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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第39話:そして戦いの日常

「はははははは! 疑いもせずに来るとはな! マジカル・キュアどもが!!」



今日もウザダーは絶好調だ。



いや、いつもより、といった感じか。



ショックから立ち直り、俺はいつもの戦いへと繰り出した。




最近、俺たちの活躍というかドキドキが、マジカル・キュアへ悪い(俺たちには良い)影響を与えてるようだ。



なので、そこそこ給料が良くなっているのもあり、ウザダーは張り切っている。



ちなみに、この前の遊園地での出来事は、桃源町で起きた事ではないので、ボスもノータッチとのこと。



だけど、あの葵との……キスは、俺からドキドキさせたわけじゃないから、結局はカウントされないだろう。



むしろ、俺がドキドキさせられたので、ペナルティがあっても良いくらいだ。




と、そんな絶好調のウザダーは、マジカル・キュアを罠にかけ(また子供をダシに使って)誘き出した所だった。




「今日の俺は金回りも良くなって、いつもとは違うからな!」



ウザダーはそう言って、現れた三人のマジカル・キュアに怒鳴りつける。



俺はその一人に目を向ける。




以前とある出来事から、その子は”俺――ヤマティン”とは絶対に目を合わせなくなった。



いや、むしろ距離を開けて、戦わないのはもちろん、俺が絡んでいると他のメンバーへのサポートすらしなくなっていた。




「……ふふ、今日こそ決着をつけなきゃ……」



シオティンは、その子――ミドリに向かってそう呟く。




まぁ、何というか、あの告白の後、俺もどうしたらいいか分からず、有耶無耶にしてしまっている。



そして、どんな態度を取れば良いのか分からず、戦いの最中にも関わらず、お互いに気を使ってる感じになっていた。



いや、敵同士なのに何を言ってるか自分でも良く分からないが、そういうことになっている。




だけど、先日、遊園地での葵の言葉を聞いて、俺は再確認した。



なので、今日こそはミドリに言わなければと思っている。



葵への言葉を同等の言葉を。



このままでいい訳が無い。それがケジメだよな。




ちなみに、葵とはあの後、特にギクシャクしたりはしていない。



逆に、あっちから連絡が増えたくらいで、昔の様な馴染みさを戻しつつもあった。




「くらえ! マジカル・キュアぁぁぁぁ!!」



叫ぶウザダーは長剣の根本にある宝玉から、怪しい光線を出す。



脱力光線かと思ったが、それは電撃の様で――




「な、何――!?」

「あ、あぶな――!!」

「え!? え!?」




アクアとファイア、そしてミドリはギリギリでそれを躱すと、驚愕の表情を浮かべた。



それはそうだ。その攻撃は今までの脱力光線ではない。それはまるで例の10万近いボルト攻撃だった。




「ふふふ……私はパワーアップしたのだよ。

シオティン様からの修行を受け、神の力を手に入れたのだ!!」



シ、シオティン……様!?



え? 修行!? 神の力?




あ、そういえば、あの妹は神通力をコントロールできるよう、いろいろ勉強してるって聞いてたけど……?



え? まさか、これほどなの……!?




「ふふふ……あいつを囮にして、私は私の目的を果たすわよ……」



隣からシオティンの呟きが聞こえる。



どうやらミドリが目的のようだ。まぁ、そうだよな。




俺は何とか、ミドリと話をしないと……




「どんどん、いくぜぇぇぇ!」



攻撃力が上がったせいか、いつも以上にテンションが高いウダザーは、マジカル・キュアへと駆け出す。



マジカル・キュアの三人は、距離を取ろうと後ろへ逃れようとしたが、その内の一人、ミドリがシオティンに動きを読まれていた。




「これをぉぉ! 待ってたのぉぉぉ!」



シオティンは機械仕掛けの様な杖を振りかぶると、杖は真っ赤に輝く。



どうやら、神通力を発動させて、杖の攻撃力か何かをアップさせたようだ。



そして、まだ距離はあるが、そのまま油断していたミドリに向かって――



って、ダメだ! このままじゃ!




「――おるぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



俺は右前方――シオティンとミドリへ向かって、自分の杖を思いっきり投げた。



そして、その杖は、シオティンとミドリの中間地点に突き刺さり、攻撃しようとしていたシオティンは驚いて、動きを止めた。




「あ、兄貴!?」

「……ヤ、ヤマ……ティンさん……」




二人は俺を見て、驚いた表情。そして、その背後のアクアとファイアは、



「ひそひそ……何か始まるかもよ?」

「あの二人ね……でも、ここの所、ミドリの扱いが難しかったから、解決できると良いけど」

「え? じゃあまさか付き合う……? こ、恋人……!?」

「え? そういう話!?」

「キャァァ! ちょっとちょっと! 見よう見よう!」

「そんなの! やっぱり私は――」



……


全然、ひそひそ話じゃない話で盛り上がっていた。



って、あれ……?



ウザダーは……?



あ……いた。



あぁ……あの様子じゃ、シオティンとの打ち合わせ通りにいかなかったから、判断付かずにオロオロしてる感じだな……




「兄貴! ちょっと、どういうこと! どうして……邪魔するの……?」

「……」




すると、シオティンはそう言って、俺に詰め寄る。


ミドリは困った様子でそれを見ている。




参ったな……咄嗟の行動だったんだよな。



確かに、ここで変な言い訳すると、このブラック・マグマと、マジカル・キュアの関係そのものが崩れてしまう。




ど、どうしよう……




「兄貴ってば!」




……




「ミドリに大切な話があるんだ」




俺は素直にそう言った。




すると、



ミドリは顔が真っ赤になり、俯き、




「キャーーーァァァァァ!!」

「ちっ……っ……何なの……!」



アクアは色気付き、ファイアは憎らし気に。



そして、



「なん……だと……」



シオティンは驚愕し、



「え? え? シオィン殿……どうすれば……?」



最後の一人は困惑して、俺とシオティンを交互に眺めていた。



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