表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
47/63

第47話:日常の一コマ ~ そして負ける戦い

「しかし、相変わらず酷いポスターだ……」



俺たちはアジトの雑居ビルの階段を上る。



壁には、アダルトショップやら同人ショップやらの、かなり際どいポスター。




「私はもう慣れたよ」


「まぁ、私は出入りしてるしな」



前者は詩織。後者は白瀬さんの声だ。



出入りって……



まぁ、同人ショップの方だよな? まさかアダルトショップ?



俺は、何とも言えない視線を白瀬さんに送る。



と、白瀬さんはその目線で何を言いたいのか悟ったようで、勝ち誇ったように、




「どっちもだ。創作には見聞は必要だ」



白瀬さんは胸を張って答えた。



白瀬さんは背が低くくて小さい。なので胸を張っても、やはり”そこ”は、”そこそこ”の自己主張程度だった。



そんな失礼なことを考えながら、そのまま階段を上り、屋上へ。




「兄貴もああいうの気になるんだよね? 男の子だし」



昭和テイストの、ボロ長屋なアジトへ向かう途中で詩織がそんなことを言い出した。




「ああいうのって、ポスターのことか?

まぁ、そりゃ気になるよ。新作が出るたびにポスター変わってるし、中には可愛い子も――」



「じゃあ、兄貴の部屋に私のすっごいのポスターにして貼ってあげるよ!

ただの裸じゃなくて、見えそうで見えない、絶妙な――」



「いや、要らない」




俺は即答する。



妹離れをしなきゃいけないから、こんな即答の仕方……ってわけではない。



いつもの問答なのだが、このボケツッコミの流れじゃ、どうやって妹離れするのか、かなり難しいな、と答えながら思った。




そして、俺たちはアジトの内部へ。



タイムカードを押して、奥の部屋のソファーへ向かう。白瀬さんは入口側の自分の席へ。




「なぁ、見習い期間が終わりってことは、俺たちにも席とか配給されたりしないの?」




何気なく俺はそう思って、白瀬さんに尋ねた。



白瀬さんは席に荷物を置くと、そのまま俺たちがいる奥のソファーへとやってきた。




「無理じゃない? だってスペース無いし」



白瀬さんは簡潔に言い放つ。




「えぇぇぇ!? どうして!?

隣同士で教室的なイベントをプレイ出来ると思ったのに!」



残念な声を上げるのは詩織。



そう言えば、そんなことを期待していたっけ……



そんなのやりたくもないので、机は不要で。




「ぶぅぅぅ! ま、仕方ないか……

あ、そうそう! ローテーション組むことだし、私も正式に図書委員に入るからね!」



「良いわよ……っていうか、兄妹で参加だと思ってたし。

ローテーションって言っても、基本的にはこのバイトは自由参加なんだよね。

となると、土日以外で誰も出動しないのはまずいから、そこを調整する感じになるかな」



白瀬さんはそう言って、ソファ近くの壁に背中を預ける。



「まぁ、私たちが来れなくても、黒滝先輩に頼めば来てくれるから、案外適当で良いわよ」



「え? そうなの?」



「来いと言えば来るから、大丈夫」




忠之……相変わらず不憫なヤツだな……




「ふふふ……じゃあ今日も稼がせて貰いましょうか」



白瀬さんは不敵にそう笑うが、今日からちょっと負け続けないとなんだよな。




……



……




「く……」



「ふふふ! 私今日、絶好調だわ!」



シオティンは膝を突いて、それを眺めるアクアは高笑いする。




「ど、どうしたの!? シオティン!

いつもの貴方なら、そんな攻撃はカウンターを合わせるのに!」



それを見るオタ・クールは、憤る。




「こうなったら、私がドキドキさせなきゃ!

恐怖……恐怖……何か……」




オタ・クールは戸惑いながらも次への対処を考えている。



そして、俺は前ほど気まずくなくなったミドリと対峙していた。




「悪のブラック・マグマ! 今日こそ成敗します!

(にこ)

絶対に許しませんからね!

(にこにこ)

絶対に……兄離れさせちゃいますよ!

(にこにこ!)」



と、ミドリはシオティンに言い放った後、俺に笑顔を向け、そしてまたシオティンへ……と、そのループを行う。


ミドリ、意外に器用だな……そして、その笑顔が可愛いんだけど、殺伐なセリフと交互にやられると、どう対応したら良いか分からなくなる。



俺はその笑顔に反応出来なかったけど、ミドリは満足したようで、倒れているシオティンへ止めを刺しに駆け出した。



「お兄さん、困ってるじゃないですか!

私のことが好きなんですからね!」



「――んなっっっ! っこのクソビッチ!!」



シオティンは急いで起き上がり、目の前にいたアクアをワンパンで沈める。



「――!? くぁwせdrftgyふじこlp!!!!」




あぁ……アクア大丈夫かな……ちょっと調子乗っちゃったからな……って、え! あれ? 殺っちゃダメだろうが!!




と、それに気付いたのか、オタ・クールは、




「おぉ! やれば出来るじゃないか! そうだ! その勢いで抹殺するぞ!」



声を上げ、シオティンの背後へ移動しサポートする体制へ。



だが、その声と行動で我に戻ったシオティンは、




「ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬ! ここは……ここはぁぁぁ! 我慢なのかぁぁぁ!

これが我慢プレイなのかぁぁぁ!

もうダメぇぇぇぇ! もれちゃうよぉぉぉぉ!」



後半壊れて下ネタに突入していたが、どうやらシオティンは思い留まることが出来たようで――



「行きますよ! 必殺! 兄離れキーーーーックです!」



草の攻撃じゃなく、ぶっ飛びドロップキックをかますミドリ。



そして、それを全力でシオティンは受け止め――




「はべらぁぁぁぁぁぁっぁあぁああああ!」

「ぐべぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇええ!」



背後にいたオタ・クールもろとも吹き飛んでしまった。




それを眺めていた俺は、背後で立ち上がったアクア、そしてファイアに同じように吹き飛ばされてしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ