第3話 ~俺は女じゃない!~
超美少女でショートヘアーの佐夜。どう見ても男には見えない(らしい)
────────佐夜が幻想界【レニアナ】に落ちて来て早、二週間。全身打撲と血液不足で寝たきりだった佐夜はようやく普通に動けるようになった。
しかし、普通に行動できるようになったとはいえ、相変わらずこの世界の住人達との会話が通じない。イングとのファーストコンタクトの事、
「×?×××××××××××××。××××××?×××××?」
………何、言ってるのかがさっぱり分からない。佐夜が首を傾げていると、
「××××?××××××××?××××××。×××××××××××××。××××××××××××××××××××××××××××。×××××?」
さらに通じない言語で捲し立ててきた事に少々不機嫌になる。しかしイングは更に、
「××、×××××××××××××?×××××××××××××××××××××××××××───────」
「日本語で話せ!」
「ふぁぶぁ!?」
不機嫌MAXになった佐夜は枕をイングの顔に投げ、当たったイングが仰け反る。
ちなみにイングは佐夜にこう言っていた。
『お?ようやく目が覚めたか寝坊助。体調はどうだ?まだ痛むか?』
『どうした?ここがどこだって?ここは学校だ。そして俺はイングって名前だ。お前が鎮守の森っていう所に落ちて来たから救助したんだけど。覚えてるか?』
『おい、さっきから何で黙ってるんだ?何か言ってくれないと俺もどうしたらいいか分かんないって───────ふぁぶ!?』
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少女?(佐夜)に枕を投げられ退散したイングは、少女(笑)が食べたとされる朝食の皿を持って台所に戻って来り、そこに居た母親のアイナと朝食を食べに来た学び舎の女性陣(ニケ、マナ、ノン、ロロ)に冷やかされ、誤解だと説明。ついでに佐夜と言葉が通じなかった事をアイナに説明した(佐夜の発した言葉が解らなかった故)。
するとアイナが何かを思いついたのか、数十分後に何かを持って佐夜の部屋に行き、その数分後、学び舎の女子制服を身に纏った佐夜と一緒に出て来た。
「な、何でこんな格好に………」
羞恥心MAXで真っ赤になっている佐夜にアイナがニヤニヤしてる。一体何があったのだろうかとイングは思ったが、
「あれ?言葉、通じてる?」
「「あ、ホントだ!」」
眠たげな無表情のマナが佐夜の発言した言葉に気付き首を傾げ、双子(ノン、ロロ)も佐夜を指差して言う。
「……こうして見ると本当に美人だね~」
「~~~~(赤面)」
「うふふふ♪」
近寄ってジロジロ見るニケに赤面する佐夜。その状況に頬に手を当てて微笑むアイナ。
「……何かごめんな。母さんにつき合わされて」
「え? あ、いや、こっちこそ、これを渡されたお陰で言葉が通じるようになったからこれくらいは!(赤面)」
といい、顔を真っ赤にしてスカートを出来るだけ下に下げようとするその仕草にみんなが萌えた。ちなみにアイナが佐夜に渡した物は、指輪をシルバーネックレスで通した物で、指輪は翻訳魔法を施された物でネックレスはアイナからのプレゼントらしい。
これのおかげで佐夜とこの世界の住人達は意思疎通できる様になった。
そして次なる問題は、
「……クンクン………あれ?」
「「…………え?」」
亜人特有の嗅覚で佐夜の匂いを至近距離で嗅いでいたニケと双子(ノン、ロロ)の三人がある事に気付いた。
「? どうしたの?」
他の三人同様佐夜との距離が異常に近い、というか佐夜の綺麗な顔の頬をムニムニしているマナが、首を傾げる三人の変化に気付いた。
「あ、あのさ。『俺』今こんな格好されてるけど─────────」
佐夜の『俺』発言に皆ギョッとして、女子学生と化している佐夜を見た。そして、
「俺、『男』なんだよ?」
「「「「「…………え?」」」」」
ようやく自分の性別をカミングアウトした佐夜に今まで女の子だと思い込んでいた5人(アイナを除く)は石化した。そんな5人に佐夜はもう一度言う。
「だから、俺、男、なんだってばっ!」
「「「「はあああああ!?」」」」
「………………」
佐夜の叫びに、学び舎(&イングの家)に4人(ニケ、マナ、ノン、ロロ)の驚きの声が木霊した。イングは無言で石化から砂になりかけ、アイナは「あらあら」と悪戯がバレちゃった的な表情で微笑んでいた。
その後、みんなの大声にリンドがやって来て、佐夜以下略でまた驚きの声が木霊した。
誤解が解けたのはいいけど、イングが気になる