第5話 ~『HUROBA』~
前回からの続きで何故か一気に書けました。若干短めではありますが。
疲れたけど満足~。
「───それで我が秘書よ、昨日この世界に侵入してきた5人は今現在、何処で何をしている?」
「はい、先日この世界に侵入してきた5人は今日、佐助村公園に赴き、そこに偶然現れたイカみたいな怪人を撃破。ですがその直後に到着した『ライフレンジャー』と名乗るヒーローに怪人と間違われて応戦し、沈黙させた後説得して帰したそうです」
暗闇の空間に集まった10人ほどの各国のお偉いさん方(1人を除いて他9人が立体映像での参加)が首脳会談で集まり、先日この世界に緊急避難で次元転移してきた佐夜達の事についての話題で、佐夜達5人がこの世界の敵なのかどうかを議論していた。
ちなみに最初に話を振ったのが日本の首相で、その話の報告をしたのがその首相の秘書だ。
「ちなみに先日有名レディースブランド【リ・アンフィル】で一般人が撮影したと言われる5人の画像がこちらです」
秘書がリモコンを操作し、服屋で撮られた5人の画像がモニターに出る。
「「「「「「「「「「ぶはぁっ!!?」」」」」」」」」」
「きゃああ!? ちょ、え、総理!? 皆さん!?」
モニターに現れたとある画像に各国の総理や首相、大統領達が鼻血を出して机に突っ伏した。
その画像とはファッションショーで着ていた色んな衣装を身に纏う佐夜の姿。
言わずもがな誰もが認める佐夜の超美少女っぷりに各国のお偉いさん方は皆、一瞬で心を奪われ、大量の鼻血を吹き出し、日本の首相は勿論、各国のお偉いさん方が映るモニターも血に染まり、映像もとい通信が急に途絶えてしまった。
「各国の代表達を一瞬で虜にするなんて……この娘、恐ろしい娘っ!」
スプラッタと化した首脳会談に日本の秘書は勿論、各国の秘書達も同じ事を思ったそうな。
直接関わっていないのにも関わらず、佐夜のもたらす影響は凄い………。
ちなみに誰も佐夜以外の4人の姿が目に入っていなく、侵入者=(美少女)佐夜という訳の分からない思考に陥り各国のお偉いさん方が皆、佐夜の大ファンになってしまい後日大変な事になるのだが、それは後の話。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ズザザザザザ─────────
「ひゃーっ」
「はぁーっ」
まるで世紀末覇者マンガに出てくる雑魚キャラの様なセリフを繋げて言いながら陽菜々と真桜がウォータースライダーを滑る。
「気に入ったのかそのセリフ……」
その2人を下の方から見るのは佐夜。前回ホテルに着いてからやけにテンションの高いちみっこ2人の子守りをリアと愛沙と佐夜3人でやっているのだ。
「「きゃあああああ(楽)」」
ザブ────ン………
「お疲れ様です佐夜さん」
「アレ? 佐夜、あの子達は?」
ちみっこ2人がスライダーの終着地点に着くのとほぼ同時に愛沙とリアが片手アイスを持ってやって来た。
「今丁度スライダーを滑り終えた所だよ。ほら」
と、佐夜が指差した先にざぶざぶと水をかき分けながらプールサイドに近付く陽菜々と真桜の2人。
「あー楽しいー」
「じゃのう。陽奈々よ、次はアレに行こうぞ!」
「おっけー」
……ちみっこ達はまだまだ元気なご様子。
現在佐夜達5人はロワイヤルホテルの受付でチェックインを済ませ、部屋に荷物を置いた後、この大浴温泉&プールスパ、通称『HUROBA』にやって来た。
最初は部屋にも設置してある露天風呂でお風呂を済まそうとした佐夜だったが愛沙、陽菜々、真桜の3人のしつこい勧めでこうやって『HUROBA』にやって来たのだ。
当然男女混浴なので水着着用と当たり前。なので5人も売店で売っていた水着を購入し着用する。
ちなみにみんなどんな水着を着用しているのかというと、
陽菜々は学校用のスクール水着(名札無し)。
真桜はタンキニ(タンクトップ+ビキニ)。
愛沙はチュアンピサマイというフリル満載のビキニ。
リアは派手めのモノキニ。
という何とも色んなジャンルをも受け付けそうな水着を着用する4人。
で、問題はこの人、佐夜だ。
ショーパン水着(男性用ショートパンツ)なのだが、これに上半身裸で『HUROBA』を彷徨こうものなら間違いなく補導される。絶対。
なので仕方なく無地の白いロングTシャツを羽織ったのだが、佐夜のその姿を見た4人の反応はというと、
「普通に女の子ね」
「うむ、違和感無いのだ」
「似合う-」
「やはり佐夜さんは何着ても似合いますね」
という佐夜の心を打ち砕く発言をし、佐夜が再びorz……。
そんな傷心の佐夜を引きずって5人は『HUROBA』へとやって来た。
最初は5人で優雅に気軽に遊んでいたのだが、大人組の3人は夕方前の戦闘で早くも疲れが出てまだまだ元気なちみっこの子守りを交代でしつつ、適度に楽しむことにしたのだ。
「んじゃ次は私があの二人を子守りするから佐夜とリアさんは遊んでていいよ?」
「う~ん、流石にもう遊ぶ気力は残って無いって。……俺はゆっくり風呂系やサウナとかを楽しむよ」
「そうですか、一緒に滝行をとも思ったのですが無理強いは良くないですね」
「いや、滝行ってあれ?」
リアが言う滝がどうのというのは、上空に設置している巨大なバケツに温めのお湯が溜まった時、一気にザバーっと流すアトラクションの一部。
うん。あれは滝行とはまた違う何かだ。
「ニンニン!」と、どこで覚えたのかリアの謎の修業(?)をチラッと観つつ、佐夜はミストサウナにやって来た。
「ん?」
「はにゃ?」
そこには先客と思われる少女がダラけた格好で寝ころんでいた。周りを見渡すと少女以外誰もいないので、ついゴロ寝していたのだと思われる。
「あはは、ごめんね。誰も来ないと思ってつい横になってたー」
「いや別に謝る必要は無いけど? 他に誰もいなければ俺だって寝ころぶさ」
「え、『俺』?」
「あ、いや、何でもない。気にしないでくれ」
「???」
うっかり(?)自分を『俺』と言った佐夜だが、ここで自分を男だと言ってもどうせ信じないか、驚愕されて質問攻めに合ったり、最悪リアみたいに身体を弄られる危険があるからだ。なので「何でもない」としか言えない。
「へぇー、君も別の世界から来たんだー?」
「そうだ。で、ようやく戻って来たかと思ったらまた違う世界だったという訳さ」
「それは災難だねー」
佐夜がやれやれと軽く落胆しながら言うと少女が苦笑して慰める。
かれこれもう20分ちかくが経過し、佐夜とこの少女、名前は佐々木堂ルイ、は仲良く談笑していた。
ルイの特徴として、歳が大体リオや陽菜々と同じくらいの年齢で、さっぱりとしたショットカットの茶色の髪(佐夜の初期と同じ髪)で猫っ口が特徴でやけに人懐っこいのが初見の印象的だ。
話を聞くとこのルイもこの世界の住人ではないらしく、仲間と共にとある任務の為にこの世界に滞在しているとの事。
勿論佐夜も自身の事情をルイに話した所、何故か意気投合し、こうして会話が弾んでいるという訳だ。当然『協会』の事は隠しつつ、だ。
「あ、そうそう。この前、ルイのライバルのあの娘にとても酷い事を言われてつい決闘を申し込んで戦ったんだけど……」
「負けたんだ?」
「負けてない! あれはあの娘の反則負けなのっ!」
「反則負けって……何されたんだ?」
「決闘直後に落とし穴に落とされ、穴の底にはルイの苦手な爬虫類の大軍、ようやく這い上がったと思ったら透明な電線を仕掛けられてて感電し、麻痺ってる所に洗剤を掛けられて泡だらけ、目が洗剤で染みて視界が途切れた所にどこから持ってきたのか分からない消火器を浴びせられて粉だらけ、ついでに追い打ちのスミも掛けられ、それを落とすからと言って同じくどこに繋がっているのか消火用の強力な水力で攻撃されて、ヘロヘロになったルイの顔を布で拭いたと思ったら次にマジックで額に『負け犬』と書かれ、激情したルイが攻撃した瞬間『空蝉の術』で消えてそこから現れた縄で亀甲縛りに遭って足払いで転がされ、最後に背中を踏まれて写真を撮られたんだよっ!!」
「お、おおう……何か凄い目に逢ってんなぁ」
一気に捲し立てながら迫るルイに佐夜が引いた。
「──っていうか『空蝉の術』か……」
ルイの言うあの娘が『トラップ』を駆使して戦い『忍術』も使う。
その条件に当てはまる人物に佐夜は恐る恐るルイに問いただす。
「それってさ、ルイ。もしかして黒髪ポニテでアレンジした忍服を着用した男の娘……『リオ』の事か?」
「にゃっ!? サヤ、あのバカリオの事、知ってるの!?」
「ま、まぁね……って────」
リオの事を離した途端、凄い勢いでルイが佐夜に迫って来て問い詰められようとした瞬間、ルイが胸に巻いていたタオルとその下に着用していたパレオ、そしてその下に穿いていた紐パン水着がはらりと落ちて佐夜を凍りつかせた。
ルイの、その股間に、ある物が、付いていた事に。
「あ…あ……ああ………あああああああ──────」
「あー、えっとその……ルイ?」
ルイが顔を真っ赤にしながら壊れたラジカセ(死語)の様になるのを見て佐夜が声を掛けた。その瞬間、
「サヤの馬鹿ー! 変態ー! 痴女ー! おたんこなすー!」
「うわーん」と泣き叫びながらルイはサウナから出て行って走り去っていってしまった。
「俺の所為かよ……。てか誰が痴女かっ!」
……サウナに残った佐夜もまた少し思考が鈍くなっている様だ。
次回はあの人物との再会です。
ちなみに『HUROBA』は世界共通語の『KOBAN』や『KAROUSHI』とかを参考にあてがって付けました。て、適当ではないですよ?