2-11-2
(え、今なんて……)
精神を具現化? 精神を殺せる?
確かに不思議な少女だとは思っていたが、それがこんな形でショウの秘密が明らかになるとは。
「病院を飛び出してしまった僕は、偶然ショウと出逢ったので、彼女の所にお世話になっていたんです」
「そうなのよ、千年振りに逢ったからびっくりしちゃった」
「せ、千年……」
それはショウも人間ではないということを示唆していた。今まで普通に接してきた人がそのような存在だと思うと、途端にショウとの間に深い溝ができてしまったかのような感じがする。
「それで、ミコトがアタシの所にしばらく置いてくれって言うから、何で、って聞いたら『僕はもう居ない方が良いのではないでしょうか』なんて言うのよ」
「シ、ショウ、それはっ」
ミコトは慌ててショウを遮ろうとするが、その口は止まらなかった。
「鈍感なアンタのために教えてあげる。ミコトはね、アンタに嫌われたと思って結構悩んでたのよ」
心なしか、キツめの口調で言われた気がした。
もちろんミコトを傷付けてしまったことは重々承知している。だが、心を具現化した存在だというショウに言われると、自分がしてしまったことの残酷さを思い知る。
「怒ってる…よな」
「怒ってるっていうか、がっかりしたわ。せっかく貰った命なんだから、また死ぬなんて勿体無いじゃない」
その言葉で、ノゾミは完全に黙り込んでしまった。ショウの言うことはもっともだ。第三者から見たら、誰もがショウの意見に賛成するだろう。
そんな当たり前のことを言われて初めて、ノゾミは己の身勝手さを思い知る。
「アタシももっと早く、ミコトが助けたのがアンタだって気付くべきだったわ。とにかく、アタシはアンタが死にたいって思う理由を聞くまでは納得できない」




