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ダンジョンマスターとの決戦・上

 おはようございます、朝更新。

 

 絵麻を地面に横たえて刀を構え直した。

 今のはかなり疲れた……疲労感がかなりひどい。でもまだ倒れるわけにはいかない。


『瞬間的に魔素活用能力が72%まで向上しました。きわめて興味深い素材です』


 巨大なルーンキューブから声が聞こえた。

 絵麻が倒れて周りを取り巻いていた重苦しい魔素の気配は消えたけど、でもこのキューブの圧力は変わらない。

 大き目の段ボールのようなサイズのキューブがルービックキューブのように組み合わさっていて、表面の四角と円を組みわせたような幾何学模様が時々赤く光る。


『警告します。その個体の返還を求めます。返還しない場合、武力により奪還します』

「なに?このサイコロ、しゃべるの?」


 七奈瀬君が首を傾げてバカにしたように言った。


「武力って……この僕を倒す気でいるわけ?まったく、こんなデカいの壊したら粗大ゴミに出すのが大変そうだ」

「返すつもりはない」


 というより、そもそも絵麻はお前のモノじゃない。そういうとキューブが沈黙した


『では殲滅します』


 こっちが返す気がないことを察したらしい。

 ルービックキューブのように組み合わさっていたキューブがばらけた。



 半分ほどが僕らの周りを取り囲むように飛んで、残りがキューブを守るように残る。

 キューブの中心に心臓のように脈打つ赤い球体が見えた。あれがこのキューブのコアのようなものなんだろうか。

 

 まるで獲物を狙う狼のように周りを回るようにキューブが飛ぶ。

 さっきまでのフワフワ浮いて時々ぶつかってきたのとは気配が全然違う。殺気とかそういうのはないけど、完全な攻撃モードなのは伝わってくる。


「速い!」


 弓を構えたパトリスが周りを見回しながら言う。

 カタリーナがハンドガンを左手に持ち換えて、腰から長めの剣を抜いた。


「君達は自衛だけしてな。余計な手出しはするなよ。僕一人で十分だ。僕が殺す」

「【書架は南東・記憶の六列・参拾弐頁八節。私は口述する】」


 檜村さんが詠唱を始める。

 七奈瀬君の左の球から針金が伸びて網のように僕等の周りを囲んだ。


「【今、敵は迫り鬨の声は門の外より響く。戦の時はきた。

されど恐れるなかれ。我等を守るは高く硬き城壁。語り手曰く、其を超えるは南に征く渡り鳥のみ、これを能う】術式開放!」


 檜村さんの詠唱が終わると、僕らの周りをドームのように薄く光が覆った。


「防壁だ……少しは役に立つといいが」


 キューブの幾何学模様が光って、周りに青白い稲妻のようなものが見えた。

 何か仕掛けてくるかと思ったけど、


「目ざわりだなぁ……さっさと死んじゃってくれる?」


 七奈瀬君の右の球がほどけて、針金がコアに向かって殺到した。

 さっきより数がはるかに多い。これが彼の本気なのか。


 針金がキューブに次々と命中して光を放つ。

 豪雨のような音がして、キューブが二個砕けた。別のキューブがコアをかばうように動く。

 針金が一度戻って、また糸巻きのように球になった。

  

「しつこいね、まあ次で一気にケリをつけてやるよ!」


 周りのキューブを牽制するように僕等の周りを飛んでいた針金が巻き取られるように球状に戻る。

 球に戻った針金が両方ともコアに向かって飛んだ。 


「防御を解いた?」


 キューブが檜村さんの防壁にぶち当たる。甲高い音がして空中に波紋が走った。二つ、三つの次々とキューブが当たる。

 光る防壁にひびが入った


「まずい。持たないぞ」


 いうと同時に防壁が割れた。

 キューブが回転しながら七奈瀬君の方に突っ込んでくる。

 

「無駄だよ!雑魚!」


 手元に残っていた球から針金が伸びてキューブに突き刺さるけど、キューブが針金を蹴散らすように突進してきた


「なんだって?」

「一刀!薪風!樫櫓かしやぐら!」


 とっさに前に風の壁を立ててキューブを受け止める。

 頭を殴られたような轟音がして後ろに弾き飛ばされそうになるけど、辛うじて踏みとどまった。


 途轍もない重さが手にのしかかってきた。あまりの重さに全身が軋む。

 頼むから折れるな、鎮定。

 幾何学模様が刻まれた軽自動車のように大きいなキューブが目前に迫る。


 キューブの模様が赤く光って表面に赤い稲妻のようなものが走るのが見えた。

 肌に刺すような刺激が走る。何か仕掛けてくる。

 でも重すぎて押し返せない。 

 

「くそったれ!あっちいけ!」

「【災いは影のごときものなれば、光満つれば其はおのずと退くが理】術式解放!」


 青白い稲妻が蛇のように体に絡みつくよりはやく。間一髪、檜村さんの詠唱が聞こえて体が白い光に覆われた。

 雷撃が体の表面を走って、分厚い服越しに何かに強く抑えられているような感覚がする。

 体がすくんだけど痛みはなかった。


「下がれ!」

「あっち行きナヨ」


 パトリスが矢をブレードのように構えてキューブを切りつけて、カタリーナが剣をキューブに突き刺す。  

 ひるむようにキューブの重さが少し緩んだ。力いっぱい押し返す。

 キューブが重い岩のように動いて回転しながら下がった。




 章の最後までほぼ描きあがったので最後まで一気に行きます。


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