第11話 ~選抜戦・Part1~
選抜戦です。ここではちょっと長いのでいくつか分けて書きます
選抜戦当日。イング達チーム【アルケシス】を含む20組が闘技場に集まった。
そこにはイング達と戦ったチーム【ナターレ】や【クフィン】の人達も居た。ナターレはアルケシスと同じ4勝1敗で13位で通過。クフィンは5勝全勝で7位。ちなみにアルケシスは4勝1敗の16位のギリギリで出場だ。
まあ、本当は20位だったのだが、選抜のシード権を獲得している4チーム(4位)分が余り、その為その分の下位20位にいたアルケシスが繰り上がって出場権が与えられた。本来なら喜ぶべきなのだが、イングが何故か複雑な表情をしていたのを佐夜が見逃さず、問い詰められていた所を闘技場にいた人達に見られ、
「「「「あいつらこんな所でもイチャついてやがる………!」」」」
「噂通りの仲良しね!」「ホント羨ましい!」「え?あれで男の子なの!?」
男子達からは私怨の目で見られ(イングのみ)、女子達からは色々と奇異の目で見られていた(一部腐女子あり) 。
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時刻は現在『猫』(約、朝の九時にあたる)。まずは一回戦の抽選会が始める。一回戦・二回戦はシードを除く16位が戦い、4チームまで絞った後、残りのシード4チームを含みもう一回抽選を行う。そして準々決勝・準決勝・決勝を行い優勝チームを決めるのだ。勿論エミリア王女もシードに入る。
ちなみにこの選抜戦も模擬戦同様『ジュエル方式※』を採用しているが、違う点で言うと模擬戦では7人中5人を倒せばOKだったが、選抜戦では相手を全滅させるまでやる殲滅戦である(シードのチームには一人しかいないところもある為)。
※ジュエル方式についての詳細は第九話~模擬戦~にて
そして組み合わせ抽選会の結果。アルケシスは一回戦の第三試合。相手は【グラッセ】。模擬戦では全勝しているものの、チームランクはそんなにアルケシスと変わらない。とはいえ舐めてかかると負けてしまう可能性がある為、油断はしない。
で、その結果。相手チーム【グラッセ】の方がアルケシスを舐めてかかり、アルケシスに敗北した。その内容は安易に予想が付き、試合開始にグラッセの前衛4人が前に出て来て、その間に後衛の魔法使い3人が詠唱を始めるというものだ。
チームグラッセがそうする事を読んでいたニケが、
「アタシが特攻して魔法使い達を撃破してやんよ」
と言い、その通りに撃破した後、ゆっくり残った4人を料理してやった。その蹂躙する光景は、観客達から見たら凄く滑稽だっただろう。ともかくアルケシスは一回戦突破。っていうか『やんよ』って……。
続く二回戦の相手は上位チームの【ケーラル】だ。何と全員が全員、戦士系(剣士・格闘系)で構成されている超攻撃型のチームだ。なので混成チームであるアルケシスにとっては非常に不利な相手なのだが、ここは全員マナの提案に乗っかる事にした。
まずは開始直後、マナがストック魔法を解除して、いきなりの大火炎魔法『エクスプロージョン』を放つ。いきなりの大魔法にケラールの人達も一瞬慌てたが、一人が自分を犠牲にして他を逃がすスキル『デコイ』を使い、他の人達は3、3で左右に分かれた。
そこに合わせてイング・ニケが右方に、佐夜・タック・ノン・ロロが左方に分かれる。右方に回ったイング・ニケの方は戦士系なのでそれなりに戦えるが、左方に回った残りの4人は明らかに敵チームの戦士たち3人より劣る為、戦って直接勝てる相手ではないのでこの4人には相手の動きを封じてもらい(具体的には玉砕覚悟でしがみ付く)、そこにマナのもう一つのストック魔法『ストームハリケーン』を味方諸共ふっ飛ばした。
その結果、佐夜・タック・ノン・ロロの4人とケラールの2人が戦闘不能。何とかジュエルを黒で収まった一人がマナに襲い掛かり、マナと同時K.Oした。
後残ってるのがイングとニケ、そしてケラールの3人…いや、今ニケが一人倒して丁度2人対2人になっている。ここまで来たら後は根性!
で、その結果はマナの提案に乗っかった成果もあり、何とか辛勝した。本当にギリギリの攻防で、最終的に生き残ったのはニケだけだ。そのニケのジュエルの色も黒で一歩間違えば敗北していたのはこっちの方だ。勝ててよかった。
そして準々決勝の前にもう一回抽選があるが、その前に昼食の時間だ。
「じゃじゃーん!今日はシンプルだけどサンドウィッチにしてみた!」
「「「「「「おお~~~~!」」」」」」
昼食の場に選んだのは食堂。普通食堂なら「食堂の物を食え!」って言われそうなのだが、ぶっちゃけ佐夜の作った物の方が美味いので、食堂に来てもほとんど食堂の物は食べないし、そもそもいつもは分校に居るのでここにはほとんど来ないのだ。それこそ前に来たのは試験と模擬戦の日くらいである。
そしてそのサンドウィッチの中身は、タマゴ、ツナ、カツ、レタスハムチーズ、コンミート(馬肉)キャベツ、焼タマゴ、芋、イチゴ(っぽい物)とバリエーションが半端ない。気が付くと周りに人だかりが出来ていた。
「キミ達本当に仲良いね。 お?それ美味そうな食べ物だね?」
「む!?それは食堂のメニューに無い物か?見た事の無い物だ……」
声を掛けて来たのは先ほどアルケシスに負けたグラッセのリーダー【アイスナー】とケラールのリーダー【エイル】だ。二人が目を向けているのは佐夜のお手製のサンドウィッチ。実はこの世界にはこの調理法は無い為、最初にマナやアイナに出した時は怪訝な顔をされた記憶がある(この世界にはまだフランスパンみたいな硬いやつしかなかった為)。
「えっと。良かったら少し食べます?多めに作って来てあるので」
実は…というか佐夜は弁当を作る際、ニケが大食いなので多めに作って来るのだ。まあ、それでもいつも完食されるんだけど。
「え、いいの?じゃあ私はこのキャベツ(っぽい物)が入った物を頂くわ」
「じゃあ僕はこの揚げてあるやつ(カツ)を貰おう」
といって二人はそれぞれ一つずつ手に取って食べる。
「「っ!? 何これ美味しい(何だこれは美味い)!!」」
「そうだろうそうだろう!サヤの飯はメチャクチャ美味いからな!」
「サヤの女子力は最強………!」
「そしてアタシの嫁だ!」
「「ちがうよ!サヤはノンとロロのだよ!」」
「あ、あははは………」
アイスナーとエイルの感想に何故かタックとマナが自慢し、ニケと双子が「俺の嫁!」発言。収拾がつかない状態に当の佐夜は最早笑うしかない。
その後、佐夜の料理を気に入ってしまった2人は結局最後まで
皆と一緒に昼食を取った。勿論食堂のメニューを食べつつ佐夜のサンドウィッチを少し貰う形で。そのかわりにアイスナーとエイルが持っている残った7チームの情報を貰った。
「あー美味かった。サヤは将来絶対、良い嫁さんになれるぞ!」
「そうだね。料理は超美味しいし、戦闘の気配りや会話の気遣いも上手だしね。こんな娘なら男女問わずに求婚を求められてもおかしくないね!」
「いや俺、男なんだけど?」
「………は?」
「いやいやまた~、確かに貴女が男だって噂は聞いた事あるけど、こんな可愛い娘が女の子じゃない訳ないじゃないって(笑)」
「いや、本当にサヤは男だぞ?俺も確認したことあるしな」
「「「「「「「「…………………はい?」」」」」」」」
アイスナーとエイルの嫁さん発言に否定する佐夜だったが、それを裏付ける様に言ったイングにみんなが注目する。
「? どうしてみんな俺を見る?」
「ねえイング?それってサヤの裸を見た事あるって事なのかい?」
「うわぁ。マジかよ………」
「………ヘンタイ」
「ちょ!? ちょっと待て。確かにサヤの裸を目撃した事は認めるけど、決して故意じゃない……そう!あれは事故!事故でだ!」
「「事故?」」
「ああ……サヤが家の風呂場で逆上せた時にちょっとな………」
「は?ちょっとそれ俺、初耳なんだけど!?」
イングの発言に批判する仲間達に弁明すると、今度は黙って聞いていた佐夜が食いついた。
「そりゃあお前は逆上せて気絶してたからな。で、その後サヤを運ぶ時に見てしまったんだ……アレを」
「「アレ?」」
「…………言えるかアホたれ」
イングの言っているアレとは勿論アレなのだが、ここでは18禁なので言えません。
「やっぱりイングはヘンタイ………」
「いやだから何でだよ!?」
「そりゃあいくら何でも、裸を見た事をここで言う事じゃないからさね」
「だ、だって俺にはそれしか心当たりが無いんだぜ?……ってサヤ?」
「………………」
返事が無く虚ろな目になっている佐夜。だたの屍のようだ(定番)。
「「イングヘンタイ!!」」
「勘弁してくれ~!」
「……本当にこいつら、仲良いな」「ホントだね」
食堂でギャーギャー騒ぐイング達にエイルとアイスナーが羨ましそうに言った。
「おいおいマジかぁ…………」
「さすがイング。引きが悪い………」
タックとマナの表情が引きつった。それもそうだろう。
お昼が終わり、午後の抽選会にて早速リーダー達のくじ引きが行われたのだが、またもやイングがやらかした。
イングが引いた番号は2番。そして1・3・4番が全部上位チームで固まってしまったのだ。特に1番と3番を引いたのはシード組で校内ランク2位と4位の強者だ。流石イングついてない。
「いや、他のチームのみんなもここまで残った強者だ。どっちにしろ結果は同じだと思うぞ?」
「そうだね。何番引こうとアタシ達のやる事に変わりはないよ」
「「だね!」」
そんな二人とは対照的に佐夜、ニケと双子はやる気に満ちているようだ。
そんなこんなで次の相手は上位シードの【ビース】。犬の獣人【ガル】と錬成師の【サラ・ウィンドーラ】の二人だ。ガルはニケのライバル的な存在らしく(ガルの一方的な敵意)、サラは錬成師としては佐夜の何倍もの実力を秘めているらしい(アイスナー談)。
「上位チームとはいえ2人だけなので何とかなる……か?」
「逆だろうタック。『2人しかいない』んじゃなく、『2人だけで十分』なんだろ。それで上位にいるって事は、相当な実力と見ていいだろ」
「「「そんなチームに勝てるかな?」」
「大丈夫さ。アタシがあの犬ッころを相手してやるから。あんた達はもう一人の方に集中しな」
タック、イング、ノン、ロロが渋い顔をしているとニケが自分がガルの相手をすると言い出した。
「ニケ。大丈夫なのか。相手は上位ランカーだぞ?」
「せめてイングも一緒に戦わせたらどう……?」
「いや駄目。あの犬ッころの場合、複数人で戦う方が逆に危ない。だからあいつの目をアタシ一人に向けさせる必要があるのさ」
「逆に危ない?………もしかして【獣化】?」
「ビースト?あいつは元々獣人じゃないの?」
マナの言う【獣化】に佐夜が首を捻る。
【獣化】とは亜人・獣人が習得できる上位スキルで、発動すると、まさに獣のごとく、本能で戦う事が出来る。
ニケが言っているのは、おそらく自分に攻撃対象を指していないとガルが他の6人に牙を向けた時、一瞬で全員戦闘不能に陥る可能性を危惧していたのだ。ゆえにある程度亜人・獣人の事が解っているニケが自分からガルと戦うと申し出たのだ。
「じゃあ俺達はサラ一人に集中すればいいのか」
「……つってもさ。あいつも結構ヤバイ相手だよなー」
「え?そうなん?」
「誰も近寄らせない絶対防壁で有名………」
「遠距離魔法は勿論壁に遮られて」「近距離で近づくと錬成術でカウンター……」
「「まさに鉄壁!!」」
「そ、そうか………」
何でこんな時にこの双子はこんなにテンションアゲアゲなのだろうか?
「両チームとも、準備はよろしいですか?」
「はい」
「おうよ」
と、審判が確認し、イング、ガルが返答し、
「では、開始!」
準々決勝が始まった。
というわけで、次に続きます。
まだヴァン達が登場するのは4ヵ月先の話です。




