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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第54話:急展開

「え? ヤマ……!?」



緑川さんはその言葉を受けて、俺を凝視する……が、途中で顔を赤らめて背けた。



「え? え? え?」



「あ! もう行かなきゃ! ほら! 依光君、次の授業は移動だよ!」



「えぇぇぇぇぇ!? このタイミングでぇぇぇ!?」



「じゃあね! 先行ってるから!」




と、言いたいことだけ言って、さっさと行ってしまう赤城さん。



そして、混乱中の緑川さん。



うん……赤城さん、あのキャラだったら猫被ってる方がマシだわ……!




「あ、そ、その! 気にしないで良いから! ちょっと赤城さんおかしいから!」



「え? ふえ? あ、はい!?」



混乱する緑川さんをフォローするが、混乱は収まらない。



ってか、俺が混乱中だわ!!



これどうするんだよ! 




「じゃ、じゃあ俺も行くから! 気にしないでね!」



俺も咄嗟に学食出ようと踵を返すも――



「ヤ、ヤマティン……さん!?」



――!?




俺はその言葉につい立ち止り、そして、振り返ってしまった……




「……あ」




すると、そこには納得したような、そして何故か安堵した表情を浮かべた緑川さんが、落ち着いてこちらの表情を見ていた。



頬には赤みが射し、そして徐々に目元が潤んで――




あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! これは確実にバレたじゃねぇぇぇかぁぁぁぁ!!



俺は居たたまれなくなって、その場を駆け出して逃げるしかなかった。




……



……




「「はぁ……」」




放課後、俺と詩織は図書委員の活動で、図書室にいた。



返却された図書を、棚へ戻す作業。



だが、俺と詩織は、昼休みの出来事がネックで、互いに溜息ばかりしている状態だった。




「さっきから、溜息が酷いな。どうした? 金が無くなったか?」



そこへ、別の作業をしていた白瀬さんが俺たちの所へやってくる。




「あちらの棚まで、その陰鬱な溜息が聞こえてるんだけど?」




「あ、うん……何でもないよ」

「あ、うん……大丈夫」




詩織と俺は、息を合わせたかのように同時に白瀬さんに応えた。



しかし、詩織もここまで凹むとは……



とは言え、あんな正論を言われたところで、俺の不安は無くならない。



何故なら、詩織には例の勾玉があるから。



確かに正論では結婚出来ないが、願い事を叶えるという勾玉は、どこまで効力があるのか……



それに、緑川さんにバレてしまった。と言うか、赤城さんがバラした。



確かに俺に協力するって言ったけど、いきなり最終手段に近いし!!




「先輩? 大丈夫か?」



と、内心ずっと考え事をしていたせいか、目の前まで白瀬さんが来ている事に気付かなかった。




「あ、うん、大丈夫……? あれ? 詩織は?」



「あぁ、さっき出て行った。携帯気にしてたから、連絡でもあったのかもな」



「お、おう。そうか……」



「それで……? 二人とも、何があったんだ?」



白瀬さんは、俺の目を見つめながら聞いてくる。



いや、この状況は説明し難いぞ……




「兄離れの件か?」



「あ、あぁ。そうだな。それもある」



「ふむ。まぁ、それはこの前の私の創作を参考にして貰えれば嬉しいけど……」



そこで白瀬さんは黙って、俺の方を見つめる。




「……それで、今日はバイト来れるの?」



「ん? あぁ、一応行こうと思ってるよ……金も無いし……」




見習いから昇格したので、俺と詩織はローテーションを組んで自由参加となった。



が、忠之をパシリにすれば良いらしく、かなり適当なローテーションとなっている。



今日もバイト、とのことで、ふとミドリ……いや、緑川さんの顔が思い浮かんだ。



あぁ……対峙する時は、ヤマティンじゃなくて俺として見られるのかな……!



あぁ……やべぇ……ん? ってことは、必然的に詩織の正体も……判明されてしまったのか……!




「依光先輩? すごい汗だけど、大丈夫なの?」



「だめかもしれん……」



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