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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第44話:日常の一コマ ~ 学食

「兄貴……? どうしたの?」



俺と詩織、そして緑川さんの三人は、またまた学食にいた。




詩織は俺との親睦をより深めようと、更にアグレッシブになっている。



今日もそんな勢いで学食に誘われた。というか、拉致された。



緑川さんも一緒に誘われたようだ。




緑川……さん。



うむ。



めっちゃ居辛い。




「……うぅ! どうせ……の事考えてるんでしょ……

ふん! 最後に笑うのは私だし!

悔しいけど……我慢して……私が……! だからもっと兄貴と……!」



と、思い出したのか、唸り出す詩織。



まぁ、確かにミドリの事を考えてたけど、どちらかと言うと、その本人である目の前の緑川さんの事だけど。




「お兄さん? 詩織ちゃん? どうかしたの?」




いつものように、ほんわかな緑川さんは、首を傾げながら尋ねる。



そんな態度と表情に、俺は可愛く感じてしまってるという。




「ん? ううん! 大丈夫。

ちょっと兄貴を惑わす輩がいてね。ちょっと気を付けないとなって思って」



「ふふふ! 詩織ちゃんはお兄さんの事好きですからね」



「あったり前よ! あのファック女狐め……」



いや、その女狐は目の前にいるんだけどね。




「兄貴! その唐揚げ欲しい」



と、それまで唸ってた詩織が、急にそんなことを言い出した。



でも、まぁ、これはいつもの事なんだけど。




「ったく、仕方ないな。一個だけだぞ」



「やだ。三つ頂戴」



「はぁ!? それ全部ってことだろ!? お前ふざけんな――」



と言った所で、緑川さんは、




「ふふふ! 仲が良いですね。

この前も間接キスしてましたし」



あれは間接キスじゃなくて、よだれをかけられた唐揚げを食わせられた罰ゲームだろ……



それに、寝こみを襲われてるらしいから、間接どころじゃないんだろうし……



って、思い出したところでゲンナリしてきた……




「あれ……? 依光くんと詩織ちゃん……と叶……珍しいわね」



と、そこに、うどんセットを持った、赤城さんが現れた。




「あれ? 赤城さんも、いつもお弁当なのに珍しいじゃん」



「今日は寝坊しちゃってさ、参ったよ」



「なんだ、そうだったんだ。まぁ、こっちは詩織に拉致されたんだけどね……

あ、ここ空いてるぞ」




と、俺たちの隣の席が空いてたので、赤城さんを座らせる。



うちの学食や購買はそこまで混まない。というか、十分なスペースや容量が確保されてるので、乱雑にならない、と言った方が正しいか。



ただ、定食だけ数が限られてる。




ん?



ふと、詩織と緑川さんの怪訝な視線が俺を打つ。




「どうしたんだ?」



「いや、兄貴、その……もぐもぐ……赤城さんと随分距離感が……もぐもぐ……近いなと思って」



詩織の言葉に、緑川さんも頷く。




あ、そっか。



赤城さんとはいろいろあって、かなり、ざっくばらんな物言いが出来る仲になっていた。



まぁ、ギャップやイメージで悩んでいたので、俺も出来るだけ協力して、徐々にクラスの皆にも受け入れられると良いなとも思ってる。



ただ、まぁ、そんな早くは上手く行かないけどね。




「いや、まぁ、クラスメイトだし?」



「ふーん……もぐもぐ……まぁ、もぐもぐ……良いけど……」




詩織はジト目で俺を睨む。と、その口には何か大きいものを頬張ってて――




ん? あれ? 俺の唐揚げがいつの間にか無くなってる!?



「おい! 詩織!? 俺の唐揚げ取りやがったな!?」




「もぐもぐ……うん。だって、くれるって」



「言ってねぇし! 一言も言ってねぇし!」



「しょうがないにゃあ、兄貴。じゃ、はい。あーん」



と言って、詩織は自分の口から咀嚼していた唐揚げを出し、俺に向かって食わせようとする。




「お、お、お前……それは……ちょっと……前よりもかなりレベルアップしてんじゃねぇか……」



さすがに、これは緑川さんも赤城さんもドン引だ。




「依光くん……え? そんなことしてるの?」



赤城さんは、何故か俺を非難する。



まるで、俺がこんなプレイを熱望してるかのようなセリフは止めて欲しい。




「違うって、こいつが勝手にやってるだけ!

――うぉぉ! あぶねっ!! もう良いから、そのまま食えよ!」



赤城さんに説明しつつ、詩織の攻撃? を避ける。




と、その時、



「あ! 詩織ちゃん、次の授業、私たちが準備しなきゃだよ!」



「え? あ! そうだ! プロジェクター準備しないと」



と言いながら、必死に俺の口に唐揚げを入れようとする詩織。



「ほら! もう良いから、行けよ!」



「くっ……ここは引き下がるしかないか」




そう言って、詩織は自分の口へ唐揚げを入れ、美味そうに食べながら、緑川さんと一緒に食堂を後にした。




「はぁ……疲れた……

って、唐揚げ全部食われたし!!」



俺は自分の皿が空になってるのを見て、先ほどの悲劇の始まりを思い出した。




「ふふ! 良かったら、私の少し食べて。 私には多いから」



と、赤城さんは俺の反応を待つ前に、立ち上がってカウンターへと言ってしまった。



あぁ、取り分ける小皿を取りに行ってくれたのか。



何か、悪いことしたな……




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