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5-2-10

 

「ノゾ君!大丈夫ですか!?」

「そん…、わけ……ねーだろ……」

 割れた窓の方を見ると、どこから持って来たのか、ガラスの破片の中にコンクリートブロックが落ちていた。

 ミコトがこんな荒々しい一面を見せるなんて驚きだ。


「全く、良いところだったのによ。テメエのせいで台無しだぜ」

 ノゾミの足を無造作に床に放り、顔に飛んだ返り血を手の甲で拭うと、コユキはミコトを憎ましげに睨みつけた。

「あーあ、()る気失せた。もういいや」

 (いら)立ちを(はら)んだ声を落とし、ナイフを投げ捨てる。立ち上がった彼は、この部屋から逃げようとするには余裕がありすぎるように見えた。


「今頃ショウとムクロがこの部屋の前にいるはずです。逃げ道はありませんよ」

「ハッ、どうだか」

 コユキは二人に背を向けて、砕け散ったガラスの上を歩き出した。パリン、パリン、と細い音を立てながらコユキの足は大きく割れた窓へと向かう。

(おい……ここ何階だと思ってんだ!)


 ノゾミの予想が正しければ、彼はこのマンションの六階から飛び降りる。

 コユキとサユキは敵のはずなのに、彼がベランダの手すりに手をかける姿を見て咄嗟に彼の身を案じるようなことを考えていた。

「そンじゃ、またな」

「――あっ……!」


 まるで鉄棒を乗り越えるかのように、コユキはベランダの向こうへと身を投じた。何の躊躇いもなく空へ飛び込むものだから、二人が止める隙もない。

 ミコトは慌ててその後を追ってマンションの下を覗き込む。しばらく彼を探していたミコトは、やがて身を起こし首を軽く左右に振って見せた。

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