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2-6-4

「俺さ、こないだ事故に遭って、それである子に助けてもらったんだ」

「じゃあ、そのギプスって……」

「ああ。でも、俺は本当は助からなくていいって思ってたんだ」

「そう」

 ショウは意外にもあっさりとノゾミの話を受け入れてくれる。それが、ノゾミの口調を軽やかにした。


「それで、助けた子はその事を気に病んでたみたいだから、あまり思い詰めてほしくなかったんだけど、俺には人の励まし方とか分かんなくて……」

「アンタは、何て言ったの?」

 その言い方が尖ったように聞こえて、ノゾミは何かまずいことを言ったのだろうかと逡巡(しゅんじゅん)する。だが、会話の()にせかされているようだったので、次の言葉に託すことにした。


「俺のことはいいから、外の空気でも吸ってきたらどうだ、って。アイツがこれ以上俺のそばに居ても悪循環だと思ったし」

 ショウは、どんな顔で聞いているのだろう、と思いそちらへ視線を向ける。すると、なぜか不機嫌そうな表情が、ノゾミの眼に映った。

「本当にそれだけ?」


「え、あとは確か……俺なんかに構わなくていい、って」

「それでその子が出て行っちゃった、ってことね」

 ショウにどこか気迫がある感じがして、ノゾミはそれ以上言葉を紡ぐのを止めた。

 その時、急にさっきまで大人しかった風が騒ぎ始める。真っ黒な木々がざわざわと囁き、途端に辺りの静寂が目立つようになった。


「アンタってさ、人の心とか分かんないの?」


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