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「あの人の体格よ。アンタより背が高かったでしょ」
「ああ」
それがどうした? とでも言う風に答えると、ショウの疑いが確信に変わったようで。
「ムクロも、あの人と同じくらいの身長のはずよ」
「そうだったんですか?」
ミコトはあの時――ノゾミの胸に飛び込んできた時――男が去るまで顔を上げていなかったから、気づかなかったのだろう。
「ええ。サトリはアンタよりも少し背が低いし、レイは女の子だから除外できるわ」
「なら、そのムクロが……?」
ノゾミの問いかけに、すぐには答えが返って来なかった。
夏の暑さを吸収した風が、三人の間に割って入る。綺麗にしたばかりの道路に新しく葉を落としていく大木から、喧しい蝉の声が聞こえてきた。それに触発されたかのように、ショウが控えめに声を上げる。
「ここまで言っておいてアレなんだけど……アタシはあんまり、仲間を疑いたくはない、かな」
「……ぁ」
その時、ノゾミは大切な事を見失っていたのに気が付いた。
彼らはノゾミからしたら疑念を抱くべき対象だ。だが二人からしたら、ずっと前から親交を深めてきた仲間なのだ。
「もしかして、ミコトもそう思ってる…よな」
おずおずと切り出すと、ミコトはゆっくりと瞬きしてから、ノゾミの目をまっすぐに見つめてきた。
「それはもちろん思いますよ。でも、これは僕から言い出したことなんですから」
そのしっかりした目つきは、とても今朝まで子供っぽい一面を見せていた者と同一人物だと思えなかった。
「あの、俺、二人のこと全然考えてなくて……」
「仕方ないわ。ミコトが言う事も筋が通っているもの」
確かに、殺人鬼はミコトを知っていると見て良いだろう。そうすればミコトの推理も辻褄が合う。だとするとやはり、疑わしい人物はそこに行き着いてしまうのだ。




