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1-3-5

「はい。でも、一つずつ殺してはいけません。例えば体だけを殺したら、ノゾ君は幽霊のようになってしまいます」

「他はどうなる?」

「魂を殺せば貴方はただの抜け殻に。精神とはつまり心のことなので、これを殺せば感情の無い人に。そして感覚を殺せば、視覚や聴覚、痛覚など全ての感覚が失われます」

 つまり、四つを同時に殺す必要がある、ということだ。

 だが問題がひとつ。


「どうやってそれを殺すんだ?」

「探すんです。体、魂、精神、感覚を殺せる人を」

「四人、集めろってことだな」

「そうです。死なない体質になってしまった人を殺すには、この方法しかありません」

「……分かった」

 こんな事になるのなら、もっと早く死んでおけば良かった。

 この世界に、もっと早く別れを告げていれば良かった。


 だがそんな事を思うと、なぜか笑えてきてしまう。普通ならもっと長く生きたい、もっとこの世界に留まっていたいと思うのだろう。

 それとは逆の事で悩む羽目になるとは。

「――ふ、ふふっ」

「ノゾ君?」

「上等だ。さっさとその四人を探して死んでやる」

「で、でも彼らはどこにいるかも分からないんですよ。それに皆僕と似たような存在です。見つかるのにどの位時間がかかるか、見当もつきませんよ」

 それでも、この命が終わらせられるなら何でもするつもりだった。


「構わない。今日から俺は、死ぬために生きる」


 そう言って虚空を睨むノゾミの眼には、〝生〟を堪能しようという光ではなく、〝死〟への渇望の闇が灯っていた。

「……これは僕の責任です。僕にも、ノゾ君のお手伝いをさせて下さい」

「ああ、それはこっちから頼みたいくらいだ」

 命をつかさどる少女に殺しの手伝いをしてもらうのも、おかしな話だ。

 それでも、ノゾミにはもう道が残されていないのだから――


「宜しく頼む。ミコト」

「はいっ」

 ミコトはようやく笑顔を取り戻した。


「ノゾ君の力になれるのなら、何でもしますよ」



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