プロローグ
数ある小説の中からこのお話を読んでくださり、ありがとうございます。
この小説は、一話あたり千字を目安に、二~三日おきに投稿する予定です。
こんな夢を見た。
真っ黒な何も無い空間に、俺と見知らぬ少女が立っている。
少女は俺に言うのだ。
「貴方に、僕を殺してほしいのです」
「 何で?」
「僕が死にたいから。いえ、死ななくてはならないからです」
「そうか、じゃあ殺してやるよ。どんな死に方がいい。刺殺?絞殺?撲殺?」
「お任せします」
「じゃあ楽そうな刺殺で」
「はい。サクッといっちゃって下さい」
俺は、何故か最初から床に落ちていたナイフを拾い上げた。もしかしたら最初から刺殺する事は決まっていたのかもしれない。
少女の胸の中心よりやや左に、肋骨に当たらないようナイフを横にして突き立てる。
少女は俺のナイフを握る手を、優しく包み込んだ。
「死ぬ前に何か言い遺したい事はあるか?」
「いえ、特に。強いて言うなら、やっと死ねて嬉しいって事くらいですかね。あと、貴方に殺してもらって光栄です」
「そうか。俺もお前を殺せて良かったと思うよ」
「では、また逢いましょう」
「ああ」
俺は手にグッと力を込め、ナイフを押し込んだ。
そこで目が覚め、気がつくと俺は何処かのベッドの上で横になっていた。