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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第29話:ダブルデート? ~ 遊園地

「依光先輩、私、お弁当作ってきたんだ」



コッスモワールドに到着し、空中で周回するブランコの前に来ると、隣にいた白瀬さんがそう言った。



鞄とは別に、小さな紙袋を掲げて見せる。




「サンドイッチだよ。

食べさせて……あげるね」



何というか、今までの硬い白瀬さんとは違い、コロコロ表情が変わる、いわゆる女の子の顔でそう言った。



「お、おう……ありがと」




「兄貴。私も作ってきたんだよ!」



そう言って、詩織は俺の腕に抱き付いて、小さなかごバックを見せた。



「私は、口移しで食べさせてあげるね。

いろいろ薬も仕込んでるから、そのまま眠っても良いからね」


「お前のは絶対に食わねぇよ……」



そんなやりとりをしていると、



「ふむふむ……

お互いの嫉妬バトルは、こんな感じなのか……

なかなか三角関係という描写も難しいな」



白瀬さんはそう言って、スマホに何やら書き込んでいた。



「ん? あぁ、これが例の調査。

思い付いたのは、いろいろメモっておかないとね」



「なるほどね……それで、そういう態度だったのか……

って、そう言えば、白瀬さんって、どんなのを創作してるんだ……?」



隣に詩織がいるので、俺は聞こえないように白瀬さんに尋ねた。




「私は……」



そう言った白瀬さんは、少し空を見上げると、



「……ふふっ、秘密だよ」



俺の目を見て、少し微笑んでそう言った。



……



……可愛いかも




「い、痛い! 妹殿! 痛いぞ! 足を踏んでる!」



「踏んでるんじゃなくて、踏みつけてるの。

兄貴の表情がエロいから……イライラしてるの。

だから、そのまま踏みつけられなさい」



「や、大和、助けてくれぇ!」




白瀬さんにドキっとした時、背後でそんなやりとりが聞こえた。




……



……




「葵……前回よりもかなり直接的になったけど、遊園地だと目立つからね……」



「そう? ……あの妹が相手だとつい本気になっちゃうんだよね」



そう言った葵は、満足げに肩を回していた。




「いくらなんでも、買ったばかりのペットボトルを投げつけるなんて」



「気にしない気にしない。

あの妹は、これで私の意図に気付いたはずだから。

これで……私の存在を嫌というほどに見せつけないとね」



葵はそう言うと、遊園地の券売機の所から、ターゲットたちを観察した。




「でもさ、小鳥。これってどうみてもダブルデートにしか見えないよ?

図書委員の手伝いって、遊園地じゃやらないでしょ」



「……そう……だよね……やっぱり

うーん、でもまだ手伝いでもあるような気もするし」



「私は、もうデートと認識したよ。

だから邪魔する」



「あ、そ、そう……」



「ね、小鳥」



悩んでる小鳥に向かって、葵は真面目な表情で言い寄る。




「……もし大和のことが……そういう気になってるなら、私に遠慮は要らないからね。

さっきも、洒落の様に言ってたけど、洒落じゃなくて良いから」



「……」



「それはあの妹だって同じ土俵にいるし。

だから、これは聖戦なの! 譲れない戦いなの!」



「あ、うん……分かったよ……

でも、まだ自分の気持ち分からないから……その内容には未だ返答できない……かな」



「そっか」



「でも、あの四人を邪魔するのと、恋愛って関係無くない!?

そもそも自分の気持ちを相手に――」



小鳥は葵の不条理さを嘆こうとするが、




「だまらっしゃい! 相手を貶めて、自分を持ち上げて、そして付け込む……!

ふふふ……楽しいじゃない」



小鳥は葵の腹黒さを改めて認識すると、過去の清楚な葵はもう二度と見ることは無いんだろうと確信した。



それと共に、自分もその気持ちが少し分かるだけに、私も同じような考えを持っていることに気付く。




「やっぱり、自分を出していかないとね……」



「ん?」



「ううん! 分かったよ、葵!

徹底的にやろうじゃない。あと、私も……気持ちに気付いたら、葵に対して遠慮しないからね」



「……そうこなくっちゃ!

……小鳥も、やっぱり変わったね。その方がずっと良いよ」



「ふふふ」



「ふふふ」



二人はそう言って、固い握手を交わすのだった。


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