第13話 ~舞華の悲劇~
お、遅くなりました………。
仕事の疲れで寝ていたらすっかり夜に……。
急いで仕上げたので誤字や表現違いがあるかもしれません。
あと、今回は割とシリアスな話です。
「はー。ここが舞華さんの心の中、深層内部………」
佐夜が辿り着いた場所は大きな水槽がいくつもあり、その間にある通路を通りながらその水槽を見る施設。つまり、
「思いっきり『水族館』。だね」
イングの場合は突然死だった故、『三途の川→真っ白』だったのに対し、舞華の深層内部は暗く、水族館を広く型どっていた。
「って事は、これ一つ一つが舞華さんの歴史なんだね」
ずらっと並んだ水槽の中には舞華の歴戦や過去の出来事についてが映し出されている。
「見るのが少し怖いなぁ」
最初の水槽の前で躊躇う佐夜。水槽の手前にあるオーブに手を触れれば舞華の過去を知る事が出来るのだが、流石に闇落ちした相手の過去を見るのはちょっと怖い。
「ええい、ままよっ!」
とはいえ、このままではいつまでも埒が明かないので、唾を飲んだ佐夜は勢いよく舞華の過去のオーブに手を触れた。
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あの子、『ピックル』と出会ったのは私が中学一年のとある夏の日。
幼い頃に両親を無くした私は施設の遠足で山に登った際、何か助けを求める様な声がして向かった先に、猟師の罠に掛かって怪我をしていた見た事も無い変な小動物がいた。それが『ピックル』との出会い。
中学生とはいえ一年の夏では小学生とさほど変わらない。罠は解除できても怪我の治療までは自分に出来そうになかった。なのでその弱った小動物を持ち帰り、施設の院長に見せたが、何故か院長にはその小動物が『見えていなかった』。
その後も他の人や獣医に見せても、誰もその小動物を目視する事が出来ないらしく、やむなく素人判断でその小動物『ピックル』を治療した。
その後、怪我から回復したピックルが言葉を話せる事に驚きつつ、何故こんな事になったのか事情を聴いた。
何でも『災魔』とかいう悪魔達が、ピックルが住む光の国に侵攻してきたらしく、助けを呼びつつ逃げ回っていたピックルも怪我と空腹の所為で罠に掛かったらしい。
そしてしばらくはみんなに見えないピックルを隠れて飼いつつ平和的に暮らしていたのだけど、施設近くの公園で施設の子供たちが遊んでいたらそこにピックルを追ってきた災魔とかいう奴等が現れて、近くにいた子供達を襲った。
それを危惧したピックルが舞華に「僕が力を貸してあげるからあいつらをやっつけて!」と必死のお願いをし、しばらく一緒に住んで情がわいた舞華もそれをあっさりとその要求を受け入れ、魔法少女となった。
最初は夢に見た様なフリルたっぷりの恰好で健気に戦っていた舞華も、その後は増えた仲間や、どんどん強くなっていく敵に対し、戦う衣装も可愛さではなく、機能性優先での恰好──何というか戦乙女っぽい恰好になっていった。
そして更には政府に目を付けられ国家の武力にまで取り込まれてしまった。どうやら災魔は日本全土に出没し、人々を襲っているらしく、自警団や自衛隊ではどうにもならないらしい。
それは別にいいの。国に務められればお給料は出るし、施設にも直接寄付が出来る。全国どこへでも色んな人達を助けに行ける様に東京の学校へ引越し、部屋も借りられた。もうお世話になっていないとはいえ、今までの恩もあるから何年間かは寄付しようかな。
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「へぇ、最初は魔法少女らしく可愛い格好してるじゃん」
舞華の記憶を覗き見し、フリフリの恰好で悪と戦う舞華を見てほっこりした。
「でもこの後で舞華さんが闇落ちする原因がある訳なんだよね」
そう言いながら佐夜は次々と記憶のオーブに手を触れた。
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───けどそんな余裕も仲間の魔法少女達が続々と引退を余儀なくされて舞華の負担は大きくなった。なんでもメルモに聞くと、引退の理由は『純粋じゃ無くなったから』らしい。じゃあ、私はいつまで純粋なんだろう。
それから3年が過ぎて高校生になった。……何故か魔法少女となってからというものの、一ミリも身長が伸びないし胸だって小さいままだ。そのせいで知らない人から見たら私は中学生。下手したら小学生に見られてしまう。
その間にも災魔に襲われている人達を助けたり、距離がありすぎて間に合わずに助けられなかったりして遺族関係者達に怒鳴られたり、自分の与り知らぬ所で襲われたという人達に訳も分からずいちゃもん付けられたりと中々ストレスの溜まりまくる事も経験した。
それでも私が魔法少女を辞めなかったのは、ひとえに助けた人達からの感謝の言葉があったからだ。幼稚園バスを乗っ取った災魔と戦った後の時や、災魔ハイジャック、災魔サイバー攻撃に国会議事堂爆破事件、その他色々と救う事の出来た人達からの「ありがとう」という感謝の声に私は励まされて強くなった。
「筈だったんだけどなぁ………」
しかしそんな激励で回復したモチベーションも、突然現れた格が違い過ぎる『魔王』の登場で、他の娘は勿論、私の心も折れかかっていた。
結果的に、死にそうになった直前にくノ一の人(楓の事)に助けて貰ったんだけど、その後待っていた衝撃的な真実に私の心は完全に折れた。
私が猟師の罠から助けたピックルが、ほぼ全ての災魔関係の事件を仕組んでいた事に。
まず楓さんの話が真実と信じられずに対立したが返り討ちに。
その後、簀巻きにされた状態で神がいた筈の管理室についでに連行され、そこで楓さんが世界のシステムの修復をしている間に、世界の記憶───通称『アカシックレコード』を見せられ、見た目が超可愛いあのピックルが、裏で何をやっていたのかがこれではっきりと分かってしまった。
出会いの時に罠に掛かっていたのは自分が見える存在──つまり私をおびき寄せる為の演技。
最初に災魔に襲われた時も、これもピックルが裏で手を引いて災魔をおびき寄せ、私に『魔法少女になってほしい』と画策していたのだ。
その後の展開で災魔が関わる災害のその殆どがピックルが裏で手を引いていて、他にいた魔法少女達が引退した原因『純粋じゃなくなった』、これもピックルが自分の正体に気付く、気付きそうな魔法少女達(普段時)に災魔を差し向け、襲われた元仲間達は貞操の純潔を奪われ、無理矢理引退、もしくは気が狂っておかしくなっていったらしい。そんな事になっていたことも知らずに、私はピックルを信頼しきっていた。
騙されている事に気付きもしないで。
そして私を欺いていたのはピックルだけじゃなかった。
政府に目を付けられて以降、施設を出て東京への引っ越しを余儀なくされた私はそれから一度も施設へは戻ってはいなかったが、今まで世話になった場所という事で(中・高校生にしては)結構な額の金額を寄付していたんだけど………
それがまさか私が施設を出た直後、既に施設が潰れて無くなっていたなんて思わなかった。そして私が寄付の為に振り込んだお金は全て院長の懐に入っていて当の本人が私腹を肥やしていた。
それだけじゃない、国の防衛PRの為に撮られた映像が、何故かAV加工されてアダルトショップのビデオコーナーに置かれていたり、私の与り知らぬ所で私の姿を模倣したアイテム(18禁商品も含む)が至る所でいっぱい売られていた。
唯一私を欺かったのは政府だけ……なんて皮肉な事なんだろう。
そして……
そして一番私の心が傷ついたのは両親の死についてだった。
幼い頃に聞いた警察の話では『運転中の事故死』で片付けられていた……筈だったんだけど、ちょっと気になって楓さんに世界の記憶を調べてもらった結果、なんと両親の死亡の原因は『事故死』ではなく、これもピックルが絡んでいたのだ。
経緯は簡単、昔契約した魔法少女にピックルが差し向けた災魔が偶然通りかかった私の両親に目が行き襲い掛かったのだ。
つまり最初から最後までピックルは私の敵であり、仇だったのだ。
それを知った直後、目の前が真っ暗になり、その後の事は覚えていない。ただ、世界の復旧をしていた楓さんの後ろの床に簀巻きにされた状態で放置されていたピックルを見た瞬間、それに対し猛烈な殺意が沸き上がり、それを殺し楓さん達に止められるまで切り刻んでいた。それほどまでに私の中の闇は一気に大きくなったのだ。
そして私の意識はここで途切れた─────
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「お、おおう……これはまた、酷い仕打ち、だね……」
舞華の人生を覗き見した佐夜は舞華が受けた仕打ちに対し、流石に引いた。自分も先ほどのメルモを見て可愛いとは思ってはいたが、その愛くるしさとは正反対にやっている事のえげつなさは半端ない。
さっき楓も言っていたが、これがもし気持ちの悪いエイリアンの姿をしていたなら絶対『保護しよう』とか『守ってあげたい』などの保護欲なんて絶対湧かないだろう。これもまた違った意味でのハニートラップってやつらしい。
「さて、と。次がとうとう本人のお出ましかな?」
舞華の記憶のオーブ(ピックル関係)は全部見て、最後にやって来た巨大水槽の前に佐夜はやって来た。
「うーん……やっぱり外で見た時と外見が明らかに違うよ、ね?」
水槽の中には12才くらいの少女(真桜より少しだけ背が高いくらい)が目を閉じてぷかぷか浮かんでいた。外で戦っていた時は何故か17、8歳くらいの姿になっていたのだが、これが本来の姿なのかもしれない。
≪………。……………誰?≫
「うわぁっ、しゃ、喋った!?」
じーっと見つめていたら水槽の中の少女の目が開き、話しかけて来て佐夜が超ビクッとなった。
「え、えーっと……君、舞華さん……で、いいんだよね?」
≪うん……そうよ………貴女は……?≫
「んと僕は───」
キィィィィ───────ン
「うわぁっ!? な、何これ……っ」
「貴女は?」なんて聞いてきたからてっきり名前を聞かれてるのかと思い、名乗ろうとした佐夜だったが、直後に凄い耳鳴りがして思わず蹲った。
「……念のためにと持たされたこれがまさかホントに使う事になるなんて、ね」
耳鳴りに効くかどうかは分からないが楓に持たされた『耳栓』を嵌める。すると先ほどまでの痛みは無くなった。……まだ少し耳鳴ってるけど。
「痛たたた……。いきなり変な攻撃しないでよもぅ」
まだ少し痛む頭をトントンしながら再び少女に目を向ける。
「あのさ、今、外では大変な事になってるんだよ。主に君がっ」
≪………わた…し?≫
「そう! 何か身体は大きくなってるし、目はイッちゃっててヤバいし、涎ダラダラだし、無茶苦茶強いし、もう獣みたいになってるよ!」
≪そう………≫
「いや、そうって……」
佐夜の言葉に対し、どうでもいいような感じで言う舞華に唖然とした。
≪だってもう、どうでもいいから………≫
「え?」
舞華を起こしに来た佐夜だが、舞華はもう自分の事さえも放棄したかの様に言う。その表情からは自暴自棄の様子が見受けられる。
≪私を止めたいのなら私を殺せばいい………≫
「なっ!? そんな事出来ないよ!」
≪じゃあ……どうするの……?≫
「どうするってそれは………」
勿論説得に来たのだが、当の本人が既に絶望しているのでどう言ったらいいのか分からない。
≪騙され、罵られ、裏切られ、欺かれ、(娯楽の為に)利用され、信用できる人もいない……。そんな世の中で私はもう……生きるのに疲れたの………っ!≫
キィィィィ─────────────ン!!
「う…くぅ……っ」
舞華の叫びに反応して耳鳴りと頭痛が酷くなる。それと同時に佐夜の脳裏に先ほど見たオーブ内の舞華が映し出される。それらは全部、酷い内容のものばかりだった。
≪どうせ貴女も私を騙そうと……そして、利用しようとするんでしょう?≫
「ち、違う……僕は……っ」
舞華の放つ精神攻撃に佐夜は片膝を着く。が、
「僕は、君を助けに来たんだ!」
≪私……を………?≫
その精神攻撃を振り払い、叫ぶ佐夜に舞華は目を向いた。
「楓さんが言っていた。『私は誰かを物理的に救う事は出来ても私の性格上、対象者の心のケアまでは出来ない。だから闇に捕らわれているあの娘を助けてやってくれ』と。だから僕が代わりに来た!」
≪貴女が……私を………?≫
「そうだよ。それに………」
≪それに?≫
「色んな人達に騙されていたとはいえ、世界の為に今まで頑張ってきた君がこんな終わり方するの、何か嫌だ!」
≪何を……知った風に………っ!≫
キィィィィ──────────────────────────────────────────────────────────────
「くああっ!?」
舞華の記憶を覗き見した佐夜が訴えるが、その状態に陥ってない佐夜を見て苛立った舞華は強烈な精神攻撃を仕掛け、佐夜が叫ぶ。
「もう……見たくないんだ」
≪え………?≫
耳鳴りと頭痛の精神攻撃を耐え、佐夜はそう呟く。
「頑張ってる人が最後まで報われないなんて結末、もう見たくないんだ!」
≪な…にを……≫
耳鳴りや頭痛が酷い筈なのに、それでも叫ぶ佐夜に舞華がたじろぐ。
「そりゃあ、誰かが幸せになる分、その分誰かが不幸になるなんていうのはよく聞くし、その通りだと思うよ。でもそれとこれは話が別! だって騙されていたとはいえ、君は頑張っていたじゃないか」
≪でも、その頑張りは全部無駄だった。私のやってきた事は全部予定調和。全てがレールに轢かれた物語の作り話よっ≫
「無駄じゃない!」
≪え………?≫
佐夜の言葉に押されて舞華が反論するが、それすらも否定される。
「君の記憶を見た限りだと確かに酷い仕打ちだと思う。けど、それは知った者だけが感じる事でしょ?」
≪知った……者だけ?≫
「そう。君は最後の最後に真実を知った。けどそれ以前、君が今まで救ってきた一般人の人達はその事を知らない。なら、その人達にとっては君はまさに正義の魔法少女なんだよ」
そう、舞華は全てを知ったけど、舞華が助けて来た人達はこの事を知らない。当たり前だ、その魔法少女が影で操られているなんて誰が想像できる?
「それに言ったでしょ。『頑張った者が報われない』なんて悲劇、もう見たくないんだ」
≪もう……?≫
佐夜の言葉に違和感を感じた舞華が興味を示す様に聞き返す。
佐夜は知っている。
異世界で出会い、瀕死の重傷から助けて貰ったエルフの少年の事を。
体格や身体能力、魔力値の低さにおいて他者と比べて低かった少年が寝る魔を惜しんでひたすら鍛錬に勤しみ、努力の甲斐もあって遂に1属性&短時間だけではあるが『カゼノコロモ』を取得したあいつの事を。
学園での評価も低く、イジメに遭っていたのにも関わらず、めげずに頑張っていたアルケシスのみんなの事を。
選抜戦の準決で魔力が枯渇した状態で決勝の相手に無理矢理奥義の『カゼノコロモ』を使用して倒れたあいつの事を。
選抜戦を通じ仲良くなった他のチームの人達&騎士と冒険者達と地下ダンジョンに挑み、その努力も虚しく散って行った人達の事を。
その後、王様達を救おうと王宮へ向かい、謁見の間でイングが狙われ、銃殺された事を。
そして、そのイングを生き返らせた代償として天罰を受け、自分の存在を忘れられてしまった事(その前に次元転移したニケは対象外)。
ヴァン達について行き、次の世界でも苦労をした人達は大勢いた。
召喚されたとはいえ、勇者の素質が無いからとイジメに遭っていた人達。
勇者の素質はあってもその力や土地に馴染めない人もいた。
元の世界への帰還も叶わずに死んでしまった人達も居た(墓場で確認済み)。
人間の敵、魔族でもイジメに遭い、それでも努力して将軍にまで上がった人もいた。
まだ実際に会った事は無いけど世界破壊者の人達もかなりの苦労をしている筈だ。
「そんな人達を見て僕は思う────」
そして佐夜はゆっくり立ち、真っ直ぐ前を向いて舞華を見て、こう言った。
「悲劇では終わらない。『頑張ったその人自身が納得できる最善の結末』の方が絶対いいって事を!」
誰でも悲劇より最高の結末の方が良いのは分かっている。でも人生はそう簡単にハッピーエンドでは終わらない。
だから佐夜は願う。
せめて『自分の納得のいく結末』にしたいと。
騙され、裏切られた舞華の悲劇をそのままにしてはおけないと。
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~S~
リオ「ぬをおおおお! せっかく良い所なのにここで終わりっ!?」
ティーナ「ちょ、リオ!? キャラが崩れてる、崩れてる!」
マロン「まぁ、実際いい所で終わったのは事実だものねぇ」
リオ「何でこんな所で終わるのさー?」
ティーナ「多分長くなるからじゃないの?」
マロン「そうね。この話に全部載せたら莫大な文章になるわね」
リオ「じゃ、じゃあ次話は割と早く載せられたりするって事?」
ティーナ「いや、作者はまだ『続き書いてねぇ~』って言ってたよ?」
リオ「はよ書けー!!」
はい。長くなりそうなので続きは次話へ。
なるべく早めに載せるつもりですが遅れたらすみません。
では。




