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3-4-3

(駄目だ駄目だ。もっかい、事件について調べないと)

 ノゾミはぶんぶんと頭を左右に振って、物理的に邪念を追い出そうとした。

 お陰でいくらか整頓された脳内に、パソコンの画面からの情報を流し込む。その内の一つに、ノゾミは酷く動揺した。


「嘘、もうこんな時間!?」

 画面の右下に写るデジタル時計は、十五時を十分ほど過ぎたところで点滅している。

「今日は四時から診察があるんだ。急がないと」

 それは言うまでもなく、怪我の途中経過を見るためのものだ。

 病院までは駅から出ているシャトルバスで行くのが一番早い。それでも着くのは予約時間ぎりぎりになってしまうだろう。


「ミコトはどうする? ここに残るか?」

 一応聞いておこうと思い、身支度を整えながら口早に問うと、予想通りの答えが返ってきた。

「ノゾ君と一緒に行きたいです」

「付いてきても、面白いこととかないぞ」

「一人でいるより良いですよ」


 ノゾミはそれに返事をしなかった。しなくても良かった。

 その沈黙は、肯定を表しているのだと互いに理解しているから。

 家に居ても外に出ても一人だったノゾミが、家族以外の者とこんなに長い時間いれば口数も増えるかもしれないと思ったのだが、そうなったのも最初の内だけだった。最近は(むし)ろ、徐々に減っていった気がする。

 

 それは良く言えば、二人が気の置けない関係になったということ。悪く言えば、言葉でコミュニケーションをとるのはそれほど上手くはなかったことを意味する。主にノゾミの方が。

 気の置けない関係になったというのは、もしかしたら互いの空気感を把握してきただけかもしれない。

 いずれにせよ、二人は必要以上に存在感を意識しなくなっていた。もちろんこれは良い意味で。


「よし、行くぞ」

 病院に行く準備が出来たので短く出発の合図を出すと、ミコトは既に玄関に立っていた。

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