表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

Cheat Breaker チートは絶対に許されない

作者: ラノベ書くマン

「はぁ、はぁ、はっ、はっ、はぁ……」


 誰しも寝静まった夜の街に少女の荒い息遣いが響き渡る。

 彼女の名前は、ヤーヤ=ディスカルド。

彼女の髪は濃茶で光を当てると赤くも見えるが、この月灯りぐらいじゃあ変わらない。そんな髪を前から少し見たら美少年にも見えるぐらい短く切りそろえ、後ろ髪は端で縛って尻尾にしている。

 美少年にも見えると言っても彼女の地が男っぽいと言うわけではない。事実、大きな瞳はほんの少しだけ吊り目気味だけれども、キツい感じは全くせず、萌葱色より少しだけ明るめの瞳には吸い込まれそうになる。

 今は体を酷使しているため、その瞳は夜でも分かるぐらい潤い、ヤーヤの魅力を高めている。

 小さくはないがすっと通った整った鼻に厚くは無いが薄すぎないちょっとだけ尖った小さな唇もオレの好みだ。


 彼女は男装しているのだ。

 そうでもしなきゃ、こんな夜遅くに出歩くことなんで出来ない。

 直ぐにオレの様な男に掴まって如何わしい事をされてしまう。

 もっとも、そんな事をしてもヤーヤの魅力は誤魔化せるような代物ではないのだが。


 そんな彼女はとうとう体力の限界なのか、人の顔は個々まで赤く成るのかというほど染め上げてオレに乞うた。


「おっ、お願い。はぁっ、はぁっ、す、少し休ませて……。んぐっ、ごほっ、ごほっ」

「もう少しなんだがな。ニホンジンの側に女の気配がある。この女がどんな目にあっても構わないと言うのならそれでも構わんよ」


 彼女とオレの関係はペットとご主人様だ。

 あらがう力をもたないペットはご主人様に従うしかない。


「くっ、私が悪かったわよ。はっ、はっ、はぁ、はぁ……。お願い続けて!」


 ご主人様にお願いされちゃあしょうがない。

 ペットのオレは夜の街を掛けるヤーヤの肩の上で、この世界に迷い込んだ最低最悪の魔物『ニホンジン』の捕捉を試みている。

 この作業は何も見えない闇の中で一つ一つ手を触れて確かめるようなそんな不確かなモノだ。

 ここか? いや違う。こっちか? こっちでもない。ん? いやここでいいのか!


「ヤーヤ! ニホンジンの姿を捉えた!」

「デカしたわ! 投影急いで!」

「いやでも事後じゃ無いんだが手遅れっていうか、事後じゃ無いからマズいっていうか……」

「何をブツブツいっているの? 事後じゃないならさっさとしなさいよ。何かあってからじゃ取り返しが付かないんだから!」


 いやもう、その何かにあってるんだが……。

 ええい、仕方が無い! オレは、オレは悪くないんだ!


「投影!」

「ぴっ!」


 オレが投影を行うとヤーヤは可愛い悲鳴を上げて固まった。

 彼女は毛を逆立てて、まるで笑っているかの様に顔を引きつらせる。

 オレたちの前に現れた大画面のスクリーンに裸の女と『ニホンジン』が写っていたから。


 しかもこれ、静画では無く動画である。

 そして勿論……。


{あぁん! いっ、いいにゃ! もっと、もっとそこホジくって欲しいにゃ! あっ、あ〜〜〜〜……}


 音声もある。

 けもみみしっぽの女の子が「にゃーにゃー」言いながら『ニホンジン』の攻めを受けてよがり狂う。

 女の子は勿論、『ニホンジン』もこの辺じゃ、ちょっとお目に掛かれないぐらい美形だ。


「どうしよう大音量。夜の街で巨大なスクリーン使ってAV見てるみたいだ。誰かに見られたらちょっと恥ずかしい。なんちゃって?」

「ばっ、ばっ、ばっ、ばっ、ばかな事言ってないでさっさと、い、行くわよ……! AVって何の事かしら……」

 

 こんなん見て顔真っ赤にして涙めとかウブすぎる。

 ヤーヤの将来がかなり心配だ。

 説明が面倒なので最後のは聞こえなかった事にした。

 テンパりながらもヤーヤは巨大なスクリーンをぶち破らんとする勢いでそこに飛び込んだ。

 肩にいるオレも勿論一緒にスクリーンの中に吸い込まれる。


 突如現れた一人と一匹に驚きうろたえるけもみみしっぽと『ニホンジン』。


「な、何だお前らは! 女の子? と……。ド、ドラゴン!?」


 驚いて腰を抜かしたのか、尻を地につけM字開脚で後ずさる。

 ここまでの醜態さらした『ニホンジン』だが折角のチャンスだ。

 挨拶してやらなければなるまい。


「ふっふっふっ。そう、オレは伝説の生き物にして人間よりはるかに上位の……」

「死ねえ! ヘンタイ! ニホンジン!」


 なんてこったい。

 ヤーヤがオレの自己紹介&自己ピーアールタイムを問答無用とスルーして、腰に掛けた鞘から細剣を抜き、『ニホンジン』に斬りかかる。

 しかしーー。


「勇者様はヤらせないにゃ!」


 全裸のけもみみしっぽが大の字になって『ニホンジン』の前に立ちふさがったため、ヤーヤは巣んでのと頃で刃を止める。


「邪魔しないで! そいつは切らないといけない!」

「絶対に嫌にゃ! 勇者様は私の恩人にゃ! 勇者様が私を買ってくれなければ、醜いお貴族さまに買われて死ぬまでえっろいことさせられる所だったにゃ!」

「それは幻想なの。醜いお貴族様も本当はそんな人じゃないし、あなたも奴隷なんかじゃないの。あなたは、異世界転生者の都合の言いように書き換えられた世界に魅せられているだけ」

「私の気持ちは誰が何といおうと本物にゃ! 私は、心の底から勇者様を愛しているし、勇者様とずっと一緒にいたい。勇者様ともっとエッチで気持ち良い事したいし、子供も欲しいにゃ!」

「なっ、なっ、何をいって……」


 欲望を全てぶつけられて後ずさるヤーヤ。

 初々しいのはわるい事じゃないんだが、エッチな事に弱すぎるだろうお前。

 ヤーヤはオレにチラチラと視線を送って助け船を求めてくる。

 いや、オレは全裸けもみみしっぽの大の字全裸をもっと見ていたいのだが……。


 って、え?

 オレがどうにかすんの?

 幼女にすらなすすべもなくおもちゃにされるオレが?

 何という偶畜ご主人様。

 だがオレは力は無くとも能あるドラゴン。

 不甲斐ないご主人様に華麗な助け船を出すため、0.03秒だけ思考し即座に行動に起こす。


「うわぁぁぁい。おっぱい大好き! とっつげーき!」


 そう叫びながら、けもみみしっpのおっぱいに向かってオレはダイブした。


「ひっ、気持ち悪いにゃ!!!」


 拒絶の言葉と共に放たれた猫パンチによってオレは迎撃され撃沈する。

 おかしい、イメージしてたのと違う。

 オレもオレが気持ち悪いと思ったし、恥ずかしすぎる。

 どうしてオレはこんな事を……。


 しかし、オレの行動に対する評価はどうでもよかったのだ。

 ヤーヤはその隙を逃さずモノにしていた。

 彼女の細剣が『ニホンジン』の胸の真ん中をつらぬいたのだ。


「ぐっ、どうして俺がこんな目に……。皆が望むように勇者になって奴隷の女の子を買って助けただけなのに……」


 そこで、ヘンタイ行為に及ぶ必要があったんですかね?

 羨ましいし、嫉ましいわ!


「全部幻想よ。アナタは醜い肉塊のニホンジンなの」

「なっ、何を言って……」

「きゃああああ、何よこれ、何で私こんな肉塊とこんな事を!? ヒドイ……。ヒド過ぎるよっ!」


 マズい、「にゃ」がなくなってる。

 いそがなくては……。


「えっ? 嘘だろう? 何で元に戻ってるんだ!?」


 そう、ヤーヤの剣を受けた『ニホンジン』は転生前の本当の『ニホンジン』に戻っていた。

 オレはこれから始まる説教タイムの予感を察知。

 否、けもみみしっぽの耳と尻尾の消滅を予測し行動に移る。


 M字開脚の股間のそれをかくすために枕を投げつけ、orzしている、けもみみしっぽにはシーツをひっぺがして掛けてやる。ちょっとだけ血とか表現出来ない汚れとかついているけど我慢してくれ。

 オレは優しさを振りまく振りをしながらけもみみしっぽの耳と尻尾をバレ無い様にしかし大胆に執拗に撫で回す。

 人しきり堪能したと頃で耳と尻尾が消えてけもみみしっぽは普通の女の子の姿に戻った。

 実にオレ達は惜しいモノを亡くしてしまったものだ。


「この剣はチートブレイカー。アナタがこの世界に来る前に与えられた全てを破壊し、アナタの都合の良い様に書き換えられた世界を修復する。でも、安心して良いわ。この剣で人は殺せない」


 そう言ってヤーヤは『ニホンジン』から剣を抜きそれを鞘へと落とす。

 彼女の言う通り『ニホンジン』にはキズ一つついていない。


「ばっ、ばかな! 幼少の頃から訓練して魔力チートして、山一つ簡単に吹き飛ばせるところまでたどり着いた魔法が何故使えない! これはこっちの世界に来てから手にいれたものだぞ!」


 あっぶねえ。

 悠長な事している場合じゃ無かったじゃねえか。

 その魔法唱えられてたらオレたち死んでたぜヤーヤ。

 というか、なにこの状況まで追い詰められて更に魔法使おうとしてんのさ『ニホンジン』。


 それにしてもそりゃあ、理不尽に思えるよな。

 エグいぜチートブレイカー。

 折角手に入れた力をぜーんぶ無かったことにされちゃうんだもんな。


「いったじゃない。貴方の都合の良い様に書き換えられた世界を修復するって。この世界では本来そんなことは出来ないの。だから、あなたのその魔力チートとやらも消滅した」


 ヤーヤの言葉にかっぐりと首を項垂れる『ニホンジン』。

 だが、彼女は『ニホンジン』に更なる追い討ちを掛ける。


「この剣の前ではあらゆるチートは許されない! そもそもね、この世界に前世の記憶を持って転生って時点で既にチートなのよ」

「……。俺は悪くないし寧ろ被害者だろう?」


 とうとう開き直って被害者ヅラし始めやがったぜ。

 往生際悪すぎて、オレももう見てられない。


「そうね、アナタはニホンジンの神に弄ばれただけね」

「だったら!」


 付け入る隙を見付けたと言わんばかりに声を上げる『ニホンジン』。

 しかし、そんな『ニホンジン』に放たれたのは死刑宣告。


「返してあげるわ。現実世界に」


 ヤーヤは背中からハンマーを取りだす。

 その時の彼女は慈悲に満ちた笑顔をしていた。

 オレはこの笑顔がとても怖い。


「現実? 元の世界に……!? た、頼む。それだけは! 何でもする! 何でもするから!」


 慈悲を乞う『ニホンジン』。

 だが、ヤーヤは容赦しない。

 斜めしたから斜め上に向かって『幻想の終わりと裁きの鉄槌』を振り上げる。


「良い夢見られてよかったわねニホンジン。そして、サヨウナラ」


 めきゃっと骨がくだけ肉がつぶれる音と共に『ニホンジン』は屋根ぶち破って空の彼方へとぶっ飛んでいく。

 きっとあっちの方にチキュウがあるんだろう。


「きゃああああ……」


 っという『ニホンジン』の叫び声もあっという間にきこえなくなった。

 

 さて、事後処理とまいりますか。

 オレは元けもみみしっぽの傍らに立つと彼女の肩に手を置いて慰めの言葉を投げかけた。


「まあ、ちょっと血が出ただけだし、しばらくジクジクと痛いかも知れないけどその程度だ。孕む分けでもないし、気持ち良かったのは事実だろ? お前も良いユメ見れたと思ってあの醜いニホンジンの事は忘れちまえ!」

「あ、あんた何ていう慰め方しているのよ! デリカシーってもんをしらないの!?」

「い、いえ。裸を見られたのはアレですけど、キズは直ぐに直りますし」

「ほんっと、ニホンジンってヘンタイだよな。全裸で耳かきとか意味分からん」


 そう、『ニホンジン』は全裸で、全裸の元けもみみしっぽの耳をそれはもう、ちょっとだけ血が出ちゃうぐらいかっぽじっていたのだ。

 いみわからん。


「何言ってんのよ。あんたもニホンジンでしょ?」

「えっ!?」


 あー何でばらしちゃうのさ。 

 ほーら身構えちゃった。


「そう言えば、勇者……。ニホンジンの前に私が立ちふさがった時、ずっと私の体を舐め回すように見ていたし、シーツを書けてくれた時も私の耳と尻尾を執拗に撫で回してました」


 ばれてーら。


「あんたドサクサに紛れてなにやってんのよ! 現実に送り返すわよ?」


 そう言ってハンマーをオレの鼻先に突きつける。

 オレはそんな『幻想の終わりと裁きの鉄槌』なんてもん怖くはないぜ。

 現実が怖くてセクハラ出来るか!


「まっ、まって下さい! 確かにあのニホンジンと同じ嫌な感じもしないこともないんですが、彼のはちょっと違う気がして……」

「それはこれだな! 生えてないからセーフ!」


 オレはそう言って腰をヘコヘコさせながら、自分の何もない股を示す。

 残念な事に俺には生えてないのだ。


「成るほど! じゃあ、女の子同士でふざけあっているみたいなもんですね! そう考えると全然平気です!」


 女の子どうしでもセクハラはセクハラだけどな!


「何という超解釈しているのよ……」


「そうそう。だから揉んじゃう撫で回しちゃう。そーらそーら!」

「あっはっはっはっはっ! くすぐったいです! エッチです!」

「あんたどこまで調子に……。あっ!」

「あっ?」


 オレは、意味ありげなヤーヤの「あっ」に疑問を抱き、元ネコミミ尻尾の胸から顔を上げると『ニホンジン』をぶっ飛ばした時に開いた穴から光が差し込んでいるのに気が付いた。


「やっべ、ふざけすぎーー。ん、あれ? やわらかいっ。えっ? なんでボクはまた裸なの?」


 オレは、ナイトドラゴン。

 夜だけ顔を出すアダルティなドラゴンだ。

 朝になると人間の子供ライアになってしまう。


 ライアとオレは別人格で、ライアには自分の中にドラゴンがいるという事しか分からないが、オレには一方的に全部伝わる。

 うん。

 お胸は柔らかいね。


「きゃあああああ! カワイイー! あのねおねえちゃんね。わるいニホンジンに汚されちゃったの。だから、君に消毒してほしいな!」


 ライアは本当に可愛い。

 男のオレでもちゅっちゅらぶらぶしたくなるぐらいだ。

 いや自画自賛じゃ無いぞ?

 ライアの体には、干渉出来ないし、ライアと意志の疎通も出来ない。

 オレとライアの関係は、ライアにとりつく背後霊みたいなもんだ。

 ともあれライア! 消毒OKしろ! お前が気持ち良ければオレもキモちいいのだ。

 オネショ、ウェルカム!

 

「えっ? ニホンジン? 消毒? って、そんなに見られたら、ボクはずかしいよっ」

「コラー! ライアに変な事教えたり、変な事しようとするなー!」


 オレは、ライアから伝わってくるムネの柔らかさを楽しみながらほっと息をつく。

 今日もまた何事もなく乙女の純潔はまもられ、世界は救われたのだ。

 しかし、またすぐに第二第三の『ニホンジン』がこの世界にやってくるだろう。

 そしたら、また戦いの中に俺たちは放り込まれるのだ。

 

 だから今はこの戯れをもう少しだけ楽しみたいーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ