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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第41話:ごめんなさい

……本気を出したミドリは強かった。



しかし、どうして、そんな発想になるのか。



普通に、人気のない所へ行けば――って、あぁ、そうか。ファイアやアクアを筆頭に、ギャラリーで埋まるか……そうだよね……




ここは商店街の中央広場。



そう、別にさっきと場所は変わっていない……のだが、ここはクレーターと化していた。



隕石が降ってきたわけじゃないんだが、ミドリの奥義とか何とかで、手からビームが出たかと思ったら、大爆発を起こした。



うん……



そして、こうなって、みんな……吹き飛ばされて、どっか行っちゃった……



あ、エテ公はさすがに神様だけあって、彼方へと吹き飛ばされなかったようだ。



頭から地面に突き刺さって、地面版の犬神家になってるけど……




「これで……邪魔者は消えました」



「あ、う、うん……」



「あ、大丈夫ですよ! みんな生きてますから……死んでというのは、その、言葉のあやで……

それに一般の人にはヤマティンさんに使った防御シールドを、吹き飛ばされる程度に張りましたから」




あたふたして、可愛い感じのミドリ。



でも言ってる内容は物騒すぎる……それに、俺が戸惑ってるのは、本当に殺してしまったかどうかの不安だと思ってるのか?



いや、ミドリも大概に天然だわ……いや、知ってたけど!




「そ、それで……お話しって……?」



「あ、う、うん……」




ミドリは真っ赤になって、俯いて。でも、恥ずかしそうに、こちらをチラチラ見ている。



あぁ……可愛いな。



守ってあげたくなるというか、さっきの必殺奥義を見せられてもそう思う。




「実は、この前の告白の返事……しなきゃと思って」



「――っっっ!?」



「で、そ、その――」



「あ、あの! べ、別に私が言いたかったことですし、返事なんて、そんなの……気にしないでください!」



「でも、そういうわけには……いかないから。

ちゃんと……言わなきゃって思って」



「……」



俺の真面目な言葉を聞き、ミドリは顔は俯き気味だが、直立不動となり聞く姿勢? となる。




「実は、俺……放っておけない子が――」



「――え? ヤ、ヤマティンさん……好きな人が……いるんですか……」




俺の言葉を途中で遮り、悲鳴に近い声がミドリから零れた。



いや、まだ話の途中!



好きな人じゃなくて、それは、何というか家族で、でも放っておけないから、コイツが兄離れするまでは面倒を見ないと――って続けようとしたけど、




「そ、そうですよね……」




勝手に納得したミドリは、両目から涙を流し始める。




「――え? い、いや、ちょっと……」




その涙の顔に、俺は狼狽えて、どうすればいいのか混乱してしまう。



いや、だって。こんな場面、さすがにキツイ……




――あ、そうか……



断るってのは、こう言う事か。



……何を俺は安直に考えていたんだ……




葵との一件が、俺をポジティブにしていたけど、あれは例外だ……




「うっ……うう……う……っっっっ」



ミドリは両腕で顔を隠し、声が漏れるほどの嗚咽を出し始めた。




「……好き……なんです……ヤマティンさん……っっ……

うぅ……でも……私じゃ……うぅぅ……っっっ」




ミドリは泣きながら、一生懸命、俺への想いを言い続ける。



次第に言葉は枯れ、嗚咽だけとなる。



そして俺は話の続きが出来なくなってしまった。




ミドリを振るのが怖くなった、悲しませたくない、そんな気持ちで続きを言えなくなったのではない。



いや、それもある。もちろんある。



だけど、いちばんなのは……その泣いて訴える姿に、俺は……何と言うか、こんな事を言うとアレだが……感動してしまった。




こんなにも、俺の事を……? 泣いて訴えるほど、俺の事を……? そう思うだけで、俺は感動し、嬉しく思い、そして全力でその想いを受け止めたくなってしまう。




「――ミドリ」




俺はもう、良く分からない。



考えてしゃべっていない。




「違うんだ、その、違う! そうじゃないんだって!」




「え……?」



ミドリは顔を上げた。



その顔は涙でグチャグチャに濡れており、目は真っ赤。




その表情を見るだけで、俺はいたたまれなくなる。




「妹が兄離れする間、待って欲しいんだ」



「……え?」



「俺は、ミドリのこと……気になってる……」




「――っ!?」





言ってしまった。



でも、不思議と後悔とか不安とか、そんなのは無い。



葵のことも、そして詩織のことも含め、俺はミドリ――緑川さんのことが……とても気になる存在へと変わった。




あぁ……こういうのってあるんだな。自分で言うのもなんだけど、急展開だ……




「ヤ、ヤマティン……さん……」




ミドリは微笑む。



涙で濡らした顔、そのままで。




「はい。待ってます。

私、ずっと、待ってます。

だって、私はヤマティンさんしか……考えられない……から」




……



……あぁ……だめだ、これ。



こんなこと言われたら、男としてキュンキュンくるわ……




うん、俺、ミドリのこと……かなり意識し始め――




「ふ……ふふ……」




そこに、自虐的な笑みを浮かべ、そして両目から血の涙を流してシオティンは現れた。




――エテ公の影から。





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