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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第55話:気付く人たち

「結婚できない……ねぇ」



「うえぇぇぇぇぇぇぇぇんんんん!」



私は詩織ちゃんからの呼び出しで、ファミレスにいた。



そして、そこで悩み相談……というか、何なんだこれ? 妹が兄と結婚できない嘆きを聞かされている。



「聞いてよ! 葵ちゃん! 赤城さんってば酷いんだよ!」



うーん。



これも妙な話で、小鳥がわざわざ、どうしてそんな事をするのか……




「この婚約指輪に……願ってるんだから……! だから大丈夫なんだから!」



と、詩織ちゃんは胸元からペンダントを取り出す。




「あ、懐かしいね、それ。大和から貰ったやつ」



「そうそう! これはね、婚約指輪で――」



「あー、はいはい。何回も聞いてたから知ってるってば」



「うううう……! じょれなのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」



と、詩織ちゃんはまたテーブルに顔を埋め、泣き始めた。




はぁ……まぁ、正論ほどキツイものは無いからね。特に詩織ちゃんの場合。



でも、ここまで傷つくってことは、自分でも分かってるっていうことだし……兄離れも時間の問題かな……



それに比べて私は……やっぱり、初恋は初恋。



もう少し、自分の気持ちを確かめたいけど……




「でも、大和にも……好きな人が出来たんでしょ? ねぇ、やっぱり……大和が良いの?」



私は詩織ちゃんに尋ねるが、それは私自身にも言えたことだ。




「そりゃ……! そうだけど……!

うぅ……何なの……! あのミドリが現れなければ……! 結婚だって出来たし!」



「え? 何でミドリ? え? 叶が何かしたの? そう言えば同じ学校――」



「え? どうして叶ちゃん?」



「……」



「……」



「あ」



「あ」



私たちは、お互いに言ってはならないことを言ってしまったバツの悪さで、目を逸らす。



詩織ちゃんは恐らく、ポロっと油断してミドリの事を言ったのもあるだろうが、当事者じゃなければスルーする発言の内容だ。

だからそこまで気にしないのもあったんだろうけど。



でも、私は当事者だったから、そのまま反応してしまって……



「「……」」



そして、互いに目を合わせる。



うん。詩織ちゃんの目を見て、私は様々な事が何となく分かってしまった。



たぶん詩織ちゃんもそうだろう。




……



……




「良く分からないけど、何がそれで問題なの?」



白瀬さんが俺に問う。




「……ヤマティンの正体が、赤城先輩と緑川さんでしたっけ? にばれた。

そして、緑川さんが、実はミドリで、あなたたちが毎回ラブラブイチャイチャしてる相手と。

赤城先輩……ファイアはあなたたちを応援してる……と」



俺はどうすれば良いか分からず、白瀬さんに相談という名目で全て話してしまった。



赤城さんに正体がバレた今、こちら側もある程度知ってる人が欲しい、と、どこかで俺が欲していたのかも知れない。




「でも、赤城先輩がマジカル・キュアとはね……

でも、敵だけど、依光先輩を応援してくれるんでしょ? 何の問題も無いじゃない。それにどうせこっちが負けてあげるんだし……

まぁ、わざと負けなきゃってのは、ちょっと嫌だけどね……」



「いや、それは、そのごめん。せめてミドリとのことは忘れたくなくて……」



「ううん、良いわ。私も……そうね、忘れたくはないかもね。思い出す楔はあると助かるかも」



「そ、そっか……じゃあ、それは白瀬さんも協力を頼む……」



「それは良いんだけど……で? 話を戻すけど、何も問題ないでしょ? あなたはミドリとイチャラブすれば良いんだし」



「そ、それはそうなんだけど、突然で心の準備もあったし! それに、詩織が……」



「詩織さんを……妹を悲しませたくないって?

依光先輩は緑川さんが好き。そして詩織さんと緑川さん、お互いの友情にも亀裂が入る」



「そ、そう……! そうなんだよ!」



「……分かったわ。私も手伝ってあげる」




「え?」




「創作でも描いたけど……依光先輩。私は詩織さんの兄離れが原因じゃなくて、あなたのシスコンが原因だと思ってる」



「……お、おう……それは、何となく……俺も創作のおかげで分かったけど……」



「だから、私も赤城先輩とは別のやり方で、あなたのシスコンを直すのと、その緑川さんへのアプローチを手伝ってあげるわ」




やべぇ……



これ嫌な予感しかしないんだけど……



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