第4話 ~対・怪人&戦隊ヒーロー(短)~
予告通りニチアサの軽いパロディっぽい話です。
内容は浅く作っているので戦闘はすぐ終わります(ネタバレ)
あまりガチで戦わせるとキリがなかったので。はい。
「「「「おお~~~~!!!」」」」
街から少し離れた大きな公園に設置されている某アトラクションを真似た遊具をひょいひょいっとクリアしていくリアの姿に見学していた家族連れや、後続に控える人が歓声を上げる。
まあ、異世界で鍛えた身体だからね。リアにとってこんなのは簡単だと思う。
「リアさん、楽しんでるな~~」
「佐夜、いい加減戻ってこんかーっ」
虚ろな目で死んでいる佐夜(笑)を揺さぶる真桜。結構佐夜のダメージは深そうだ。
ゾクッ──────
「「「っ!?」」」
するとその時、3人の背筋が凍り周りを警戒する。佐夜が愛沙達に目を向けると2人も周りをキョロキョロしていた。
「な、何だ今の感覚……」
「毛が逆立つ様な感じじゃった……」
何が起きたのかは知らない佐夜と真桜の2人が二の腕を擦る。
「この感覚は……っ! 来ますっ!」
「「へ?」」
この5人の中で唯一協会メンバーで、この感覚を知っている陽菜々が3stステージの方を指差して言う。
すると、
ブゥゥ───────ン
「ギャーッハァー! 人間共を血祭だぁー!!」
「「「「「「ヒー、ヒー!!」」」」」」
3stステージのあたりの空間が歪み、そこから『イカみたいな怪人』と「ヒーヒー」言う某ライダーに出てくる『ヒョ○カー軍団』が現れた。
「……何アレ、特撮か何かか?」
「うむ。ボスらしきイカも何だか着ぐるみ感満載じゃしの~」
「何で2人共、たっかんしてるの!?」
遠目で見ても緊張感が沸かない2人に陽菜々がツッコむ。
「あの怪人達(?)は次元の歪みが生じてそこから出て来たんですっ」
「……って事は多分あの穴の影響?」
「詳しくは分かんないけど……」
「とりあえずあの者達を消せば良かろう?」
「考え方が物騒だよ真桜ちゃんっ!?」
「いや実際そうだろ……」
だってあいつ等人間を害する気満々だし。
「とりあえず陽菜々は避難者の誘導、俺は民間人を奴等の攻撃から護るから真桜は……『やりすぎない様』にソフトな攻撃で頼む」
「はーい」
「う、うむ…。手加減は難しいが何とかやってみよう」
元気に返事する陽菜々と、「うむむ……」と苦虫を噛む真桜。まあ、転移前後に暴走してたから力の制御が難しいらしい。
ズバッ、ズシュッ、ズドドドド、ドーン!!
「やぁっ! はあぁっ!」
「ヒー! ヒィィー!!(悲痛な叫び)」
「「「す……すっげぇ────!!」」」
ズバズバドーンっと軽々しく雑魚共を蹴散らしていくリアが凄く頼もしくド派手なアクションに、公園に来ていた少年達の目が輝く。
「大丈夫ですか? 今、治療しますからジッとしていてください」
「え、ええ……。 え? 何コレ魔法?」
「「「わぁ! キレイな色……」」」
少し離れた場所では、愛沙がヒ○ッカー軍団に傷を負わされて怪我をした主婦に回復魔法を施し、それを見ていた少女達が感動する。
「「うわーっ!」」
「「きゃああああ!!」」
「ぎゃーっはぁ! 叩き潰して俺様の餌になれぇぇ!」
リアが大量の雑魚に少々手古摺っている隙に、ボスっぽいイカ怪人(仮)が触手を使て民間人達を捕まえて持ち上げる。
ダンッ、ダンッ────ダンッ!
「ぎゃわぁ!?」
するとその直後、民間人を捉えていた触手に真桜の魔法遠距離攻撃がヒットし、ついでに本体にも当てて怯ます。
「むう、今度は少し威力が弱いかの?」
当てた当の本人は自分の掌を見て呟いた。
「大丈夫ですか? 跳びますから陽菜に掴まって下さい!」
「「「「え? え、ええ!?」」」」
シュン───────
イカ怪人(仮)の足元に落ちた民間人を陽菜々が転移で救出。転移先に居た人達が少し驚くが、それよりも迅速な救出対応に皆が陽菜々を称賛する。
「何なんだお前等はァ!? 5レンジャーの新しい仲間かよゥ!? これでも喰らえィ!!」
真桜のたった一度の攻撃にキレたイカ怪人(仮)が大きく息を吸い。
大量のスミを吐く。
「そうはイカの何とやら!」
が、その先に居たのは佐夜。すかさず錬成術を用いて『反り立つ壁』を作成。
すると、
「ぐわぁ!?」
スミを吐いた本人にスミが逆流して直撃し、真っ白なイカ怪人が真っ黒に染まる。
「「「「「「あははははwww」」」」」」
そんなお間抜けな怪人に周りから笑いが飛ぶ。
視界も真っ黒に染まったので急いで池でスミを落とした怪人が歯痒む。
「く…くそ……何て奴等だ! こうなったら───」
「こうなったら?」
「城に連絡して巨大化蜂を要請して踏み潰してええぇぇぇ!?」
「どうかしましたか?」
怪人が気付いた時にはもう雑魚共は全滅し、槍が血に濡れたリアが怪人の背後できょとんとしていた。
「く……なら俺様一人でやったらァァ!!」
すかさずリアから距離を取ったイカ怪人が自身の持つ全ての技を用いてリアに襲い掛かる。
だが、
「遅いです」
斬。
「ぎゃあああ!?」
イカ怪人の全ての攻撃を楽々と避けたリアが袈裟切りを一閃し怪人が叫ぶ。
「さて、佐夜さんが言うには『早めに殺さないとメンドクサイ事になる』そうなので……さっさと死んで下さい」
「ま…待っt─────」
「『微塵斬り』!」
ズバババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババbbbb────────
命乞いの一つも言わせずイカ怪人を文字通り『微塵斬り』にするリア。
その場に残ったのはイカミンチ(苦笑)となった怪人の残骸。
「「「「「「うわぁ………」」」」」」
その情け容赦無い攻撃に逃げ遅れた民間人達が皆引いた。
だって仕方ないじゃないか。モタモタしていると絶対後で碌な事にならないのが特撮ヒーローで出てくる怪人の特徴なのだから。具体的には『巨大化』の事。
「佐夜、どう? 巨大化なんてしないよね?」
「ん~多分? あそこまで原形を留めてないから復活は厳しいと思うよ。多分」
「多分て」
「んじゃ一応念の為、真桜お願い」
「おーけーじゃ」
ドオォォ──────ンッ!!
「あ」
「「「「おいおいおい………」」」」
イカ怪人をミンチにはしたが復活しないとは限らないので、真桜に頼んだ所、火力を誤ったのかうっかり大火炎魔法を放ってしまい、残骸が派手に爆散した。
「「「「「そこまでだっ!!」」」」」
「「「「「ん?」」」」」
するとその直後、佐夜、愛沙、リア、陽菜々、真桜の5人の背後に、お揃いで色違いのジャージを着た5人の男女の青年達がリア(と真桜)を指差して言う。
「「「「「『変身』!!」」」」」
そして謎の5人の青年達は謎の電子機器を操作し、彼らの衣装を変え始める。
「……急に現れて何ですかあの人達は?」
「アレは……ねぇ?」
「うむ。アレじゃのう」
リアが急に現れた5人に対し不快感を露にして、愛沙と真桜が苦笑する。
「アレっていわゆる『せんたいひーろー』ってやつだね、佐夜さん」
「ああ、問題は何で俺達を指差しているのかって事だけど……」
やけに明るい声で言う陽菜々に額を掌で支えながら佐夜が言う。
怪人を倒したと思ったら次はこれかよ。
「「「「「─────卑劣な悪から人々を救う! 我ら『ライフ・レンジャー』!!」」」」」
グダグダと前口上が終わり、戦隊名を言う5人。
それに対し佐夜達は、
((((な、名前がダサい……っ!!?))))
それを言うなら『ライフセイバー』だろ。あ、いや、それだと『水辺の監視員』になるか。
それにしても酷いネーミングだ。センスが無さ過ぎる以前の問題だろこれ。
「「「「「はっ!」」」」」
「「「「「っ!?」」」」」
そして変身を終えた青年5人組が佐夜達……いや、正確にはリアと真桜だけを狙って攻撃してくる。
リアは普通に応戦し、愛沙と佐夜が防護壁とシールドでガード。陽奈々と真桜はその中で待機。
「人々を救うと言ってましたね。なら何故もっと早く来なかったのですか?」
「うるさい! 人間を食い物にするこの『ウサギ怪人』めっ!」
「私達が居る限り、この世に悪は栄えないわ」
「……ちょっと何を言っているのか解りません」
レッドとピンクの衣装を着た者達が訳の分からない事を言うので、リアが何を言っても無駄な様だ。
「君! その赤い髪の少女は悪の化身だ! 何で護る!?」
「そうだ! 先ほどだってこの辺りを破壊していたじゃないか!」
「誰が悪の化身じゃ!? それにさっきのはちょっと加減を間違っただけじゃ!」
「「アレがちょっとか!?」」
「ちょっとどころじゃないけどね……」
どうやらさっきの爆発の光景を見られていた様だ。だから真桜にも攻撃の対象が来たわけか。ちなみに愛沙と真桜の所に来たのはブルーとグリーン。
「そこの可憐なお嬢さん、君に戦闘は似合わない。大人しく投降して僕とお茶でも如何ですか?」
「こんな時に戦ってる相手をナンパか!? つか俺は女じゃない!!」
「ええええぇ!!?」
この状況下で佐夜をナンパするバカはイエロー。佐夜の『男』発言にイエローがマスオさんビックリした。
ちなみに陽菜々はまだ残っている民間人達を安全な場所まで移動させるように伝え、ひたすら短距離転移&転移を繰り返している。結構しんどそうだ。
「う、うぐぐ……。このー……っ」
「ぬううううううっ」
「おおおおおおおっ」
一方、愛沙の方もひたすら防御に徹していているが、相手がシールドの一点ばかりを攻撃している為、何時壊れてもおかしくない為、常に気を張っていないといけない。もし突破されて真桜に直接攻撃しようものなら、逆に命を奪いかねないからだ。
「人々を害す存在はいてはならないんだ。だから君、そこを退くんだ!」
「そんな事出来る訳無いじゃない!」
「ならば仕方ない。グリーン、アレをやr────」
「はい、そこまでです」
ガッ!
「ぬはぁ!?」
バタリ。
「はい、貴方も」
ドカッ!
「ナハトッ!?」
ドサリ。
「あ、リアさん」
ナニかをやろうとしていたグリーンとブルーを背後から一撃与えて気絶させたのは先ほどまでレッド&ピンクと戦っていたウサ耳怪人リア(笑)。
と、愛沙がリアが先ほどまでいた場所を見ると、レッドとピンクが気絶させられていて時より身体をビクビク痙攣していた。
「こ、こうなったらもう女でも男でも構わない。俺とお茶してくれー!」
「アホか! ってうわ、変に力が上がってやがる……」
んで佐夜の方はというと、男だと分かった(?)上で、ナンパしてきたイエローがその変態っぷりを発揮して無駄にパワーアップし、佐夜の防護壁を突破しようとしていた。
「佐夜さんに迫るなんて……ヘンタイすぎますっ!」
バァン!
「もこみちっ!?」
佐夜に執拗に迫るイエローを、丁度戻って来た陽菜々が目撃し、「佐夜さんが危ない!」と言わんばかりに銃を構え、『対・ふっ飛ばし弾』をイエローの横っ腹に直撃させ、前後ではなく横のくの字状態で佐夜の視界から消え去った。
「佐夜さん、大丈夫ですか?」
「あ、ああ……。ある意味正直危なかった。ありがとな」
「えへへ」
陽菜々に助けられるなんて全く予想していなかった佐夜だが、ここは素直に陽菜々に感謝しつつ、頭をナデナデ。
「あら、そちらも終わりましたか?」
「あ、愛沙に真桜、そしてリアさん……って何か死屍累々な感じになってるな」
リアに声を掛けられて振り向いた佐夜が目にしたのは、同じくビクビクと痙攣しているブルーとグリーン。そして4人の足を持って器用に引き摺るリア。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、丁重に縛り上げた青年達5人が起き、佐夜と愛沙が何とか説得して帰ってもらった。
「私達にこれだけ迷惑を掛けたのですから通常は殺されてもおかしくないですよ? 私の世界ではご主人様がそんな感じでやってましたので」
……じゃないとリアがこの5人を殺しかねないから。
ちなみにその話の合間に佐夜が真桜に魔力を分けて貰いつつ、破壊された公園のセットを錬成術で直す術を見て青年5人の佐夜を見る目が変わっていた事にリアと陽奈々だけが気付いていたが、ここはあえて佐夜に伝えなかった。事態がややこしくなるだけだからな。
で、何故かレッド役をしていた青年に【ロワイヤル(?)ホテル】の無料招待券(当然5人分)を貰ったので、今日はそこに泊まる事にした佐夜達5人。
「な、何か凄ぇな……」
「と、東京ドーム何個分あるのよコレ……?」
「おっきい……」
「これはまた立派な………」
「ワクワクするのう」
ロイヤルではなく【ロワイヤル】という響きにちょっと懸念を感じていた(リアを除く)4人だったが、これを見た瞬間納得した。
まず愛沙が言っていた東京ドーム(元の世界を参照に)が9個分の敷地面積があり(パンフレット参照)、建物自体もかなりでかく、中には宿泊施設・温泉・卓球は勿論、最新式のゲーセンや映画館などのアミューズメント類、カラオケ、ボーリングも当然、テニス・バトミントン・フットサルコートがそれぞれ5式ずつ、そして何故か『うにクロ』などの有名服店や、お土産屋の店舗も多く、それ以外にも佐夜達には分からない施設が盛りだくさんあり、真桜のワクワクが止まらない。
「ヒャッハァー!!」
「ちょ、ちょっと真桜勝手に一人で行かないの! っていうかキャラが変わってるし、その掛け声はヤメて!」
遂にワクワクを堪えられなくなった真桜が入り口に向かって走って行き、愛沙が慌ててツッコみながら追いかける。仲の良い姉妹だな。
「ひゃっはぁー!!」
「陽菜々、お前もかっ」
真桜に続いて陽菜々もテンションMAXで愛沙の後を追った。
「え…え~っと……俺達も行きましょうか」
「そ、そうですね……」
佐夜とリアはそう苦笑いしながら3人の後をついていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~SS~
リオ「あれ? ユフィさん何してるの?」
ユフィ「ん? ああ、これですか? これは陽菜ちゃん用の『油揚げ』よ」
リオ「いや、それは見れば分かるよ……。そうじゃなくて、何でこんなにいっぱいあるの?」
ユフィ「だってあの子、私達と逸れて泣いてないか心配で心配で……」
リオ「過保護!」
ユフィ「それにあの子、結構揚げを食べるからね。再会した時、すぐに食べられる様にストックしているというわけです」
リオ「だからってコレ……。多すぎでしょ」
ユフィ「大丈夫。その内のいくつかは稲荷(寿司)とか油揚げを使った料理を作るので」
リオ「そうじゃない…そうじゃないよユフィさん」
オチ無し。
今回は『戦隊物』でしたが、この3章では後、『仮面系』と『魔法少女系』バージョンも載せる予定です。
……お、怒られないよ…ね?
で、ではまた(汗)