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3-4-2

「犯人は、一体何を目的としているんでしょうね」

 ぽつりとミコトが呟いた。それはノゾミもずっと考えていたことだ。

「さあな。事件の頻度も不定期で、被害者も犯人とは全く面識が無い。そんなのにちゃんとした目的なんて......」


 頻度が不定期というのも、短くて犯行の間隔が半月ほど、長くて三ヶ月は空いているからだ。

 そもそもこの惨劇が始まったのは半年前。まだ冬の冷え込みが厳しかった頃だ。その当時のノゾミといえば、とにかく外界との接触を避けていたので、事件に対しての印象も薄かった。


(でも、今もこんなことにならなかったら、(うち)に引き籠もってただろうな)

 それは簡単に予想がつく。ミコトと逢ってから、ノゾミは今までの比にならない位外に出るようになった。

 それもこれも、生きる意味を見つけたからだろう。


「あいつは、何がしたいんだろ……」

「ノゾ君?」

「――あ、いや……」

 無意識の内に心で思っていたことが声に出てしまっていたようだ。はっとして口を紡ぐが、時すでに遅し。


「どうしたんですか」

「んー……俺が死ぬために生きているみたいに、あの殺人鬼も何か理由があって生きてて、あんなことしてるんだよなって、思って」

 あの卑劣な行為にも、訳があるはずだ。人を殺すのも、事件の度に遺体の体の一部を持ち去るのも。


「死体のコレクションでもしてんのか?」

「それも、否定は出来ませんね。ムクロは人の体を具現化した存在ですから」

 死体を集めるなら犯行現場から一部を運ばないで、近所で誘拐してから殺したりはしないのだろうか。と考えかけて途中で止めた。

 彼と同じ思考回路に陥ってしまう気がして怖かったからだ。


 そんなことあってたまるかと思う一方で、彼に刺されかけて無様に嗤っていた自分ならひょっとして、という予感が頭をよぎる。

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