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第22話 ~無茶しやがって~

今回は前話部分の後半みたいなものです。繋げると長かったので2つに分けて追筆しました。

「佐夜──────────────────────っ!!!!」

 佐夜達が居た場所へ一番最初に飛んで(実際は走って)やってきたのは、佐夜にベタ惚れしているベリアル。勿論全裸で(笑)。

 ここまで来る途中、生き残っている住人達に全裸を目撃され悲鳴を上げられるかと思っていたが何故か誰もいなかったので、気にせず全速力で駆けつけてきたのだ。


「は、はええよ………奇○種か、お前は……(息切れ)」

 次に来たのは正義、全裸の男が佐夜達の所に行ったら最後、(一応同じ男の)佐夜はともかく、愛沙と真桜、応援に行ったという陽菜々が見たら目の毒以外の何物でもない。下手したらトラウマものだ。


 あ、ちなみにこの時点で佐夜達は無事脱出しているのでこの世界にはいません。


「と、いうかよ。アレ、何かヤバくないか?」

「ほう、貴様にも分かるか。アレの危険さが」

 ……勇者と全裸の男が会話するその姿はとてもシュール。


「お前にはアレが何なのか分かるのか?」

「ああ、あれは魔王様の魔力だ。しかも何故か暴走している状態だ」

「は? いや、暴走って……」

 2人が言っている『アレ』とは勿論、真桜が暴走して放出した黒く濃い魔力の塊の事だ。何気に「ゴゴゴゴ……」と聞こえるのは気の所為なのだろうか?


「セイギー!」

「ん?」「お?」

 すると次にリオがやってくる。


「───って、わっ! まだ裸……(チラッ、チラッ)」

「モジモジしながら他人ベリアルの下半身見るな。つかお前もいい加減何か着ろって。佐夜にその真っ裸状態見られたら嫌われるぞ?(多分)」

「何っ!? だったらこうしてはおれん。何か着れる物を探してくる!」

 正義のセリフが効いたのか、べリアルがリオと入れ違いでどこかへ走って行った。


「リオー! 正義さーん! やっと追いつきました」

 次に追いついたのはユフィ。招来術で鳥の星霊を呼び出して乗って来たらしい。

「チャア達もいるよ!」

 よく見るとその背後にも鳥の星霊に乗って来るチャア達の姿があって、集団で来られると何か怖い。


 とりあえずチャア達も来たのでユフィは星霊を送還して還す。


「何だこれは……。俺、ここまでやらかしたっけか?」

「っ!? 誰だ!」

 すると突如、上空から声がし、正義が剣を構える。

 その正体は勿論、四月朔日わたぬきつよしだ。

 当の本人は魔王領&魔王城の有様を見て「ここまでやったっけ?」と首を捻っている。当然正義の声など聞こえてはいない。


「あ、マスターおかえりー☆」

「「「マスター!?」」」

 チャアが呑気な声で剛を呼ぶ。


「え、ちょっと待って。じゃあこの人が……」

世界コード……破壊者ブレイカー………っ!」

「くそっ! ここに来て真ボス登場かよっ!?」

 正義は勿論、リオやユフィも世界破壊者コードブレイカーと対峙するのは初めてらしく、すかさず距離を取った。


「あー待て待て。別に俺はお前等と敵対するつもりはねーよ」

「「「え?」」」

 自分に対し戦闘モードに入ろうとした3人に対し、気怠そうに後頭部を掻きながら剛は言った。


「大体、俺の目的は『俺をこの世界に召喚した原因を探る事』と『元の世界に帰る事』だ。ここに攻め入ったのも俺を召喚した国の連中とその周辺の国のお偉いさん方が揃いも揃って『魔王を倒せば帰れる』と言ったからだ」

「いやいや、魔王を倒しても元の世界には帰れないよっ!」

 勝手に説明しだした剛にリオがツッコむ。

 

 そりゃそうだ。大概の幻想世界で召喚される場合、『魔王』もしくは『悪者』を倒せば帰れるみたいな事を皆は言うが、そんな保証はどこにもない。所謂『そこまでキツイ事しないと帰さないよー』という定番みたいなものだ。

「それは分かってるって。でもよ、一応試せる事は試さないとなって事でここまで来たわけだ」

「って事はお前、魔王を……真桜を殺すのか?」

 剛の言葉に警戒して剣を構える正義。その剛の放つ異様な気配オーラに気圧されながらも決して目線は外さない。相手が超格上の相手でも義兄は負けない!


「いや、もうその必要は無くなったから個人的にここを襲う理由もない」

「……どういうことだ?」

 魔王領に流星メテオしておきながら襲う理由がなくなったとはどういうこと、と正義は眉を顰める。


「先ほどゼロとかいう銃使いと戦ったんだがその時にな、色々な事を一通り説明を受けた訳だ。で、俺の目的である『元の世界に帰る』という事に関してあいつは言った」

「『自分達に保護されれば帰れる』……だよね?」

「そうだ。最初は全く信じてなかったが、あいつが『スマホ』を使用していた事で信じるきっかけになった。ところでお前達があいつの仲間か?」

「そうだよ。リオとこのユフィさんがレイレイの仲間だよー」

「俺はお前と同じくこの世界に召喚されて、こいつらに保護された身だ」

 剛が自分の部下、チャア以外のメンツに聞き、リオと正義が答える。


「本来なら召喚された人は『送還術』を用いて還す事になっているのですが、この方の場合、ちょっと色々と大変な事になって────」

≪リオ、ユフィ、聞こえるか? 応答してくれ。繰り返す、リオ、ユフィ、聞こえるか? 聞こえていたら応答してくれ≫

 と、ユフィが言葉を引き継ごうとした所、ここで『ベルガイア』から通信が入る。


「───すみませんちょっとお待ちくださいね。……はい、ユフィです。ってあら? ゼロ、何で亜空間にいるのですか?」

≪ああ、ちょっとな……。それよりお前等、その場所はそろそろあの濃い魔力爆弾の危険区域に入るから一度こちらに転送して避難させるぞ?≫

「避難って……ここにいる全員?」

≪そうだ、既にそこに住む住人達は別の場所へ転送済み……後はこの場所に残っているお前達だけだ≫

「はー、道理で来る途中、誰も見なかったんだねー」

「まぁ、住民の方々に下手に絡まれるよりはマシだとは思いますが」

 何故ゼロが亜空間にいるのか聞きたかったユフィだが、その話については一旦横に置いておいて、急いで避難する様言われる。

 その際、ゼロはリオ達に佐夜達についても聞かれ、佐夜達がリアというウサ耳美女と共に脱出した事も含め軽く説明し、剛が安堵した。


 と、いう事で剛との話の途中ではあったが、呑気に話している場合ではなくなったので、続きは『ベルガイア』の中で行う事にし、この場(・・・)にいる全員を亜区間にある『べルガイア』へと転送した。


 だが、

「あれ? そういえばあの……全裸の方…は、どちらに?」

「「あ………」」

 『ベルガイア』の転送装置内でユフィに聞かれた正義とリオがその場で固まる。


 ダダダダダd──────────


「レイレイー!」

「……だからそのあだ名で呼ぶなとあれほど……」

「そんな事、今はどうでもいいのっ。それよりもう一人、あの場に残っている人がいるの!」

「「え……?」」

 呆れ顔のゼロとパネルを操作していた透の動きが止まる。


「……どういうことだ? 全員避難させたはずだが?」

「いや、お前からの通信が入る前に着替えてくるからと一人どこかに行っててな……」

「……もしかして、この人ですか?」

「「あ」」

 ゼロとの会話中に透が割って入り、モニターを操作して一人の男性を映し出す。


 そこにはビシッと白スーツ姿で決めているベリアルの姿が。


「おいおい、あの衣装、まさかだと思うけど……」←剛

「どう見ても結婚式の花婿の衣装……だよねぇ?」←チャア

「どなたかと結婚なされるのでしょうか?」←ユフィ(天然)

「この状況下でか!?」←正義

「これは死亡フラグとか以前の問題だね……」←リオ

 色々とツッコミどころがあるベリアルを見て各々が言葉を発する。


「………とりあえずこいつも回収しておけばいいのか?」

「……ああ、何だかんだでこいつも協力してくれた奴だからな。死なすのはもったいない」

「……少々、ある病気を抱えてるけどねー」

 あたりをキョロキョロして挙動不審な動きをしているベリアルをジト目で見るゼロに正義とリオが困り顔で言う。

 一応この2人はベリアルが抱えているとある病を知っている。


≪ぬぅ……あやつら一体どこに行ったのだ?≫

「あ」

 未だ地上に残されているベリアルが再び走り出し、透が短く声に出す。


「ん……ちょっと…動かないで………。………。駄目です。対象者、チョロチョロと動き回るので補足できません!」

「……と、とりあえずスピーカーで止まる様に言えるか?」

「はい、それなら……ってああっ! ダメです。対象者が爆心地へ近づいた為、魔力と干渉して向こうまでこちらの声が届きません!」

 珍しく慌てる透に少しビックリするゼロ。


「……なら、まだ回収していないヴァンに繋いでもらって───」

「ん? 呼んだか?」

「ぬおぅっ?」

 ゼロと入れ違いで【アルフィーニ】に降り立っていた筈のヴァンがいつの間にかブリッジに入って来た。


「あ、隊長─────むぎゅっ」

「リオ、いつも言ってるだろ。急に抱き着いてくるなって」

「んー。んんーっ!」

 ヴァン隊長大好き人間、リオがヴァンの姿を見て抱き着こうとするが寸前でヴァンにアイアンクロー(持ち上げてはいない軽掴み状態)される。


「れろれろれろ……」

「うわっ、汚ねぇ!?」

 すると掴んだ手の内側から舐めるリオの舌の感触に思わず手を離すヴァン。


「むぅ。リオ汚くないよー」

「はぁ……」

 思わず手を離した所為でリオが再び抱き着いてきたが最早どうでもいいやとヴァンは諦めた。


「うふふ。相変わらずの仲良しさんですね」

「うんっ」

 ヴァンにベッタリ抱き着くリオを見て微笑むユフィ。


「……それで、俺がどうかしたのか?」

「いや、こっちに戻って来たのならもう手遅れだろう。……こいつの事だ」

「……。まだ残ってる奴がいたのか」

 実はヴァン。転送範囲外(魔王領の外)の逃げまどっている住人達を皆避難させ終え戻って来たばかりだったのだが、まさかまだ領内に残っている奴がいた事に眉を顰める。


「こいつ転送は……出来そうにないな。動き回ってるし」

「はい。スピーカーで話しかけようにもあの濃い魔力が干渉してこちらの声が届きません」

「なら直接接触するのは……危険そうだな」

「ああ、下手に接近しただけでもあの魔力の塊が爆発する恐れがある」

 凄い魔力の塊を指しながら言うゼロに流石のヴァンも身を引く。


「というかよ、もうそろそろ危ないんじゃないか、アレ」

「……分かるのか?」

 すると突然割って入って来た剛がモニター越しの魔力塊を見て言う。


「だってほら」

「「「「「あ………」」」」」

 剛が指したのは、巨大で濃厚な魔力塊に突っ込んで行くベリアルの姿が。それを見て協会のメンツ(ゼロ、ヴァン、ユフィ、リオ、透)は絶句した。

 「何故突っ込んでいくのか?」と。

 おそらく自分の手で佐夜を助けようとしているのだろうが、そこには既に佐夜の姿は無い事をベリアルは知らない。


≪あやつらがどこに行ったのかは知らんが、我は我が嫁、佐夜を助けるのだ!≫

 と、訳の分からない事を言いながら『魔導士』から奪った魔力を身体に纏い、突っ込もうとしていた。


 みんなが危惧していたあの巨大で濃厚な魔力の塊は言えば巨大風船をガスで膨らませた様な物で、


 魔力を纏いながら突っ込んで行くベリアルは言うならスタンガンみたいな物。


 そんな物がパンパンに膨らんだ風船に突っ込めばどうなるか。


 その結果は簡単に想像つくだろう。


 つまり、だ。


「佐夜──────────────っ!!」




 カッ─────────────




 チュドオオオオォォォォォォォ──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────ォン!!!!!

 


「「「「「「「………無茶しやがって」」」」」」」


 モニターを見ていた全員の心が一つになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 あとがき地獄~↓

リオ「無茶しやがって……ぷはっ(笑)」

ヴァン「まだ笑ってるのかお前は」

リオ「だって! まさかこのセリフを言う機会が来るなんて思わなかったんだもん! あははははっ(笑)」

チャア「そんなに可笑しい事かな、これ?」

剛「ま、まあ、俺が元いた世界では割と有名なセリフだったからな」

リオ「あはははははははは(じたばた)!」

ゼロ「相変わらず変な奴だ」

ユフィ「うふふふ……」

ゼロ「お前もか!?」



次回は第二章の最終話です。

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