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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第57話:二人への決着

「……え?」



俺は葵――アクアに抱きしめられている。



アクアの顔は俺の胸に埋まり、その表情は見えない。



というか、怖くて下を見れないし、俺は硬直している。




「「「「……!」」」」



そして、ファイア、ミドリ、シオティン、オタ・クールの四人は、固唾を呑み注視している。




「……ずっと待ってる……詩織ちゃんの次は……私でしょ?」



そう言ったアクアは、こちらを見上げる。



その言葉に俺は、




「……ごめん」



目を逸らさずに、そう告げる。




「俺、好きな人が……出来たから」




そう言って、俺は目を逸らす。そして逸らした先には、顔を真っ赤にしたミドリが佇んでいた。




「あーあ……だよねぇ……」



表情をコロっと変えたアクアは俺の胸から離れ、何でも無いように、俺から距離を取った。




「……葵……?」



「アクアだってば!」



いや、だってお前が大和って言うから……




「……っていうか、試すようなことして……ごめん」



葵――アクアはそう言って頭を下げる。




「私のは……やっぱり初恋だったみたい……大和と同じだね……

今の言葉を受けて、そんなにショックが無かったから」



そう言えば、赤城さんが教えてくれたっけ。



葵の「現在の」気持ち。



過去の初恋による気持ちの行動で、その未練だけだったんじゃないかと。




「ってことで、私は、ミドリのこと応援するよ!

だから、シオティンとは……やっぱり敵同士だね!

さっさと兄離れしちゃいなさい!!」



アクアはそう言って、シオティンに向かってそう叫ぶ。




「……はぁぁぁ!? ……それで本当に良いの!? だって、ずっと想ってたんでしょ!?」



シオティンはそう言って、アクアを睨みつける。




「……私のは、とっくに終わってたみたいだから」



アクアはそう言って、俺から離れて行く。



そして、ファイアとミドリの横へ移動し、俺たちと対峙した。




「……良いの?」



ファイアがアクアに問う。




「うん! って、ファイアもその方が嬉しいくせに!

”リア・デス”やってもんね!」



「いや! あれは単純に心配だったから――」




二人は良い争いを始めたが、ファイアの表情は晴々としていた。



……赤城さんは、葵の気持ち知ってたもんな。



ちゃんと葵も知ったことで、葵が救われたこと嬉しいのだろう。




「依光先輩の言ってたことが、やっと全部把握できたよ」



その時、めっちゃ本名をバラしてくれたオタ・クールが俺の方へ歩み寄ってきた。




「あの時のデートと、ダブルデートと、そしてこの展開! あぁ、なるほどね!」



どうやら、すっかり全てを把握した様子。




「じゃあ、もうほとんど解決してるわね」



「え?」



オタ・クールはそんな事を言って、全て問題なし、と太鼓判を押す。




「だって、幼馴染の恋は玉砕というか、幻だったんでしょ?

今の流れを見てもそうだし、この前言ってたことを加味してもね。

そして、赤城さんはその友達を心配してたんでしょ? ”リア・デス”もその一つだろうし、それも解決っと」



「……お、おう」




「残るは、依光先輩のシスコンと、詩織さんのブラコンだけじゃない。

それを解決して、ミドリときゃっきゃうふふすれば、終わりっと」




「「「……」」」



その言葉に、その場にいる全員が納得の表情をする……いや、シオティン以外だ。




「ダメ! 絶対! 私が兄貴ときゃっきゃうふふするんだから!」



そう言ってシオティンは、俺に同意を促すように下から覗き込む。




……だけど、俺は。



うん、俺もシスコンを改めないと……ね。




「――いや、きゃっきゃうふふするのは、ミドリとだ!」



俺はここにそう宣言した。




「詩織……俺は、お前を……妹として大事な存在だよ」




俺のこの言葉に、詩織は、



「そ、そんな……こと……言わないで……よっっっ!」




顔を俯かせ、必死に涙を堪えている。




いつもの詩織なら、感情的に泣き叫び、騒いで逃げ出すのがパターンなのだが、今回は――




「や、ヤマティン……? そのアクアって、葵って誰だ?

それに名前……お前も大和って言われて……妹の名前もバラしちゃ――」



空気の読めないウザダーは、驚愕の表情で俺に歩み寄ってきた。



いや、そういえばこいついたんだっけ……



バイトがローテーションになったは良いものの、何気に全員出勤となる場合が多々ある。この前もそうだった。



つまり、ローテーションと言いつつ、適当出勤が原因なのだが……今日もそんな日だった。




そして、ウザダーが更なる疑問を言う前に、詩織が泣き崩れる。




「――!」




俺はその姿に駆け出そうとするものの、視界にミドリの……緑川さんの姿が入る。



その姿に、俺は決意を新たにして、崩れる詩織の隣に座る。




目をつむり、何かに耐えるような苦渋の表情の詩織。



つむった瞼から、涙はどんどん溢れている。



俺はその表情に罪悪感を感じながらも、やはり伝えなければと心に決める。




「詩織、俺たちは兄妹だから、何があってもずっと――」

「ごるぁぁぁぁぁぁああああああ!! お前ら何をドキドキしてるんじゃぁゴルぁぁぁぁぁぁ!」



そして、猿が乱入する。



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