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3-7-3

「一応聞くけど、この日は何したか覚えてるか?」

 次にやって来たのは、長い沈黙。

「…………?」

 かなり逡巡した(のち)、ミコトはようやく口を開いた。

「何だか、その頃の記憶だけがすっぽり抜けているみたいで……なぜでしょう」

 それはノゾミの方が知りたいくらいだが、ここで焦ってもどうしようもない。


「単に忘れてるのとは違うのか?」

「その事件のあたりを境に、前後の記憶が繋がらないような、変な違和感があるんです。忘れてるだけならこんな感じはしません」

「そうか……」

 ノゾミもミコトと一緒に頭を抱え、その不思議な現象について考える。


 いくつもの仮定を提案してみたが、どれもミコトが課す条件に当てはまらなかったようで。

「頭をぶつけて記憶喪失、とか」

「そっ、そんなことある訳ないです!」

 あらぬ方向に話が飛んでしまいそうだったので、このあたりで打ち切ることにした。


「悪い。取りあえずこのことは置いといて、後でゆっくり思い出してくれ」

「はいっ! 頑張ります」

 ミコトの努力が無事に実るよう祈りつつ、ノゾミはノートをぱらぱらとめくった。

 半分ほどが過ぎたあたりで新聞記事の切り抜きを貼り付けたページは無くなり、殺人鬼の特徴を書き込んだところに行き着く。

 そこには新聞以外にも、ニュースやインターネットで得た情報も含まれていた。


「今まであいつが何の目的で人を殺して、体の一部を切り落としていったのか分からなかったけど、さっきので少し明らかになったな」

「ええ。恐らく彼は本当に人を殺すことを愉しんでいる、快楽殺人鬼ですね」

「被害者の腕を持ち去ったのは――あいつ自身が喰べるためだな」

 開いていたページに、二人で出した結論を書き込んでいく。“動機不明”の文字の上に二重線を引き、あの狂気に満ちた光景を思い出しながら上書きした。


「それから、あいつの中には二人分の人格がある」

「殺す者と喰べる者で、役割を分けているみたいでしたね」

 大方これは、警察ですら知り得ないことだろう。犯人とあそこまで接近したノゾミ達だから、彼の本性に迫ることが出来たのだ。

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