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2-6-3

 その瞬間、涼しげな夜風が二人の頬を撫でた。

 昼のべったりとした風よりもはるかに清々しい、澄み切ったものだった。

「俺、そんな風に考えたことないんだけど。それに、もう親にも素直だなんて言われてないぞ」

「それでも、何て言うかな……無意識の内に罪悪感を抱いてるとか? たぶんアンタが嘘をつくのが苦手なのって、そういうことじゃないかな」


 ショウの言葉が、心どころか体中に()みた気がした。

 まるでノゾミ自身すら把握していなかった心情を、ずばりと言い当てられたような、そんな感じだった。

 だが、今のノゾミが素直だなんて、本当にそう言い切れるのだろうか。


「なあショウ、俺はさ、実は……人探しをしていて。それであそこに居たんだ」

「そうだったのね。早く言っちゃえば良かったのに」

「詳しく話せない事情があって。それで猫探しだなんて嘘言ったんだ」


 それは、溜めていたものを少しずつ吐き出すような、ゆっくりとした口調だった。

 昼間は自分以外にミコトを探せる人は居ないと、そのことしか考えていなかった。でも今は、もしかしたらショウならば、何かヒントになることを言ってくれるのではないかという、淡い期待がある。

 ノゾミは緩やかな夜風に乗せるように、滑らかにそれを告げた。


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