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第6話 ~再会と揺れた心~

とある人物との再会です。

長いです。

眠い。

うま……

 佐夜達が『HUROBA』にやって来て、かれこれもう2時間が経過。

 時刻はもう夜の9時過ぎ、良い子はもう寝ている時間。

 つかそんな時間までプールにいる事自体おかしいのだが……。


「あ、佐夜、おかえr……どったの、そんな疲れた顔して?」

「ん……ああ、ちょっとな……」

 サウナで起きたルイの痴情事で精神的に疲れた佐夜が自販機で買ったスポドリを片手に愛沙の元に戻って来た。


「あ~遊んだ遊んだ~」

「妾ももうヘトヘトじゃ……ぬ? 佐夜、戻っておったか」

「あ、おかえり~」

「あ、うん。2人共もう満足したか?」

「うん!」

「なのじゃ!」

 佐夜の言葉に元気よく返事するちみっこ。……まだまだ元気そうだけど。


「ではもう上がりましょうか」

「そうね。じゃあ佐夜、また後で」

「ああ、外でな」

 4人と別れ佐夜も更衣室へ向かう。勿論『男子更衣室』だ。

 

「……………」 

 佐夜が男子更衣室に入った時から他の男性客からの視線が刺さる。

 理由は最初から分かっているのだが、この誤解をわざわざ解く気力はもう残ってない為、気にはなるが全スルーだ。


「うわっ!? 何で女の子がここに!?」

 そして今、新たに更衣室に帰って来た男子が佐夜を見て一度引き返す。そして自分が間違っていない事を確認し、再び戻って来て2度ツッコむ。


「……………」


 ファサ…………


「「「「「「「ぶふぉぁっ!!」」」」」」」

「……俺が何で上着脱いだだけで流血するんだお前等はっ!?」

 いい加減、らちが明かないのでとっとと着替えてようとTシャツを脱いだ瞬間、佐夜を目を真っ赤にしながら凝視していた馬鹿共の興奮度がオーバーリミット(笑)し、一斉に鼻血&吐血した。

 ……何でいつもこんな目に逢わなくちゃいけないんだ?


 そんな死屍累々でスプラッタな男子更衣室内での着替え(当然着替えは浴衣)を終えた佐夜は愛沙達の着替えが終わるまで、自販機でジュースを買おうと廊下の曲がり角を曲がった。その瞬間、


 ドンッ!


「うわっ!?」

「あたっ!?」←こっちが佐夜の声。

 まるで何かのラブコメの様な展開で誰かとぶつかり尻餅をつく佐夜。


「って、あ、ゴメン。大丈夫っ……す…か?」

「ん? ああ、大丈夫大丈夫。驚いて尻餅着いただけだs────」

 佐夜とぶつかった男子が慌てて手を差し伸べ、佐夜もその手を取ろうと右手(・・)を上げた。その瞬間、


「あ、ああああああああああああああああっ!!?」


 ガシッ!


「え、何、ちょ、ちょっと何するんだ!?」

 佐夜とぶつかった男子(大体17~8歳くらい?)が金切り声を上げて佐夜の右手を取り、手首に付いている腕時計(・・・)を見る。急に手首を取られた事で佐夜も少し慌てる。


「きっ、ききききき君っ! こ、これ、どこで拾った(・・・)!?」

「え?」

「どこで拾った(・・・)って聞いてんだ!」

「え、え~っと………」

 この男子、佐夜がこの腕時計を拾った(・・・)事を知っている?


「おい、何を騒いでんだお前は」

「あ、先輩……」

 すると男子の声を頼りにやって来たと思われる青年男性(20歳くらい)が呆れた顔で佐夜達に近付いてくる。

 実はこの2人、佐夜が元いた世界で例のアイテム(腕時計)を落っことした者達で、佐夜が世界から脱出に使った謎の黒いチャックもこの者達が事前に使った物なのだ。

 まぁそんな事、佐夜もこの2人も互いに知りようが無いけども。

 そしてその一般人ではない男達2人の雰囲気に佐夜が表情が強張る。


 佐夜の右手に付いている腕時計は唯の腕時計ではなく、膨大な魔力(?)か何かを中に秘めており、『時短・遅動スロー』の能力があると佐夜が確認しているが、佐夜自身、この時計にはまだまだ他にも何か(・・)の能力が隠されている可能性があると思っている。

 で、もし、佐夜が拾ったこの時計の前の持ち主がこの男子(もしくは青年の方)だとするならば他の能力についても何か知っているのかもしれない。

 そして、落としてからずっとこの時計を探しているのなら………佐夜の手から奪うかもしれない。


「先輩、ほらコレ! この娘が付けてる時計!」

「んあ? ………あ゛!? 何でこれがお前の手に付いてんだ!?」

「ひっ!?」

 青年が佐夜の右手に付いている物を目視した瞬間、急にメンチ切って佐夜を『威圧』で睨む。

 今まで殺意や敵意を向けられた事は何回かあったが、ここまで近距離で『殺気・敵意・威圧』をまとめて当てられた事で初めて佐夜が悲鳴を上げた。


「は、離s……離してっ!」

 青ざめてパニックになった佐夜は力を入れて腕を引き剥がそうとするが、如何せん、相手の方が力が強く、もがくだけだ。


「答えろ! お前、どこで『刻詠ときよみの腕輪』を手に入れた!?」

「い、ぃゃ……」

 佐夜がパニクッて答えようとしない様を見て青年がもう一人の男子から佐夜の腕を取り、無理矢理何かをされるのかと恐怖が最高潮に達した佐夜が小さく悲鳴を上げ、見た目女の子(佐夜)に乱暴な事(腕輪を取り上げる事)をしようと佐夜に2人。


 その魔の手(?)が佐夜に(物理的に)迫ろうとした、その時、


「───何やってんだい、あんた等はっ!!」


 ゴ、ゴンッ!


「あふりかっ!?」

「えじぷとっ!?」

 

 2人の男の背後から現れた人物が2人に拳骨をかまし、何故か国名を言いながら床に沈む2人の男。

「全く……、だいの大人2人が寄ってたかって、幼気いたいけな女の子を襲うとか同じ組織の人間として恥ずかしいわ!」

 両手をプラプラさせて溜息を付く女性。女の子を襲った2人を余所に女性は襲われかけた女の子(佐夜)の元へ歩み寄る。


「───って、え? ちょっとあんた……」

「……ふぇ?」

 佐夜に歩み寄った女性と、自分を襲った2人が床に沈むのをチラッと見た佐夜が助けてくれた女性の2人の目が互いに合い───


「……もしかして、サヤ…かい?」

「に……ニケ?」

 

 そこに居たのはかつて【レニアナ】の地下遺跡で次元転移に遭い、行方不明になっていたかつての仲間『ニケ』だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「佐夜ー。どこ行ったのー?」

「───あ、いました、あっちです」

「ってあら? 何か様子が変ですね?」

「というかの、一緒にいるあやつは誰じゃ? そして床で寝ているこやつ等は何なんじゃ?」

 その頃、着替えに少々時間が掛かった愛沙達4人が更衣室から出て、集合場所に着いたが佐夜の姿が無かった為、捜索していると、自販機の向かいにあるベンチで佐夜と謎の猫の亜人(・・・・)(ニケの事)が飲み物を飲みながら雑談していた。

 ……というより、気絶させた男2人はそのまま床に放置かよ。


「あ、みんな……」

「『あ、みんな』じゃないわよ。集合場所に居なかったから探したわ」

「そっか。ごめんね……」

 4人に気付いた佐夜が少し表情が明るくするが、まだ少しぎこちない。


「ところで佐夜さん。その人はだれ?」

「え、ニケの事?」

「アタシの事かい?」

 同じ亜人系からの意識なのか、陽菜々が佐夜にニケの事を尋ねられ、ニケについて軽く説明する。


「で、で? そのイングって人とどこまでいったの?」

「近い近い近い。ってか僕とイングはそんな関係じゃなかったってばー」

 で、その際、エルフの『イング』についても話題になり、佐夜が愛沙に詰め寄られてタジタジになる。仲間と話している内に身体の震えは収まった様でいつもの明るさが戻っている。


 ───いや、戻りすぎている。


「それより佐夜さん。何で自分の事『僕』と言っているのですか?」

「あ、ホントだ!?」

「あ、それ。陽奈々も聞きたかったですっ」

「佐夜よ。何かあったのかえ?」

「え?」


 ニケ以外の4人に言われて佐夜はやっと気付く。

 自分の一人称が『僕』になっている事に。


「それに何だかさっきまでと違って、やけに乙女(・・)感が滲み出てる様な?」

「ええ、確かに。先ほどまでは『無理して男の様な振る舞いをしている』感じでしたが、今は全く違和感がありません。素晴らしいです」

「え、何2人共。それって僕が乙女だって言いたいのかい?」

「イングにキスまでしてこれのどこが乙女じゃないって言うのかい?」

「「「「キャー!」」」」

「ちょっ、ニケ!」

 佐夜は一人称だけではなく、立ち振る舞いまで『天罰』を受ける前に戻ってしまっている様に言われ、更に男相手にキスした(厳密に言うと緊急措置的なものだが)事までニケに暴露された事で愛沙達4人が黄色い声を上げる。


「全く君達は……」

「拗ねてる佐夜さん、かわいいですっ」

「拗ねてないよっ」

「うむ。やはりこの状態がベストじゃ」

「どの状態!?」

「前から男らしくないとは思っていたけどまさかここまで進んでいたなんて……佐夜、恐ろしい娘っ」

「恐ろしくないよっ!」

「これでは剛様に佐夜さんを合わすことは出来ませんね。佐夜さんに剛様が寝取られてしまいます」

NTR(ねとり)確定!?」

「流石サヤ。伊達に『男殺し』の異名は名乗ってないねぇ」

「名乗ってないから!」

 と、陽菜々、真桜、愛沙、リア、ニケの5人から散々な事を言われ、


「僕に…僕に見方はいないのか……うわ~ん(泣)」

 遂に耐え切れずに逃げ出した。


「あ、佐夜さん!?」

「あー、泣いて逃げてもうた」

「呑気に言ってないで追いかけるわよ」

「ええ、今夜は寝かせません。貴女はどうします?」

「アタシも後から行くよ。佐夜が居るなら匂いで分かるからね」

 イングとの関係を追及するべく佐夜を追いかける4人。最後にリアが追う前にニケに訪ねて後々合流する様だ。


「うわ~ん(泣)」

「「「「「あはは、待て~~」」」」」


 5人の追いかけっこはホテルの従業員に怒られるまで続いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「リアが飛ばされた世界まで何処くらい掛かる?」

 一方、亜空間の『ベルガイア』内に居るヴァン達はというと、世界破壊者コードブレイカー四月朔日わたぬき・剛がブリッジ内で質問してきた。


「透、後どのくらいだ?」

「はい、このペースで行きますと後、16時間19分後には到着します」

「だ、そうだ」

「そうか」

 ヴァンと透がそう言って剛が短く言うが、何故かブリッジ内をウロチョロしだす。


「何だ、どうした? 何か心配事でもあるのか?」

「いや、何でもない。気にするな」

「無茶言うな。あれだけ艦内をウロチョロされたら普通に気になるわ」

 もうかれこれ30分くらいブリッジ……その前は1~2時間くらい艦内を特に何もするつもりもなくウロチョロしているのを透がモニターで確認している。勿論ヴァンも透からそう報告を受けている。


「マスターはね、リアさんがとっっっても心配なんだよー」

「っておいチャア!」

「だってホントの事だもーん」

 いつの間にかブリッジに居たチャアがヴァン達にチクり剛が慌てる。


「ま、まあ? 俺はあいつの、リアのあるじだし? リアもいきなり別の世界に転移して不自由してないかなーとか? ウサ耳が原因で何かあったらと思うと俺が心配して悪いかっ!?」

「何でキレる!?」

 急にキレ出した剛にヴァンがたじろぐ。


「……心配なのは分かったからいい加減落ち着け。お前がウロウロすると他の乗組員達が何事かと逆に心配するだろうが」

「お、おう。すまん……」

「ったく、お前がウロウロしてばったり会った義信がお前を見て取り乱し、傷口開いたの忘れたのか」

 世界破壊者コードブレイカーも一人の人間。闇落ちても人間らしい感情は残っている。


「あれは丁度俺の気分が悪い時に出くわしたあいつが悪い」

「まあ、何故か世界破壊者との遭遇率が異常に高いもんな義信の奴……」

 剛の言葉にヴァンが苦笑して言う。

 確かに義信の世界破壊者との遭遇率は組織ないでダントツに高い。しかも運が悪く相手の気分が悪い時に出くわすので、怪我が絶えない。今回も後1~2分遅ければ今度こそ召されていただろう。

 というか呪われているんじゃないのか義信の奴?


「じゃあなんだ。やる事無くて暇なのなら俺と手合わs────」


 ドゴォン!!


 ゴゴゴゴゴゴゴ──────


「うわっ、何だ、どうした!?」

「キャー、マスターこわーい」

 ヴァンが「手合わせしようか?」と言おうとした直後、謎の破壊音と共に艦内が揺れてチャアがワザとらしい声を上げて剛に抱き着く。


「総員被害状況の確認を。透、亜空間(そと)で何があった?」

「どうやら何者かによる攻撃を受けたものだと思われます。モニター、出ます!」

 ヴァンがブリッジのオペレーターと透に指示し、被害状況の確認と外部モニターで亜空間(そと)の様子を映し出す。


「うっわぁー。これはまた……」

「また……ですか?」

 そこに映し出されていたのは3人の世界破壊者(・・・・・)。外部スキャンで相手の属性(闇属性だった)を調べ、見た目と感じる気配を元にまず間違いないだろう。


「何だあいつ等……俺に近い物を感じるぞ?」

「うん……何か悲しくて禍々しい力を感じるね」

 モニターを見た剛とチャアも亜空間そとにいる奴等を見て、直感で自分と同じ様な存在だと分かったらしい。


「正直俺だけじゃ3人は止められないか……。剛、俺と一緒にあいつらの撃退を頼めるか?」

「は? 何で俺が出なくちゃいけないんだ」

 ヴァンの要請に当然の如く断る剛。


「このままじゃこの艦はあいつ等に破壊されてしまうからだ。で、奴等に対抗できるのが俺と、奴等と同じ世界破壊者コードブレイカーのお前だけだ」

 そう言いながらヴァンは自分と剛を指差して言い、

「もし俺だけ出て奴等を一人でも取りこぼしでもしてみろ。お前はともかくこの艦に乗っている大勢のお前の仲間はどうなる? お前が出なきゃこの艦と一緒にお陀仏になるぞ?」

「ちっ………分かった」

 【アルフィーニ】から連れて来た大勢の配下もこの艦に乗っているので、剛はこの艦を護らなくてはならないのだ。舌打ちしつつも最後は了承する剛。


「ここで戦ってもこの艦に被害が出る。透、俺達が出た後、予定通り佐夜達の転移先へ迎え。当然『サイエンGO』にも迂回する様に言っといてくれ」

「分かりました。隊長、剛さん。お気をつけて」

「マスター! 死ぬ気でガンバってー!」

「お前は自分の主に死ねってか!?」

「冗談だよー」

「ったく」

 そう言い残しヴァンと剛は転送装置へと向かった。


「あ、隊長、またリオを置いて行くの……?」

「リオ?」

 転送装置がある部屋に入るとそこにはリオが居た。しかも何か泣きそうになっている。


「毎回毎回、隊長と約束してもその直前で何かしら異変が起きてこうなるんだもん。リオ、泣きたい……」

「はぁ」

 装置の邪魔をしてヴァンの気を引こうとするこずるいリオに溜息しか出ないヴァン。


「隊長冷たいよ!」

「はいはい。今はそれどころじゃないんだ。約束事なら後で何でも(・・・)聞いてやる」

「え? 何でも?」

「ああ、だからそこどけ」

「なら良し!」

 そんなリオを適当にあしらう為にヴァンが言ってはいけない事を言った。これが後々ヴァンにとって災いになるのだがそれは後の話。


「おい、早く行かないとマズいんじゃないのか?」

「ああ、そうだ。じゃリオ。先に行って佐夜と合流してくれ」

「はいは~い(うふふふふー)」

「???」

 リオの薄ら笑いに疑問を浮かべるヴァンだが、今は亜空間そとにいる世界破壊者の相手がしなくてはいけないので後回し。


「んじゃ、運動がてら手合わせと行きますか」

「ふんっ」

 ヴァンと剛が亜空間に出て、『ベルガイア』を先に行かせた後、正面に居る世界破壊者達に向かって行った。



次回は佐夜達が居る世界の総理(首相)に会い、『仮面系』と戦います。

楓はもう少し後かな?

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