3-3-2
ショウが地面を掃いている間に、ノゾミはここに来た理由をかいつまんで説明した。するとショウは一旦手を休め、少し頭を捻ってからきっぱりと告げた。
「悪いけど、思い当たる節はないわね」
「そう、か……」
淡い期待を抱いていたせいもあり、自分の予想以上に気を落としていた。顔には出していなかったが、僅かに肩を落としたのに気が付いたのだろう。ミコトがもう一度ショウに呼びかける。
「どんな些細なことでも良いんです。何かありませんか?」
「そう言われもねぇ……確か、最後に逢ったのはレイだったかしら」
「レイ?」
ノゾミが首を傾げると、ショウが葉を掻き集めながら言った。
「レイは魂を具現化した子よ」
「他の二人は何ていうんだ?」
すると今度はミコトが口を開く。
「ムクロとサトリ。それぞれ体と感覚を具現化した存在です」
「でもみんな人の命をぞんざいにするような事はしないわ。ミコトだって分かってるでしょ」
その時、少しだけショウの視線が険しくなったような気がした。ミコトもそれを感じたのかもしれない。俯き気味に言い返す。
「分かってます。でも、万が一ということもあるかもしれません」
「万が一、ね……」
再び何か考えるような素振りを見せたショウは、今度はノゾミに視線を向けた。
「そうね。人生何があるか分からないものね」
「何で俺の方を見て言うんだ」
「死にたがってたのに死ねない体質になるなんていう特殊な人もいるんだから、三人に何が起こってもおかしくないのかも、って思って」
相変わらずの口振りだったが、どうやら本心で言っているようだ。




