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「ですから、命は眼に見えません。それを形にしたのが、僕なんです」

 命を、体現化した存在。

 つまり今目の前にいる少女は、人間ですらないということだろうか。

 頭がこんがらがりそうなノゾミに、彼女は説明を続けた。


「この世界に命が生まれた時から、僕はずっと生きています。今世界中にある命の全てが、僕の構成要素となっているんです」

「命が生まれてからって、いつなのか分かってんのか? 38億年前だぞ」

「はい。ですが、僕も生まれてからずっとこの姿という訳ではないです。最初は光の粒程小さかったのですが、生き物が進化して命が増えていき、貴方達と同じように子供の姿を経て今の姿まで成長しました」

 彼女は自身の胸に手をあて、まるで自分の命は此処にあるのだと確かめるかのように言った。


「ですが、最近は体の成長が止まってしまって。人類が生まれてからは専ら髪の毛が伸びるようになってしまったんです」

 人類が生まれたのを最近と言えるのは、彼女くらいしかいないだろう。確かに38億年の歴史からしたら、人類が生まれた400万年前は最近なのかもしれないが。

 見た目年齢はノゾミと大して変わらないのに、世界で一番長生きなのだと思うと、何だか不思議な感じがした。


「じゃあ、お前は不死身ってことか?」

「それに近いですけど、正確には違います。世界から命が消えたら、その時が僕の寿命です」

 世界から命が消える日など、来るのだろうか。

 もし来るのだとしたら、その瞬間に立ち会いたいものだ。そんな日は、来ないだろうが。


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