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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第32話:ダブルデート? ~ ダブルじゃなくなる

「でも、眼鏡が無事で良かったな……」



俺はベンチで休む白瀬さんに向かって、そう言った。




「あぁ……

しかし、私としたことが、不意を突かれたとはいえ……」



白瀬さんは、鼻血を防ぐためティッシュを詰めてるので、声が太い。



ちょっと間抜けで可愛い感じになっちゃったが、俺はそれを言葉にも表情にも出ないよう努める。



しかし、ペットボトルといい、ビニール傘といい、一体何が起こってるんだ?



詩織は相手を知っているようなことを言ってたけど……




「永礼ちゃん、実はね……」



と思ってると、詩織は白瀬さんに耳打ちを開始する。




「なぁ、大和。一体、何が起こってるんだ?」



聞き耳を立てようとしたものの、忠之が隣に来て、聞こえなくなってしまった。



仕方ないので、忠之の相手をすることにする。




「さぁ……俺も知らないんだよ。

別の勢力がいて、こちらにちょっかいを出してる――」



「別の勢力だと……!?」




と、忠之が興奮気味になる。



そう言えば、こいつはヤンキー学園の番長なんだよな。好戦的だったりするのかな……



すると、興奮気味の忠之と、話が終わった白瀬さんが同時に声を上げる。




「ふふふ……燃える展開だな。

なるほど、白瀬殿が敵に狙われてるので、我々はそれを返り討ちにするのが今日の計画か!」


「ふふふ……面白い展開ね。

三角関係じゃなくて、更なる多角関係と入り乱れ……!

私の……じゃない推薦図書が捗るわね!」




なんか、もう良く分からないから、帰っていいかな……




と、その時だった。




「あ、や、大和! ぐ、偶然だね!」

「依光くん!」



背後から、聞き覚えのある声が聞こえた。


俺はそちらに顔を向けると、そこには見知った顔が二人、佇んでいた。



「葵に……赤城さんじゃん!

こんな所で会うなんて、奇遇も良い所だね」



俺は驚いて、二人を見る。


まさか、ここでこの二人に出会うなんて思わなかった。



緑川さんはいないようだが……マジカル・キュアの打ち合わせか何かだろうか……




「ぐ、偶然ね! 私たちは、ほら……例のボランティア? 活動のでね」



葵はそう言って、赤城さんと一緒に俺たちの方に歩み寄ってきた。



「なぁ、みんな」



俺は二人を紹介すべく、後ろを振り返ると――




「真正面から……来たわね」

「あれが……その多角関係の……」

「……白瀬殿と敵対する勢力か……?」



そこには淀んだ気配が立ち込めていた。




……



……




六人になった。



素の姿とは言え、マジカル・キュアとブラック・マグマのメンバーがほぼ集まっている。



いないのはボスたちと緑川さんだけ。



まぁ、ここは咲浜市だから神通力も使えないし、変身も出来ないからある意味安全か?



だけど、そんな状況で遊園地でデートのロールプレイ。



ってか、六人でデートって、もうダブルデートも何もないよね……



もう、白瀬さんの思惑は完了して良いんじゃないかな。




「なぁ、白瀬さん……」



「ん?」



俺は、絶叫マシンの列の中、隣の白瀬さんに話を切り出す。




「……もう推薦図書のネタは全部上がった……かな?

さすがにこの状況じゃ、もう……」



「そうだな。

だけど、今の状況も使わせて貰うから、そのつもりで。

こんな多角的な関係というか、相関図だらけの展開はなかなか無いからな」



「そうですか……」



この状況も使うつもりでいるらしい。



俺の背後では、忠之が先頭の新参二人に鋭い眼光を投げ、その隣の詩織も同様に二人に対して真剣な表情だ。



そして先頭の二人は、こちらへ振り返り、




「ね、ねえ、大和。あんた絶叫系って平気だったりするの?」


「依光くん、私、ちょっと怖いかも」



と、この状況をなかなかに楽しんでいる。



――と、



ぎゅっ




突然、白瀬さんが俺の腕に自分の腕を絡ませる。




「依光先輩……私、怖いからこうやってても良い?」



上目使いでそんな可愛いことを言ってきた。




「「――!?」」



それを見た先頭の二人は固まる。



背後の詩織は、俺に向かって「ネトラレやって」と呟いているが、無視することにした。




「あぁ……あ、そのな、この状況って、実は――」



俺は先頭の二人に状況を説明しようとするものの、




「依光先輩……多角関係の取材をしたいので、このまま黙ってて」



と、小声で言われてしまった。




「ついでに優柔不断ヘタレ主人公を装ってて――

いや、いい。そのままだから、装う必要はない」



いや、はい、そうですか。



俺はミドリのことを思い浮かべながら、その言葉を少しだけ納得した。



やっぱり、返事……しないとな……




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