虎団のボロ船に比べると、なかなか手入れが行き届いているようですし、このまま沈めてしまうのは勿体無いです。

 私は船の中の保存食やランプ、武器などの備品を回収した後、船体に手を掛けます。

 すると、大きな船はまるで煙の様に消えてしまいました。


「おお! こんなに大きな物もアイテムボックスにしまえるのですね」


 使う機会があるかどうかは別として、良い拾い物をしまいた。

 そして、これで海賊共はこの島から逃げる事が出来なくなりました。

 さて、狩りの始まりです。




「た、頼む! 助けてくれ!助けでがば」


 頭目はすでに拘束したので、現在は残党を殲滅中です。


「ま、まて、降参だ! 犯罪奴隷でもなんでも良い。命だけは勘弁してくれ!」

「ダメです」

「な、なんでだ!」

「あなた達を街まで運ぶのは面倒臭いからです」

「そんなばぁ」


 どいつもこいつも、情け無い命乞いばかりです。


 これだけ居るのですから1人くらいは『我が人生に一片の悔い無し‼︎』とか『俺の財宝か? 欲しければくれてやる』とか『例え俺を倒しても、第2、第3の俺が現れる!』みたいに悪党の美学的に散って行く奴はいないのでしょうか?

 あ、『ひでぶ』みたいなのは何人か居ました。


 わたしが海賊共をサクサク刈り取っていると、小屋の中で動かない気配を感じ、海賊が隠れて居るのかと思い、小屋の壁を切り裂いて中に入りました。

 すると中に居たのは、怯えて居る4人の女性でした。


「助けに来ましたよ、もう大丈夫です(危ないところでした、危うく壁ごと斬り捨てる所でした)」

「あ、貴女は?」

「わたしは海賊の討伐を依頼された冒険者です」


 わたしは声を掛けてきた1番歳上(に見える)20歳くらいの女性にギルドカードを見せます。


「び、Bランク冒険者⁉︎」

「はい、すでに海賊の頭目は拘束して有ります。みなさんもすぐにミルガンの街までお連れします」

「あ、ありがとうございます、ありがとうございます」


 女性達は皆、泣きながらお礼を言いました。

 よほど酷い目にあわされたのでしょう。




「オリオン、見張りご苦労様です」


 頭目の見張りを頼んでいたオリオンの側には、いくつかの黒焦げになった死体が転がっています。

 頭目を奪還に来た手下共でしょう。


 Aランクの魔物であるサンダーバードを相手に無謀な奴もいたものです。

 救出した4人をオリオンに任せて、わたしは頭目を引きずり女性達から見えない場所に移動します。


 頭目は真っ青な顔で震えていますね。

 まぁ当然ですか。

 彼はわたしの質問に「捕らえている人は居ない」と答えていたのですから。


「さて、何か言う事は有りますか?」

「お、俺は知らなかった! 手下共が勝手にがっあぁぁぁあ‼︎」


 言葉の途中でわたしが振り下ろした戦斧が頭目の右脚を足首の辺りで切り落としました。


「さて、何か言う事は有りますか?」

「俺は、がっぐぅ!」


 2度目の戦斧は脛の真ん中辺りを切り落とします。


「さて、何か言う事は有りますか?」

「に、西の小屋にもガキを2人閉じ込めてぎぁぁい!」

「さて、何か言う事は有りますか?」

「も、もう無い、本当ぁぁがぃあ!」

「さて、何か言う事は有りますか?」


 それから数分、頭目の右脚が太ももくらいになるまで『お話』した結果、西の小屋に子供が2人捕まっている事が分かりました。


 わたしは頭目が出血死しない様に脚の傷口をポーション(わたしが作ったものではなく海賊共が持っていた低品質の物)で止血をしておきます。

 痛みなどは有るでしょうが最低限の止血にはなるはずです。

 頭目をオリオンの側に転がすと女性達に西の小屋に捕らえられている子供を助けに行くと伝え、小屋を目指して歩いて行きます。

 

 道中の海賊共を叩き切りながら進み小屋に着きました。

 さて、今度はちゃんと入り口から入りますよ。

 小屋の中には子供が2人雑な牢屋に閉じ込められていました。

 早く助けて、街に連れて行ってあげましょう。


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