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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第30話:ダブルデート? ~ お化け屋敷

「じゃあ、早速だけどお化け屋敷に行きましょう」



白瀬さんは俺たちにそう提案してきた。




「本当、いきなりだな……でも、まぁアリなのか?」



俺はそう答え、他のメンバーの様子を見る。




「ふふふ! さっすが! 良いね良いね!」


「俺は何でも構わないぞ」



詩織と忠之も問題無さそうだった。




「じゃあ、そうね……最初は、普通のイチャ系も観察したいから……

詩織さんと、依光先輩のペアと、私と黒滝先輩のペアで進みましょう」



「ふふふ! まっかせて!!」



詩織は喜んで、俺の腕にしがみ付いてきた。




「じゃあ、さっそく行きましょう」



白瀬さんはそう言って、園内3つあるお化け屋敷の内、最も怖いという評判の「呪いの館」へと移動する。



蝋燭型のランプを手に持ち、俺たちは中へと踏み込んだ。



最初のメンバーは俺と詩織。そしてすぐ後ろから白瀬さんと忠之が来る。



なので、白瀬さんは俺たちを観察したいため、中で合流してほぼ四人の形で進んでいく。




「兄貴、怖いよぉ」



そう言って、俺の腕にしがみ付いてくる詩織。



「詩織はこういうの苦手だったっけ?

まぁ、怖かったら普通に手を握ってもいいぞ」



と、普通に妹に対する接し方だと思ったのだが、詩織はそうでもなく、




「……あ……お兄ちゃん……嬉しい……」



――くっ……ここで変貌か……でも、この状態じゃ逃げられん……




ぎゅ



詩織は俺の手を握り、体を密着し始める。




「――って、おいおい! 何をするんだ!」



「……だって、お兄ちゃんが優しいから……だめ?」



……この状態の詩織には逆らえるはずもなく



「くっ……な、何でもない!」



俺は修行僧のように、柔らかい感触のある右腕は無視することに決めた。




「……ふむふむ。凄い参考になるな。

まさか、こんな手があるとは……」



後ろの方では、白瀬さんが感心したかのように呟いてるのが聞こえた。




隣の詩織は、うっとりして俺の手を更に握りしめ、密着してくる。




「お兄ちゃん……」



そして、自分の顔を俺の顔に――




「よし、じゃあ交代しよう」



「「「え?」」」




突然の白瀬さんの言葉に、俺たちは立ち止って、その言葉の意味を考える。




「何となくだが、王道の展開は掴めた。

だから、今度は嫉妬心というか、ヤンデレというか、その事象を見てみたい。

私と詩織さんが交代しよう」



そう言った白瀬さんは、小走りに俺と詩織の間に入ると、さっさと俺の腕を詩織から奪い取った。




「……先輩……怖いです」



突然、白瀬さんはそんなことを良い、自分の腕に俺の腕を絡ませてくる。



腕に詩織より少しだけ豊かなものが当たるのを感じてしまう。




「んなっ……!? ……!」



詩織は悔しそうにした後、後ろに戻り、忠之の横へ並ぶ。




「……兄貴、良いの? そんなことしてると、こっちだって嫉妬させちゃうよ?」



そう言った詩織は、忠之の腕を掴むと、同じように腕を組む姿勢になる。




「い、妹殿……そ、その、こういうのは、俺は、その、ちょっと――」



忠之は顔を真っ赤にして、かなり慌てている。



ふむ……どうやら忠之は、この手のことに関しては奥手のようだ。まぁ、俺も人の事は言えないけど。



とは言え、俺もシスコンが入ってるので、ちょっと良い気はしない。だけど、詩織もそろそろ兄離れをするべきのような気も――




「先輩、後ろの子なんて放っておいて下さい」



白瀬さんの可愛らしくも演技染みた声に、俺は意識を戻させられた。




「私、怖いんです。だから、もっと……くっついて欲しいんです」



何……この生き物……?



白瀬さんと思ってた人は、何か違う物体に置き換わったのか……?




いや、恐らくも何も、確実に演技だろうけど、白瀬さんがこんな破壊力を持っているとは思わず、その声と表情と腕の柔らかさに、俺は意識を刈り取られそうになる。



なので、つい、




「お、おう……わ、分かった……」



俺はそう言って、詩織のことを無視すると、後ろから悔しそうな声が聞こえた。




と、その時、




――ガサガサっ!



右側の陰から、お化け役が現れた。



――の瞬間、詩織は忠之を一本背負いし――




「「――――んんんぐべらぁぁぁぁぁぁぁああっっっ!?」」



その勢いのまま空中で手を放し、そのお化けに叩きつけた。




「兄貴、怖かったよ……

私以外全滅したから、私も兄貴と一緒に行くね……」



そう言って、詩織は俺の逆側の腕を取ると、白瀬さんと同じ様に胸を押し付けて、こちらに熱い視線を投げる。



……おまえの方がこえぇよ……



俺は倒れた店員と忠之を起こし、引き続き回廊を進んだ。


ちなみ、「店員には忠之が驚いて転んで突っ込んだ、ごめんなさい」と言い訳した……




「なかなか面白い展開だな。

三角関係とは、こんな感じなのか」



白瀬さんは喜んでスマホにメモっていた。



「……このまま継続すると、ヤンデレやネトラレにも繋がるな……

どうしようか……」



隣で白瀬さんは、本当に止めて欲しいことをブツブツ呟いている。



ちなみに、詩織は元の配置に戻り、機嫌悪そうに後ろで忠之の隣で歩いている。




「詩織さん……」



すると、突然白瀬さんが後ろを振り向き、




「次は、ネトラレやってみましょう」




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