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再び微睡みかけていた時、誰かがノゾミの顔を覗き込んだ。看護師らしきその女性は、ノゾミと眼が合うなり慌てた声で言った。
「あ、気づきましたか!? ここは病院ですよ、今先生呼んできますからね」
そう言ってノゾミのベッドを離れ、パタパタと医者を呼びに行ってしまう。
看護師が去ってから直ぐに医者がやって来た。医者は容態を確認すると、ノゾミの母が外で待っていると言って母を中に呼び入れた。
すると母は、集中治療室に入るためであろうマスクをつけて、ノゾミの元へ一直線に駆けつける。
「もう、何やってんのよアンタは! 事故に遭ったって聞いて飛んで来たら、意識不明の重体だって言われて、もう生きてる心地がしなかったわよ」
「まぁまぁお母さん、その位で...」
医者に宥められて母は此処がどこなのか思い出したようで、周りに小さく謝った。
その様子を見た医者は一旦苦笑して、母に座るよう促した。
「じゃあ、お母さんもいらっしゃったので、少しお話をしましょうか」