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俺と妹が悪の組織に入りました  作者: モコみく
2章:悪の組織、活動中です
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第17話:デートは突然に ~ 緊急事態

「み、店の中、誰もいなくなったね……」



雑貨屋を後にし、昼食のため喫茶店に入った俺たちだが、入ると同時に店の客は叫びながら逃げて行った。




「そ、そうですね……

……

でも、仕方……ないです……

私たちは……敵同士なんですから……」



「そ、そっか……」




少しテンションが下がったけど、とりあえず、二人席に着く。




店員は頬を引きつらせながらも逃げずに対応してくれた。


きっと、ここにマジカル・キュアの存在を確認したからだろう。




ちなみに、マントは燃えてしまったので、捨ててきた。


まぁ、変身後に自動的に装着されるものなので、変身を解けば勝手に消え、再変身すれば復活するだろう。きっと。




”カラーン”




お。客が入ってきた……



また俺たちの姿を見て、逃げるのかな?




「……」



と思ったのだが、俺たちを一瞥した後、その客は黙って席に着いた。




その客は一人のようだが、深い帽子にメガネ、マスク、コートという恰好。



……何というか、怪しさこの上ない。




「何を食べましょうか?

ランチもあって、お得ですよ」



機嫌が良いミドリがそう言って、俺にメニューを薦めてきた。




「あ、そ、そうだな」




あの怪しい客が、俺に火を放ったんじゃないよな……



気になるけど、ミドリを放っておくわけにも行かない。




よし! 楽しいデートなんだから、ミドリの事だけ考えるように――




”カラーン”




と思った時、更に喫茶店の入口のベル音が響いた。




「へ――っ!?」



入ってきた客は二人組。



……なんだけど、その二人の恰好は深い帽子にメガネ、マスク、コート。



先ほどの怪しい客と全く同じ格好だった。




その二人組は、やはり俺たちを一瞥した後、黙って席に着いた。



え? あのスタイル流行ってるの? 何で? どうして? もしかして暗殺者に囲まれたの!?




「どうかしたんですか……?」




あ……ミドリが不安そうにこちらを見ている。




「ううん!

どれも美味しそうだから、ちょっと迷ってさ……

ミドリは……その……決めた?」



「はい!

私は、このオムライスセットにしようかなって」




「あ、それ美味しそうだな!

じゃあ、俺もそれにしようか」



と、注文が決まったので、店員を呼ぼうとした時――




「キャー! もしかして、マジカル・キュアのミドリさんですかぁ!?

私、ファンなんですぅぅぅ!」




いつの間にかミドリの横に、先ほどの怪しい客の一人が立って、そう叫び出した。



俺とミドリは何が何だか分からず、硬直していたのだが、怪しい客は更に声を上げ、




「あ! そちらの方は、ブラック・マグマの方ですね……

こう言っては何ですが……

すっごく、お似合いだと思いますよぉぉ!? ラブラブなんですねっ!」




「――へっっっ!? ラ、ラブラブッッッ!? ……そ、そんなこと……

ヤ、ヤマティンさんに失礼……ですよ……」




その言葉に驚いたミドリは、一瞬で真っ赤になって、俯いてしまった。




「きっと、これから結婚の――」



と、今度はとんでもないことを言い始めた矢先、




「――くぁwせdrftgyふじこlp!!」




後から喫茶店に入ってきた二人組の一人にボディブローを叩きこまれ、そのまま引きずられて喫茶店を出て行った……




「……え?」



「……な、なんだったのですか……ね」




俺とミドリは顔を見合わせ、固まってしまう。




「と、とりあえず、注文しようか!」



「そ、そうですね!」




せっかくのデート。ミドリに嫌な気分をさせるのは男としてありえない!



俺は細かいことは無視して、ミドリとのデートに集中することにした。




……



……




楽しい……



お互いの緊張が少しずつ解け、ミドリも良く笑うようになった。



それに加えて、たまに俺の顔を見て、真っ赤にして目を逸らすなど、可愛くて仕方がない動作をしてくれる。




デートとは、史上最高のパラダイスなのか……!?




「ヤマティンさん……

次はどこに行きましょう……か?」



喫茶店を出て、俺たちは商店街を歩いている。




今日は一日、商店街から出るつもりは無い。


ましてや、電車に乗るなんて、無理だ。



と言うのは、例の結界――神による神通力の影響が及ぼすこの街でしか、きっとこの恰好は無理だからだ。




「じゃあ、次は洋服でも……近くにセレクトショップが――」




俺がそう言いかけると、懐に入っている変身用の十字架が震えてるのが分かった。




「何だ……これ」




ヴーーーーッ! ヴーーーーッ! ヴーーーーッ!




勢いよく十字架は震えてる。



まるで、バイブだな……




……これって、もしかして、連絡用の手段でもあるのかな……



といっても、ボタンは裏のエスケープボタンしか無いし……



いいや、試しに押してみよう。




……




「おい! ヤマティンか!?

緊急事態だぞ!」



バイブが止み、オタ・クールの大声が十字架から響いた。




「緊急事態!?

ってか、これ、連絡手段にもなるんだな」




「ああ。そうだ。

ボスによると、連絡したいメンバーを思い浮かべて、十字架に話しかけるだけだったはずだ。

繋がると、相手側の音声が聞こえるようになる」



「話しかけるだけ……?」



「そうだ。簡単だろ?

私のはアプリになってるから、普通の電話のような機能だけど」



「あ、そ、そう……」




「それより、緊急事態だ!

休日なのにも関わらず、マジカル・キュアが攻め込んできたぞ!」




「――え?」

「――へ?」



俺とミドリの声が重なった。



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