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第20話 ~決戦 その9 抑え~

PCが復旧しましたー。はい拍手ーー

といっても執筆作業があるので今回も若干遅れ気味でした。すみません。はい。

次回から早く投稿できるといいなー

「『(マイアイス)分身(ゴーレム)』」


 ウフフフフフフフフフフフh──────×6


「うわ、また増えたよ………」

「いい加減ウザいですね」

 もう何度目になるか『冷酷』が出す、自分の分身ゴーレムを氷で出現させ、その分身ゴーレムと共に佐夜達に襲い掛かる。


 作られては壊し、作られてはまた壊す。かれこれもう4~5回は繰り返している。

 といっても油断は出来ない。何故ならこの分身ゴーレム達も魔法を使ってくるからだ。


「えいっ! えいっ!」

「『ヒート・マイアー』!」

「ええっと……『ホーリィフレア』!」

 応援に駆けつけてくれた陽菜々がゴム弾で牽制(意味無い)し、真桜が『冷酷』の魔法で冷え切った空間を熱を持つ炎系魔法で気温を上げつつ妨害する。一応、愛沙も唯一持っている炎聖魔法(熱威力は低め)で応戦。

 最初は敵役ぽかったリアはこのメンツで唯一接近戦が出来る戦士なので片っ端から『冷酷』を攻撃し続けるが、破壊したのは全部分身のみだ。

 そして最後に見た目が超が付く美少女の佐夜(♂)はしつこく死角から攻めて来る『冷酷』の不意打ちに対して錬成術で対抗する。


 中々本体で攻め入って来ない『冷酷』に、分身が次々と出現し中々本体に辿り着けない佐夜達。


 戦いはある種の膠着状態から既に20分が過ぎ、段々と佐夜達は苛立ち始める。

 その原因は勿論『冷酷』本体が攻めてこないから。


 何度か視界に入る分身を全て破壊してもどこからかまた新手の分身が湧いて出て来る。そしてその中にも当然本体はいない。もしかしたら透明ステルスな何かの魔法で消えているのかもしれない。


「流石にこれでは埒があきませんね」

「そうだな……みんな、どうしようか?」

「……いっその事、妾の魔法で消し飛ばしてやろうかの?」

「いや、それだと私達も消し飛んじゃうよ!?」

「その場合、陽菜々は転移テレポートで逃げる~」

「「「「あ、ズルいっ!」」」」

 先ほど『冷酷』に精神的拘束された真桜が自棄な提案をし、その場合陽菜々は逃げる~と言って、皆にツッコまれる。


「『冷圧縮アイテーション』………」

 

 ヒョッ───


「っ! 『風球ウインドアックス』(それと防護壁)!」


 ガッ───────


 ビョオオオオォ───────

「「「きゃあっ!?」」」

 5人がグダグダやっている隙に『冷酷』が『冷圧縮アイテーション』をひそかに発動し、それに偶然いち早く気付いた佐夜が咄嗟に隠し持っていたストック魔法『風球ウインドアックス』を使用し、同時に衝撃に備えて錬成術で防護壁も出現させる。

 その結果、冷圧縮された魔法に(ストックされた)風の魔法をぶつけ、空気が急膨張して建物内に突風が吹き荒れ、陽菜々、愛沙、真桜の3人が悲鳴を上げる。


「っ! リアさんっ」

「ええ、分かってますっ!」

 だが戦闘経験がおそらく豊富なリアとこの3人よりは多少戦闘経験がある佐夜は起きた事象(冷圧縮アイテーション風球ウインドアックスの衝突による突風・衝撃波)後の環境の変化にすぐに気付いた。

 寒暖の差によって視界が歪んでいた霧や水蒸気、冷気などの環境も、突風にて一瞬だけ取り除かれた事でようやく敵の居る場所が判明したのだ。


「我が主人の見様見真似で完璧では無いですが……『此シ離躯(シシリク)』!」


 ズババババババババババババババ──────────────


 先ほどまで無かった空間を『此シ離躯(シシリク)』という技で()滅多切りにするリア。

 うわっ、速すぎて手元と斬撃が見えない。

「わー。凄い音だけする……」

 陽菜々も同じ感想の様だ。


「……今更だけど正直、この人と戦わないで良かったわ」

「……お姉ちゃんに同意じゃ」

 愛沙と真桜に至っては今になって『逃げた』事に安堵する。

 もし、あの場で逃げずに戦っていたらどうなっていたか………。


 パキンッ───────


「がはっ────!?」

 リアを除く4人が違う方向に思考を逸らせていると、突然何かにヒビが入ったような音がして誰かが倒れてきた。


「その人が本体……もとい本物?」

「……いえ、正確にはこの人の額についている結晶体が本体ですね」

 愛沙が遠目でリアに聞くが、聞かれたリアは「何で遠くから?」と言わんばかりに眉を顰めながら言った。


「くっ……まさかあの状態から窮地に陥る事になるなんて……っ」

 『冷酷』が苦痛を上げながらこちらを睨む。

 まあ、相手がふざけて油断してる所を狙ったのに、それが相殺された上に一気に形勢を逆転されたのだ。普通に敗けるよりよっぽど悔しいだろう。


「『錬成術』なんて妙な技を使う小娘メイドを雇わなければこんな事には……っ」

 今度『冷酷』はそう言って佐夜を睨んだ。うわ、怖っ。


「妙な術って……この世界には無いのか『錬成術』?」

「さぁのう?」

「漫画やアニメでしか見た事無いわよ?」

「見た事も聞いた事もありませんね。そんな術は」

「Oh………」

 ずっと軟禁されていた真桜はともかく、多少この世界で冒険してきた愛沙や、この世界の住人であるリアでさえ『錬成術』を使う奴はいない、もとい、聞いた事すらないらしい。


 実は佐夜が魔王城のメイドとして採用されたのにはひとえに、『錬成術それ』というこの世界にとって未知の力が魔族達……もとい将軍達の興味を引いたからだ。

 もし、もう少し脱出の計画が遅れていたら捉えられて研究材料モルモットにされていたのかもしれない。危ない危ない(二重の意味で)


「どうせ死ぬのならいっその事、魔王様ごと貴様等をこの世界から消し去ってくれるわっ!!」


 カッ──────────!!


「きゃっ!? 何? 何!?」

「マズイですね。あの方、この空間ごと私達を自爆で消すつもりですよ!」

「た、大変! 早く逃げないと……っ」

 『冷酷』の身体が光り出し、この一帯の空間が震えだし始めた。地面が激しく揺れるので走って逃げるのは至難だ。


 と、なると、

「なら早くあの方を殺さないとっ!」

「……駄目じゃ、魔法すら効かん!」

 リアが接近しようにも高圧力のエネルギーによって近寄れず、真桜も何度か魔法を撃ちこんだりしてるがこれも同じく『冷酷』には届かない。


「攻撃は届かない、逃げようにももう時間がない……だったら───『時短スロー』!」


 ドゥ───────ン………


「「「「え?」」」」

 佐夜が手首に付いている腕時計(ア-ティファクト)の効果で『時短スロー』を発動。これで佐夜の周りだけ世界がモノクロになり、外の世界1秒につき10秒の猶予が出来る。


 これで───────


「愛沙! 急いでシールドを冷酷あいつの周囲に展開!」

「え? え、ええ?」

「急いでっ!」

「は、はいっ!」

 多少猶予が出来たとはいえ、ゆっくり説明している余裕は無い!


「真桜、愛沙が展開したシールドが破れない様、魔力で抑え込んでくれ!」

「あ、うん……分かったのじゃ」

 急にリーダーシップを取り出した佐夜に戸惑いながらも言う事を聞く真桜。


「陽菜々とリアさんは俺がシールドの上から防護壁を覆うからそれが崩れない様に抑えてくれっ」

「わ、分かったよっ」

 陽菜々は素直に従ってくれた。しかし、


「何故私が貴女に従わなければいけないのですか?」

「今は緊急事態だからだよっ。お願いだから協力してくれ!」

「………分かりました」

 リアは最初拒否したが、状況が状況なので渋々従う。


 爆発物(冷酷)の周囲に愛沙のシールドを展開し、それを抑える役割を愛沙と真桜で行う。

 魔力シールドだけでは不完全なので、物理的シールドとして佐夜が防護壁を愛沙が展開したシールドの上から覆う様に被せ、今度はそれが壊れない様、佐夜と陽菜々、そして文句を言いつつも手伝ってくれるリアと共に防護壁を支える。


「というかですね。こんな事をしなくてもさっさと逃げたり、私達の周りにだけシールドを展開させればいいのではないでしょうか?」

 『時短スロー』の効果時間が切れる前にリアがそんな事を言ってきた。


「それはNGだ。それで俺達が助かってもあの爆発がどの規模の威力か分からない以上、野放しにしたら外で戦っている人達や街の住人達が危ない」

「……確かに……外には私の部下達もいますしね」

「ああ、つかもうそろそろ時間切れだ。みんな、衝撃に備えてっ!」

「ええ」

「はいっ」

「うん!」

「了解っ」

 

 シュ───────ゥ

 

 皆が佐夜に返事した瞬間、世界に色が戻り、時間が動き出した。


 そして遂にその時が来て──────


 ドッ───────


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォ───────────────────────────────────────────────────────────────


「「「「「やあああああああああああっ!!」」」」」

 防護壁とシールドの内側から来る爆圧に、5人全員が全力でシールドと防護壁を支える。


───────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────。


 その後、何度も内部で爆発が起き、それがようやく収まったのは20分後の事。


「「「「「はぁ、はぁ、はぁ………」」」」」

 全体力、全魔力(真桜以外)を費やした5人は既に満身創痍で全身から凄い汗が出ている。それを見るに、それほどまで大変だった事が伺える。


「つ……疲れたぁ~~」

 先に地面にへたり込んだのは陽菜々。一番魔力が少なく、体力もあまり無いのによく頑張った。


「こ、これほどまでの威力だったとは……」

「はぁ、はぁ……むしろ逃げてたら確実に全滅してたね……」

「うむ。佐夜の英断のお陰じゃな!」

 リアや愛沙も息を切らせながら逃げすにいた事を案じ、真桜に至っては何故か胸を張って誇っている。


「もう帰って寝たい~~」

 べちゃっと地面に寝転がる陽菜々。気持ちは分かるけどお行儀が悪いぞ。


「いや陽菜々、戦いはまだ終わりじゃない。外ではまだ戦っている人もいるかもしれないからな。少し落ち着いたら外に出よう」

「そうね。正義はまだ戦っているかもしれないもんね」

「ああ、あの勇者ですか」

 愛沙とリアの脳裏には魔王城内で戦っていた正義の姿。

 ちなみにこの時点で、正義は外で地面に埋まってた所をリオに助けられていた。


「もうへとへとで動けないよぅ~」

 陽菜々がうつ伏せで手足をバタバタさせている。何がしたいんだお前は?


「あはは、お疲れ様」

「キューン、キューン」

 愛沙が陽菜々に近付いて背中を撫でると、鳴いて大人しくなった。


「さて、じゃあもう少し休憩したr───」

 佐夜が皆に休憩後の事を離そうとした。

 その時、




 ピカッ!




 ────トスッ………



「────え……?」

「「「「………え?」」」」

 

 佐夜の胸を背後からビームが通過。



 ────その場にいた誰も、何の反応も出来なかった。



 ───────そしてゆっくりと佐夜の身体が地面に倒れる。


「「佐夜!」さん!?」

 佐夜が胸を貫かれて倒れた事でようやく身体が反応した陽菜々、愛沙の2人がすかさず佐夜に駆け寄る。


「ちっ!」

 リアもようやく反応し、佐夜が撃たれた方向を見る。

 そこには頭と佐夜を指差していた左手だけが残っている『冷酷』の残骸が。


「ふ……ふふ………一矢むk────」

「ふっ!」


 グシャッ!!


 『冷酷』がセリフを最後まで言う前にリアが踏み潰して絶命させた。


「佐夜! しっかりして!」

「ダメッ! 血が止まらないよー!!」

 愛沙が回復ヒールを掛け、陽菜々が傷口を布で抑えるが一向に血が止まらない。


「い、いや………」

 するとここで真桜の様子がおかしくなる。


 魔王城ここに拉致られて先代魔王の魂と融合させられた真桜。その際、先代魔王の精神は表に出てこなかったが、ここにきて、佐夜が強襲を受けて倒れている所を見た瞬間、真桜の脳裏に先代魔王の記憶が映し出される。


 悪党勇者達が大勢で魔王領内の魔族達をほぼ皆殺しにする光景。


 そして先代魔王の家族が殺されて倒れるシーンが佐夜と被り、


「いやああああああああああああああああああああああっ!!!」


 現・魔王である真桜が絶叫を上げた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 あとがき地獄ですよ?

マロン「何で『?』マーク?」

R「知らん! ふんっ! ふんっ!」←鍛錬(筋トレ)

楓「それより会長」

マロン「何? って、楓ちゃん。何でここにいるの!?」

楓「何でと言われても……任務完了の報告」

マロン「あ、そう。お疲れ様……じゃ、なくて、楓ちゃんの登場は第3章からでしょう?」

楓「それは大丈夫。ここは番外編みたいなものだから」

マロン「そ、それならいいのか……なー?」


透「それよりも話の中心人物(佐夜)がやられた事に触れないでいいのでしょうか?」


はい、佐夜がやられました。

まあ、展開的に当然死にはしないですが(ネタバレ)

この後、どうなるかは次回へ。では

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