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「どういう事だ?」
「一人目はその場で命を吹き返し、その後の寿命を全う出来ます。二人目は、その命のまま別の体に転生して、新しい人生を送ることが出来ます」
つまり、だんだん助けた人の命の力が上がっていく、ということだろうか。
「じゃあ、三人目は?」
「三人目は……僕と同じ体質になってしまいます」
「同じ、体質?」
「はい。そして四人目を助けた時僕は力を使い果たし、僕の命もそこで終わります」
「成る程、そうなれば四人目もろとも世界から命が消える、って訳か」
ノゾミの言葉に少女は頷いた。
だから三回だけなのか。この少女が人を救えるのは。
「それで? 俺は一人目だよな?」
「……」
少女は答えない。
(ま、真逆な)
いや、そんなはずはない。
彼女はきっとノゾミを助けてしまった事に罪悪感を抱いていて、そのせいで気まずそうにしているのだ。
世界から命が消えるまで死ねない? 冗談じゃない。世界が終わるのは大歓迎だが、そんな日は来るはずない。
永遠のような命を生きるくらいだったら、この先の寿命が100年だったとしても、それを生きた方がマシに決まっている。
いや、ノゾミにとってはその100年でさえ勘弁してほしいのだが。
「おい、どうしたんだよ。俺は一人目なんだろ?」
「ノ、ノゾ君は……」
一人目だと、言ってほしい。待っているのはその一言だけだ。
そして少女は口を開く。
「ノゾ君は――――三人目、です」
「…………」
目の前が、真っ暗になった。
――僕のことは、普通は人に見えませんから――
それは、ノゾミがもうただの人間ではないことを意味していたのだ。




