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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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最終話:俺たちの戦いはこれからだ!

これで完結となります!!

ここまで読んで頂きありがとうございました!!m(__)m

「永礼ちゃん、このタイミングだと修羅場になりそうだよ?」



「でも、お互い友達でしょ? 意外にそれも興奮するんじゃない?」



変な会話をしているのは、詩織と白瀬さんだ。



学校が終わり、これから旧ブラック・マグマのメンバーでお茶会だ。



忠之も一応読んであるが、マジカル・キュアの方々は読んでいない。



あれから早いもので、半年が経っていた。



戦いは終わり、全てが無くなったことになり、桃源町の名物であった、マジカル・キュアとブラック・マグマはもう見かけない。



それどころか、街の皆からその記憶は無くなっていた。



――俺たち6人を除いて。




「ふふ! 次のお兄ちゃんと叶のデートが楽しみだなぁ!

後ろを付けて行って、そして――」



そんなことを言っている詩織。そしてそれをメモする白瀬さん。



うん、いつもの感じだ。



だが詩織は、口ではあのように言ってるものの、以前の様な必死さが無くなっていて、普通に構って欲しいだけのブラコン妹なノリに近い。



詩織は今回の件で、ある意味、健全なブラコン? になった気がする。



まぁ、健全なブラコンというのは良く分からないけど。ああ見えて、俺と叶の仲を、ちゃんと見守っててくれている。




「お兄さん!!」



すると、後ろから叶の声がした。



後ろを振り向くと同時、俺の腕に叶が自分の腕を絡めてきた。




「なぁ、いい加減、お兄さんってのは止めない?」



「ふふふ! 嫌です」



俺の言葉を無碍なくあしらって、腕を引っ張って歩き出す。




「ちょっと! 叶ちゃん! 私の目の前でイチャラブ禁止! 寝取るよ!」



「詩織ちゃん、どうせ白瀬先輩と、変な打ち合わせしてたでしょ? そんなのダメだからね!」



「そ、そんなこと――! っていうか、今日はブラック・マグマで行くんだから、マジカル・キュアはダメだよ!!」



「偶然だね、詩織ちゃん! 今日はマジカル・キュアの女子会もあるんだよ?」



「え!? ちょっと! お兄ちゃんの仕業ぁぁぁ! 呼んじゃダメって言ったじゃない!」



あ、一瞬でバレた……



付き合い始めて一緒にいるのが楽しいこともあり、叶を誘ったことで全員呼ぶ、との話になったのだ。




「ちょっと! 叶! 先に行かないでよ!」



すると叶の背後から、赤城さんがやってきた。




「やぁ、赤城さん! さっきぶりだね」


「本当にね、もう……このクソ妹がいなければ一緒に行けたのに」


「はぁぁ!? 当たり前でしょ!? このクソ小鳥の存在は徹底的に排除に決まってるし!」




はぁぁぁ……また始まった。



あれから、赤城さんは叶に近付けないように、そしてブラコンを矯正するべく、詩織に細かくちょっかいをかけている。



そのせいもあって、二人の仲はこんな具合に……



まぁ、でも、いつも喧嘩してる姉妹な感じもしている。



それを見ながら白瀬さんはメモを取り、俺は叶と並んで歩く。


そして、更に、それを邪魔しようとする詩織は赤城さんにカウンターを食らって、白瀬さんはメモを取る、といういつもの流れで、俺たちはファミレスへと向かう。




「遅い!! 大和!!」



ファミレスの入り口で、共修学園の制服を着た葵が怒鳴りつけた。




「また叶とイチャイチャして……」


「そうなんだよ! 葵ちゃん! クソ小鳥も邪魔するし!」


「あぁ、そのクソ小鳥は、最近調子に乗って、クラスでも本性出したらしいわね」


「ぷぷぷ! そうそう! そのせいで、腹黒委員長って呼ばれて、全員に引かれてるんだよ!」


「ちょっと! クソ妹とフラレ葵は黙ってなさいよ!」


「――はぁぁぁ!? クソ妹ってどういうことよ!!」

「――はぁぁぁ!? フラレ葵ってどういうことよ!!」



うん、いつもの日常だ。


最近は、こんな感じで、殺伐としている。




「よぉ、全員来たようだが……マジカル・キュアもだな」



と、そこで忠之が姿を現した。




「ああ、悪いな……また騒々しく――」

「いや、ちょっと、良いか?」



俺の言葉を遮り、忠之は真面目な表情で俺に話しかけた。



こんな表情、なかなか見ないけど何かあったのだろうか?




「実はな、ちょっと……来てほしい所があるんだが」



忠之は視線を宙を漂わせて、申し訳なさそうに言った。




「その、全員呼ばれてるんだよ。あの方たちに」



その言葉で俺だけじゃなく、様子を聞いていた他の全員も誰が呼んだのか、察しがついた。




……



……




「懐かしいな……」



俺はそう呟いて、周りを見渡す。



背が高く、空にまで届きそうな針葉樹の中を進む。



歩道は整備されてるものの、滅多には整備されないのか、それなりに雑草に覆われている。



木漏れ日が暖かく感じるが、木々の間から照らす光は極僅かだ。



春を過ぎれば、この森、いや山か? も緑豊かな風景となって心が癒されるだろう。



だが、未だ寒い季節。傾斜のある山道を歩くと、自然と体も暖かくなるのだが、それでも未だ微妙に寒い。




「あ、ここって……」



傾斜を上った山の上。頂上付近。



息切れをしながら、詩織が呟く。



歩道の先には石畳。そして階段。その上には神社。



そう。俺たちがよく遊んでいた神社。つまり、あの二匹の――




「遅かったのぉ」

「やっと来たかボケ」



犬と猿が、石畳の脇から姿を現す。




「「「ボス……」」」

「「「マスター……」」」



俺たちは察しがついていたので、驚かずに二匹……いや、二柱の神様を眺める。



とはいえ、あれからこの二柱とは会っていなかったので、どうなったのか気にはなっていた。



だが、戦いが終わり神様は消え。街から記憶は失われ、そして、この場所すら忘却してしまった俺には、どうしようもなく。



だけど、やっとこの神様に会えた――



戦いが終わり、きっとこれからの報告か何かかと俺は思ったのだが、




「じゃあ次の戦いを始めるぞえ」

「やるぞクソ共」




……



その言葉に、俺たちはフリーズする。




「あの決着は着いたんだが、ちょっとトラブルがあっての」


「そうそう、新しい勢力が生まれたらしくてな!」



……は?



俺たちは、自分たちの独り言でざわめき始める。




「どうやら、この街に、”リア・デス”と”愛を見守るチーム”とか言う、勢力が生まれたらしくての」


「そうだ! しかもどっちも愛に固執してやがる! 俺たちからするとクソうぜぇぇぇ!」


「どこの神の差し金か知らぬが、ここは我らの地。戦うぞえ!」


「そうだ! やってやるぜぇぇぇ!!」




……



……え? それって、俺たちの……



俺たちに間が空く中、その言葉で動いたのは詩織だった。




「ふふふ! そうよ……! 私には”リア・デス”があるじゃない!

ね! クソ小鳥!! 共闘して、また”リア・デス”になりましょう!」



「え? は? 何言ってんの? このアホな妹は!?

もう私はどちらかと言うと”愛を見守るチーム”の方なんだけど!?」



「はぁぁ? 小鳥は何を言ってるの? あなたのその行動は、自分の気持ちを――」



「はぁぁぁぁ!? ちょっと! 止めてよ! 何言ってるの!?」



「そうやってふたを閉めてることくらい知ってるってーの! 葵ちゃんと叶ちゃんのこと大事だからって!」




何やら、元リア・デスの二人が剣呑な雰囲気だ……



すると、他の勢力の二人も……




「ふふふ! じゃあ私は愛を見守るチームね! 白瀬さん!」



「そのようね、葵さん。でも、まぁ私はネタが得られればそれで良いし」




うむ。これは、始まった気がする。



すると、俺たちの言動を聞いていた二柱は、




「おぬしら……! まさか……!」



「はははははは! クソ犬とクソ猿!! 私たちがそのリア・デスよぉぉぉ!!」



詩織は狂ったように叫び始め、目の前にいる猿に向かって――




「――くぁwせdrftgyふじこlp!!」



猿は吹っ飛ばされ、太い木の幹に叩きつけられた。




「いくよ! 小鳥! 私たち、”リア・デス”で、そこの二人のイチャラブを阻止するのよ!」


「だから、違うってば! 私は応援してるんだってば!」


「でも、お兄ちゃん、この前クラスの女の子に告白されてたよ!?」



「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」



「ちょっ!! 詩織! お前、それ言わない約束――!」



「お兄さん、どういうことですか?」

「依光くん、どういうこと?」

「ちょっと大和――!?」



叶と赤城さん、葵まで俺に詰め寄ってくるし!



「ふふふ、何となく分かったぞえ、ヤマティン

お主は、こやつらに裏切られたのじゃな?」



「いや、犬っころ。今、出てくな。訳分からなくなる」



「”リア・デス”と”愛を見守るチーム”の我が町への侵入!!

それを守るための、お主、ヤマティンとミドリなのじゃろ!?」



「ちげーし、ちょっと犬助けろ」



葵は俺の胸ぐら掴み、告白について全て話せと揺さぶりながら脅してくる。



「わしに任せろ! 我ら”ブラック・キュア”がお前たちに力を貸すぞ!!

よし! ウザダーもこっち側だな! 行くぞ!」



あー、もうなんか訳が分からない……



でも、さっきの告白について話を聞こうと妬いている叶は可愛いから、一緒のチームになるのは楽しそうだと一瞬思ってしまう。



それに、あの戦いの生活は楽しかったし――




「ふふふ、我が”リア・デス”の仲間よ」

「”愛を見守るチーム”よ、いざ、使命の時間だ」



新しい神様が二柱現れ、互いのチームに神通力を与えようが――




「いくぞ! ”ブラック・キュア” 俺について来いやぁぁ!」



猿が復活して、俺たちに力を与え、そして突っ込んで行こうが――




「お兄さん、さっきの話、詳しく聞きますからね……!

……でも、今度はこうやって仲間で戦うの……楽しみです!!」



隣で新しいコスチュームに変身した叶と並んで走ろうが――




「うし! ウザダー戦うか! あの告白を闇に葬るためにも!」



俺はウザダーに向かって叫ぶ。



ウザダーは頷き、新しい姿に変身を開始する。




「今度はドキドキ・メーターじゃないからのぉ! 純粋に我が町を守れぇぇぇ!」



子犬が激励する中、俺は――




何の違和感も感じず、それを受け止める。




だって、俺たちの戦いはこれからだから!





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