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それが一体なんの意味をなしているのかまでは、情報が少な過ぎて判断できなかった。だが、二人が接近する度にミコトにそれが伝わるというのも不思議な話だ。当の本人ではなく、その場に居ない者が受容体となることなど、あり得るのだろうか。
ノゾミは二人が、いや三人が、見えない糸で繋がっているかのような錯覚を覚えた。
「とにかく今は、より多くの手掛かりを集めた方が良いみたいですね」
ミコトはそう言ってくれるが、ノゾミにはある心配事があった。
それは、他の三人が殺人鬼である可能性がある以上、ショウにも何か裏があるのかもしれない、というものだった。さすがに殺人鬼と同一人物だとは思っていない。ショウもあの場に居合わせていたのだから。
ここまで力添えしてもらいながら彼女を疑うというのは何ともおこがましいが、素の性格が邪魔をして疑心暗鬼にならずにいられなかった。
「……」
「ショウは信頼できますよ。僕が保証します」
「え……?」
ノゾミは虚を衝かれたような表情でミコトを見返してしまう。そこには柔らかく微笑むミコトの笑顔があった。
「三人に疑惑がある以上、ショウのことが気になるのは分かります。でも、四人の中で僕と一番仲良くしてくれたのはショウなんです。だから、ノゾ君が不安に思う必要はありませんよ」
本当に、心を読まれてしまったのかと思った。
だがミコトにそれが出来るはずもない。ミコトは頭が切れるから、いくつかの材料があればそこから導き出せるのだろう。
ノゾミは、ふっ、と笑みを零してから何かを見切った様に言った。
「ミコトには敵わないな」
「そうですか?」
「ああ……これ食い終わったら、行ってみるか」
「はいっ」




