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異世界無双禁止規定(ステージ オブ グラウンド)『緩』 ~歌姫神と称された少年のあれこれ~  作者: 浅葱
第一章 ~次元迷子の少年(佐夜プロローグ)~
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第16話 ~半年が経った~

前回から3ヵ月飛んだ話。一気にダイジェスト(簡潔)。


 佐夜が【レニアナ】に落ちてもう半年経った。


 キャラが丸くなって(変わって)からは3か月半経って、今ではすっかり一人称が『僕』で定着してしまい、時々自室の鏡の前で『俺』というと自分でも猛烈な違和感&嫌悪感を感じてしまうほどになってしまっている(笑)。


 その他にも色々な事があった。

 マナがエミリア王女に「サヤは歌がとても上手!」なんていうものだから王城の、しかも王様の前で歌わされ(曲は元の世界のやつを選曲)て絶賛された。のは良かったのだがその後、本校の祭(学園祭みたいなもの)の大舞台で歌う歌姫ディーバに勝手に選ばれて仕方なく奏でた(歌った)所、超大絶賛され、今では佐夜は歌姫ディーバと呼ばれるようになった。男なのに。


 ある時はニケにまたチャレンジメニューに挑むと言われ定食屋に付き添うと、そこには何故かガルも居て、ニケと全く同じ物を頼んでいた為、ほぼ同時に注文した物が来た時、何故か両者の目に火花が散り、勝負の場と化していた。ちなみにその時のチャレンジメニューが『超盛りパスタ6キロ(味付けは自由)』で、結果は僅差でガルが勝利。


 またある時は双子のノンとロロの両親が出張すると言う事で、家庭教師という名の子守り(笑)を3日間お願いされ、その間ずっと双子は佐夜に構いまくって周りの人達からは母娘の様に見られていた(メイド談)。


 別の日にはマナに融合魔法の練習に付き合ってと言われ、アルケシス全員と何故か分校に来ていたエミリアが一緒になって練習して失敗して暴発。巻き込まれたみんなの頭がアフロになった定番のお約束は外せない。


 そしてまた別の日にはタックが森に色々トラップなどの罠を仕掛けたアトラクション的な物を作ったから試しに体験してくれと言われ、アルケシス全員で体験したのだが、一番最後のニケが罠(食べ物トラップ)にハマりまくり、キレて獣化モードに入り最終的には全てのアトラクションを壊してしまい、タックが涙目になった。


 結婚記念日と言う事でリンドとアイナが旅行に行くらしく、イングと佐夜の二人で留守番をする事になったのだが、二人が出かけた日の夜に洗い物をしていた佐夜だが、この時よくあるパターンの大雨が降り、大きな雷が鳴った瞬間、佐夜が乙女的な悲鳴を上げ、偶然風呂上りでリビングに来ていたイングに泣きながら抱き着いて押し倒した。

 丁度そのタイミングで、合宿という名目でアポ無しで泊まりに来た仲間達に佐夜に押し倒されているイングを見て、「お、お邪魔しました……」と言い、仲間達は帰ってしまった。本当に帰って行った(笑)。その後二人がどうなったかは誰も知らない(笑)


 王国の式典&パーティにエミリアの伝で呼ばれたアルケシス(リンドとアイナ含む)は普段しないような正装をして王城に行って式典やパーティに参加した。男性陣のタックとイングとリンドはタキシード(っぽい物)で女性陣のマナ、ニケ、ノンとロロ、アイナは勿論それぞれに合ったドレスを着ている。


 そして問題は佐夜だ。最初タキシードを着たが、自分でもみんなが見ても違和感しかなかった為、(佐夜以外の)皆で話し合った結果、結局仕方なく女性用のドレス(淡い黄緑色)を着る事になった。その際、勿論胸が直接見えないような物を選び、胸もそのままだと不自然だと言う事でパットなどで盛った結果、見た目は完全に立派な女性になった。

 アルケシスの女性陣はみんなは結構上玉の美人なので、パーティ中色々な男性から声を掛けられる。普段から元気っ子な双子やマイペースなマナはあまり変わってないが、自由気ままで暴食だったニケが驚くほど大人しく、しかも普段と仕草も違い、どこかの令嬢の様な振る舞いを行っている為、この3人よりも声を掛けられる回数が多い。


 しかしこの中で一番男性達の注目を集めたのがやはり佐夜だった。王族が絶賛するほどの歌姫として意図せずして有名となった佐夜は、パーティ会場に居たほぼ全ての男性達から声を掛けられまくっていた。

 声を掛けられたのが女性ならともかく、男である佐夜にとっては色々と複雑な感情が沸き、声を掛けて来た男性達への罪悪感しかなく、中には本気で佐夜に見惚れて求婚を求めて来た輩もいたが、そこは心強い仲間達のおかげで事なきを得た。


 佐夜が元の世界から持ち込んだ唯一の物である謎の腕時計の事で、佐夜はみんなとこの腕時計(?)について相談(対サラ戦での事)と色々な実験したところ、この時計には今の所(・・・)、【時短】の効果があると判明した。

でもこれは周りが遅く(スローに)なる訳でも自分の行動が速くなる(ハイスピード)訳ではなく、あくまで時短のみだ。イングの家(分校)から王都まで大体2~3キロ位距離があり、歩くのも事件が掛かる為、これを使うと対象者は一気に王都までの距離や時間を短縮出来るという訳だ。


 他に魔法詠唱(錬成陣作成)時間の短縮などに使えるが、これにはある意味重大な欠点があり、実際に『時短』魔法をイングに掛けて、魔法攻撃(タックの軽いファイヤーボール)を避けようとしたらそのファイヤーボールとイングの距離が一瞬で縮まりイングはそのファイヤーボールをモロに直撃し、アフロになった。どうやら今は(・・)この時計、戦闘中ではあまり実用的な物ではないのかもしれない。

 

 そんなこんなで半年が経ち、今ではすっかり【レニアナ】の住人とかした佐夜はとあるイベント(ミッション)で聞き捨てならない話を聞く。


「──────と言う訳で、選抜戦でチームランクが上がったアルケシスの皆も『ダンジョン攻略』へのミッション参加が決まった」

「おお…マジか!」

「楽しみ………!」

「「お宝~~!」」

「腕が鳴るねえ」

 リンドの話にタック、マナ、ノンとロロ、そしてニケが『ダンジョン攻略』と聞いてやけにテンションが高い。


「ねえみんな、ダンジョンって洞窟か何か?」

佐夜の頭の中では、元いた世界でのRPGゲームでのダンジョン系のイメージが強い


「ああそうか。元々ランクが低かった俺達には関係ない話だったから忘れてたけど、佐夜は知らなかったなダンジョンの事」

 イングが頭をかきながらダンジョンの事を話す。


 みんなが言っているダンジョンとはずばり、強力な魔物や謎の現象によって地図に載せる事が出来ない地域、または新たに発見された遺跡・洞窟などの『迷宮・未開拓地』の事を総じて『ダンジョン』と言っている。

「まさか参加出来るとは思わなかったよね~」

「ね~」

「え? どゆこと? 参加できるって?」

 双子がハイタッチして喜ぶが佐夜はまだよく理解していない。


「あ~~、つまりだな──────」

 イングに代わってタックが言う。

 ダンジョンに参加出来るのは基本的に個人上位ランカーが20位以内の生徒か、チームのランクが同じく20位以内の生徒達しかダンジョン攻略の権利が無い。

 そしてアルケシスの場合。メンバーもチームランクもそこそこ上がってはいたが個人もそしてチームとしてのランクも20位には届いていない。

 しかし、選抜戦の決勝にまでコマを進めた実績と、マナ&佐夜の『ストック魔法&融合魔法』に、ニケの『獣化ビースト浸透スルー』、そしてイングの『カゼノコロモ』による特殊技能を持ってると言う事で今回、下位(現在28位)チームではあるが特別に参加を認められることになった。


「でだ。そのかわり唯一下位チームであるアルケシスには他の上位ランカー、または上位チームと一緒に行動する様にと言われている」

「その一緒に行動する人達って誰ですか………?」

人達チームというか個人ランカーだな………」

「それってもしかしてアタシ等の知ってる奴かい?」

「まあ、知ってるというか何というかだな………」

「おいおい先生。まさか………」

 リンドが口ごもるとニケとタックが反応した。その反応を見た佐夜が呟く。


「………エミリア?」

「………その通りだ」

 佐夜が正解を言い、リンドが顔を引きつらせて肯定した。

「マジかぁ………」

 選抜戦での事もあり、多少はエミリアとの関係も修復(?)したイングだが、まだ少し戸惑いがある様だ。


「あまり知らない人(達)ならともかく、エミリアなら良いんじゃない?面白いし」

「面白いってサヤお前な……」

「サヤ、凄い事言うわね………」

「サヤの全く物怖じしない所は最早流石としか言えないよ……」

「「サヤ、ツヲイ!」」

「え?ダメ?」

 イング以外から褒めているのか貶されているのか分からない事を言われる佐夜。


「んーダメというかだな。相手は一応王族なんでな。下手に関係を持つとあまり良くない事が起こる可能性があってな。それでイングが幼い頃に─────」

「っ! 父さん!」

「おおっとすまん。つい口が滑りそうになった」

 イングの静止にリンドは頭を髪かきながら苦笑して言う。


「むぅ」

「そんなにむくれるなってサヤ。その(エミリアとの)話は今度ゆっくり時間ある時にでも話すさ。それより今はダンジョンについての準備をしよう」

「イング絶対だよ? 今度すっとぼけたらイングの夕飯抜きにするからね!」

「あ、ああ。分かった分かった」

 話を逸らそうとするイングに佐夜がかなり詰め寄って言う。距離が近すぎてイングは少し引いた。


「何故夕飯限定?」

「約束破った時の罰にしては軽いような………」

「「何だかんだでサヤは優しいよね!」」

「そうかい?私は飯抜かれたら結構キツイよ?」

「「「「そりゃあんた(ニケ姉)はそうだろうな(ね)」」」」

 夕飯を抜かれる辛さを知っているニケに4人がステレオで(ハモって)言う。


 そんなこんなでアホ騒ぎしながらアルケシスの一行は1週間後に迫るダンジョン攻略に向けての準備や作戦、鍛錬などを行い、その日を迎える事になる。




 そのダンジョン攻略の日を以って、佐夜がこの幻想界【レニアナ】から退去する羽目になろうとは、当たり前の話だがこの時誰も思わなかった。



次回ダンジョン攻略&エミリアとイングの幼い頃の話。

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