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兵士の記録 ~赤魔獣と呼ばれた魔物について~

作者: 鈴亜サク

 九の月 15日

 

 ニルガ王国近くの森で赤魔獣と呼ばれる魔物が出没。

 森に入った人間や森に集落を造っていたエルフ族が襲われる被害が出ているようだ。


 王国ではその魔物を討伐するために国の兵士や冒険者が招集され、討伐部隊が編成された。

 その中には名前が知れ広渡っている者もいる。

 例として挙げると、騎士団長のアンドラ、銃使いの冒険者ガルシアがいる。

 王国兵の私も討伐隊の一人として参加する。


 さて、そうまでして討伐されようとしている赤魔獣。

 お分かりの通り、危険な魔物だ。

 ちなみに私は赤魔獣をこの目で見たことはない。

 書見に記されているのを見たこともない。

 情報も少ないのだ。


 これは聞いた話だが、赤魔獣は空を駆る羽も、食らえば死に至る猛毒も持っていないとの事。

 しかし四つの足で大地を駆け抜け、細身の体で木々の間を軽々と抜けて来る事が出来るそうだ。


 そして自慢の爪牙で獲物を捕らえるという。

 魔物というよりは普通の獣に近い感じだ。

 

 それが何故ここまで危険視されてるかというと、その純粋な強さ、それと危険さから。

 先日、Bランク冒険者四人に赤魔獣の討伐、又は捕獲する依頼を出したらしいが、その四人が帰って来る事はなかった。

 その冒険者達も決して弱くなかったはずだ。

 

 Bランクというのはそれなりに上位クラスの実力がある。

 そう簡単にやられはしない。

 だがいとも容易く殺られ、肝心の赤魔獣も平然と生きている。

 

 私は最初、赤魔獣の話を聞いた時は森に入らなければ良いのではと考えた。

 そうすれば赤魔獣と出会う事はない。

 森に住んでいたエルフ達は既に森の外へ避難している。


 しかし、そう都合良くいかないのだ。

 ここ最近では森の外での目撃情報があった。

 こうなってくると王国に来た冒険者や商人が襲われる可能性が出てくる。

 討伐部隊が組まれたのも襲撃される前に対策をするというのが理由らしい。


 この記録を書いている間も時計の針は時を刻んでいく。

 今はお昼時の少し前。

 昼食の前にはこれを書ききりたい所だ。


 赤魔獣を討伐しに行く日は明後日。

 正直今からバックレて何処か遠い所へ逃げたい気分だ。

 まぁ、逃げたとしても新たな仕事が見つかるか分からないし、王国に住む俺の彼女にいい思いをさせれない。


 最高のハッピーエンドの為には討伐隊全員で生きて帰らねばならない。

 そして彼女といよいよ結婚する。

 おっと、これはよした方がいい気がする。

 

 一応、一般兵の私は後方支援、それと物資の運搬が仕事なので前線に出て戦う事はしない。

 それに騎士団長や名のある冒険者達もいるのでそうそう危険な目には合わないと思うが。

 だとしても私は小心者なので怖い。


 さて、そろそろ昼飯の時間だ。

 今日は何を食べようか。


 ~追伸~


 昼飯はカレーとサラダ。

 定番のいつもの味だ。

               

 ◇


 九の月 16日


 いよいよ明日に迫った赤魔獣討伐。

 訓練で軽く体を動かして来たが全く落ち着いた気がしない。


 少しでも不安を薄めようと赤魔獣についてニルガ国立図書館で調べて来た。

 対した成果は得られなかったが。

 分かった事を記しておくと、元々森に住んでいた魔物では無いかも知れないという事。

 これも情報が少ない故の憶測に過ぎないのだが。


 さらに酒場に寄って聞き込みもしてきた。

 どうやら赤魔獣のせいで、森に住む他の魔物が全然いないらしい。

 そして地面や木に良く血の跡が付いていたと。


 赤魔獣の事を知ろうと頑張ったものの対した情報を得られず仕舞いだった。


 さて、今日は早めに寝たいので短いが、この辺りで終いとしよう。

 そして騎士団長達が赤魔獣をあっさりと倒してくれる事を祈っておく。


 ~追伸~


 晩飯は景気付けに少し高級な肉のステーキを頂いた。

 やはり旨かった。


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