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「これ、こんなところにあったのね……。ノゾミ、中身見たの?」
ノゾミは黙って頷いた。母は何を思っているのか、物憂げな表情とは裏腹に、やけに落ち着いた口調だった。
「そう……こんなもの、あの人がとっくに棄てたものだと思ってたわ」
「母さん……俺、父さんの子じゃないの?」
封筒の中の紙に書かれていたことは、まさにそういう意味だ。2.3%という数字によって、はっきりと証明されている。
「ノゾミ、あなたは母さんの子よ。何も心配しなくても――」
「なら父さんは? 俺の、父さんは……?」
あの人は自分のことを嫌っていたし、自分もあの人のことが嫌いだったではないか。それなのに、ノゾミの頭は理解することを拒むかのように、真っ白になっていく。
から力が抜けていって、へなへなと畳に膝をついてしまった。
「聞いてノゾミ。母さんたちはあなたのを愛してるわ。あの人があなたにしたことは決して許せないけど――」
「そんなこと聞いてない! 俺の父親はあの人じゃないのか? 俺は誰の子供なんだよ!?」
そう叫んだ途端、畳の上に雫が散った。
(な、なんだこれ……)
自らの顔に触れてみると、指先に濡れた感触がした。その間にも、頬を伝って顎先から滴る露が点々と畳に染み込んでいく。
(泣いてる…のか? 俺が……?)
眼から零れるのが涙だと知った時、ノゾミは自分に問いかけずにはいられなかった。
なぜ泣いているのだ、と。
「ノゾ兄。大丈夫?」
「……分かんない」
「ねえ、ちょっと休もうか」
「……いや、いい」
キオがしきりに尋ねてくるが、ろくな返事も出来ない。だが、この場から動きたくはなかった。
「じゃあノゾ兄だけでも部屋に戻る?」
「…………そんなことよりさ、お前は知ってたんだろ? 俺があの人の子供じゃないって」
昨日、散歩に行った際のキオの様子がおかしかったのは、きっとそのせいだ。
「なあ……あの人のこと、教えて」




