初依頼とわたし
すみません、3話を重複投稿しておりました。
修正済みです。m(_ _)m
朝のギルドです。
この時間は割りの良い依頼を求めて多くの冒険者達が依頼ボードに集まります。
まるで砂糖菓子に群がる蟻の様です。
まぁ、わたしも割りの良い依頼を求めて依頼ボードを舐め回すように見ているのですが。
わたしが泊まっているロック鳥のさえずり亭は中の上の宿屋です。そこそこ余裕がある人達が利用する宿屋なのです。
神様に頂いたお金と盗賊の一件で手にしたお金でまだ余裕は有りますが、油断してはいけません。
冒険者は自分のランクの1つ上のランクの依頼までを受ける事が出来ます。
わたしは現在HランクなのでG、Hランクの依頼を受ける事が出来ます。
Hランクの依頼は街の掃除や店番、荷物運びなどの雑用ばかりです。
Gランクの依頼ボードには低ランクの魔物の討伐や薬草採取など街の外に出る依頼がいくつかあります。
「おぉ、これは!」
1枚の依頼書がわたしの目に留まりました。
『樵小屋に現れたゴブリンの討伐』
依頼内容
・ゴブリン5匹の討伐
場所
・ダムスの森の樵小屋周辺
報酬
・小銀貨3枚
備考
・ゴブリンの数は6匹以上の可能性有
・ゴブリンの数が6匹以上だった場合、撤退しても依頼は失敗にならない。(要報告)
報酬は余り高く有りませんがゴブリンです。
異世界ならば外せません。
ザ・ザコです。でも最近はゴブリンが主人公だったりする作品も結構あります。
まぁ、この世界ではただのザコです。
しかし、ザコでも戦う術のない一般人にとっては脅威になります。
わたしは依頼ボードから『樵小屋に現れたゴブリンの討伐』と書かれた依頼書を剥がしてカウンターに居るラティさんに渡しました。
「おはようございます。この依頼をお願いします」
「おはようございます。ユウさんこの依頼を受けて頂けるのですか?」
「はい。何か問題が有りましたか?」
「いいえ。この依頼は報酬が低い上、ゴブリンの数が曖昧なので誰も受けてくれなかったので、ユウさんが受けて頂けるなら助かります」
「引き受けますよ」
「本来、Hランクの冒険者がこの様な不確定要素の大きい依頼を受けようとしていたら止めるのですが、ユウさんの強さはギルドマスターも認めていましたから、大丈夫ですよね。」
「はい、問題無いですよ!」
「でも危険だと思ったら直ぐに撤退して下さいよ。
では、こちらがこの依頼の詳細になります」
「ありがとうございます。危なそうだったら直ぐに逃げますね」
「はい。お気をつけ下さい」
わたしはラティさんにお礼を言ってギルドを出ました。
宿屋に戻り、依頼の詳細を確認します。
どうやらガナの街から半日程歩いた所に有るダムスの森で樵達が使っている小屋の近くにゴブリンの群れが住み着いたようです。
歩いて半日ならシリウスに乗せてもらえば2、3時間ぐらいでしょうか?
上手く行けば日帰りも可能かも知れません。
しかし、もしゴブリンの群れを探すのに手間取ったり不測の事態が起こった場合を考えて宿屋は一旦引き払おうと思います。
アイテムボックスが有るので片付けはすぐに終わりますし。
わたしは荷物と装備の確認を済ませ宿屋をでました。大通りを進み、東門に向かいます。
「身分証を提示して下さい」
「はい」
わたしは昨日作ったばかりのギルドカードを提示します。
「確認しました。お気をつけて」
「ありがとうございます」
ガナの街の外に出て他の人の邪魔にならない様に少し横に避けます。
「契約により 扉を開く 地を駆ける翼を我が元に召喚疾走鳥」
召喚魔法でシリウスを呼び出します。
シリウスの首にはラティさんから受け取った従魔の証が付けられています。
Cランクのサイレントオウルはまだ召喚出来ませんでした。もっと魔法の訓練をして魔力制御が上達すれば召喚出来るのでしょうか?
「シリウス、お願いしますね」
「グァ」
わたしはシリウスに騎乗してダムスの森に向かい駆け出しました。