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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第8章《ツインレイと言う魂の存在》
8/18

そして同じ人に恋をする8

僕なら他の男の話しは聞きたくないけれど、ツインソウルは、巡り合うと、お互いに今までの事を確かめ合うと言う。


僕が聞きたくないと言い切れるのは、彼女は、過去に恋をした事が無いとわかっているからか…?


「送って行くよ」


「そうして欲しいけど、父に見つかると大変だから…」


「じゃあ、途中まで」


「ありがとう」


彼女の家は、幼稚園からそう遠くない所に有る。


帰り道、ためらいがちにそっと腕を組んできた。


こうしてどこか触れていると、安心するらしい。


僕は、腕を解いて手を繋いでみた。


彼女は少し驚いたように顔を見てから恥ずかしそうに微笑んだ。


幼稚園の前まで送って家に帰った。


お互い離れるのが嫌だった。


今度はいつ会えるんだろう?


僕も、いつの間にかそんなふうに考えるようになっていた。


彼女のお父さんは、どうしても自分の決めた相手と結婚して欲しいようだ。


結婚…僕は今まで結婚について考えていなかったけれど、彼女が他の男と結婚するなんて、耐えられるだろうか?


じゃあ僕が彼女と結婚すれば良いと、普通なら考えるかも知れないけれど、そうすんなり行かないのがツインソウルなんだ。


2人だけでデートしたのだって、今日が初めてのようなものだし、まだそこまで考えられない。


2人には、どんな課題が用意されているのだろう?


どんな学びをするのだろう?


守護天使が同じなのも、何か意味が有るのかな?


まあ、そのおかげで知り合えたんだけど…


守護天使の導きなのか?



「嫌です!結婚したくありません」


「まだそんな事を言っているのか!高見沢君が気に入らんのなら、他にいくらでも居る。さっさと結婚してボルドーに行きなさい。」


嫌…洸貴さん、助けて…


ゆりさんからメールが来た。


毎日のようにお父さんから結婚するようにと言われているらしい。


僕たちは向き合うと決めたけれど、まだ歩き始めたばかりで結婚を考える段階ではない。


彼女は恋も初めてだし、僕も本当の恋なんてまだわからなくて…


「お兄ちゃん付き合った人は沢山居るのにね~」


「女性に対する苦手意識が取れないんだ」


「皆んな向こうからだもんね。ゆりちゃんだけよね?何と無くでもお互い惹かれ合って始まったの」


「そう…だな」


【美貴のサロン】


「始めるわよ」


「うん」


僕はまたヒプノをされている…


「その人ってシスターマリアね」


「ツイン…レイ…」


僕は前世を見せられていた。


「はい、ティッシュ…それにしても今回の泣き方は異常ね」


「うるさいぞ」


「ツインレイの涙は異常だわ…」


「……」


「マリアさんがツインレイで、ローラさんがツインソウル?ジャックって、同じ時代同じ場所でこんなに深い縁の魂と一度に出会っていたのね…これは珍しい事だと思うわ」


「……」


僕は言葉を失っていた。


前世でもツインレイと巡り合っていたんだ…その魂は、あのマリアさん…


「今生は居ないわよね?居たら大変な事になるわよ」


「居ないと…思う…」


「まあ、そうそう続けて一緒に転生しないからね…でもこれでわかったわ。お兄ちゃんが恋愛に躊躇するわけが」


前世の学びはあまりに過酷だった。


ツインレイと巡り合ったけれど、相手には夫と子供が居た。


強く惹かれ合ったけれど、拒絶され、離れて居る事を選択したんだ。


僕の魂は、この前世の学びでボロボロになった。


その相手が中世ヨーロッパのシスターマリア…そして、その時一緒だったシスターローラが、今生のゆりさん…


「お兄ちゃん」


「……」


「前世の経験が恋愛のブロックになってたのね。ツインソウルも、どちらか、もしくは両方とも結婚してたり、恋人が居たりする事が多いの。今生の2人はフリーの状態で巡り合ったのよ。どんな課題が有るのかわからないけど、幸せになってほしいのよ」


今まで巡り合った人の中にレイは居ない…これから会うのか?


いや、今生は居ると感じられない…けれど…レイ…宇宙のどこかに居るのか…



誰にでも12人のツインソウル双子の魂が居る。そして、1人のツインレイ魂の片割れが居る。


同じ時に転生しているとは限らないけれど、ゆりさんにもレイが居るんだ…


彼女にもレイが居る…そう考えると切なくなった。


「何考えてるの?お兄ちゃん」


「うん…ゆりさんのツインレイって…」


「長い間巡り合ってないみたい。ツインソウルだって巡り合うのが大変だけど、ツインレイは尚更よ。お兄ちゃんとレイだって、前世の前は、あの中世と5千年位前でしょ?」


同じ時代に転生していたとしても、魂が成長していないと、擦れ違うとも、近くに居ても気づかないとも言う。


「お兄ちゃん?まさか!前世みたいに心を閉ざしたりしないわよね?今生の相手はゆりちゃんなんだからね!」


「……」


「愛する事を恐れないで」


そうだ、今生の僕は前世の僕とも違うし、ジャックでもない。


僕は神緒洸貴。


幼い頃両親を亡くし、妹と一緒に祖母に育てられた。


そして祖母が亡くなり、今は美貴と2人で暮らしている。


これが今生の僕だ。


「魂は、愛を学びカルマの浄化の為転生を繰り返すと言われているの」


「ゆりさんは、僕が初めての相手なのに、僕は過去に色々有り過ぎた」


「まあね…色々な人と学んで、ツインソウルと巡り合えたのね」


「そんな自分が嫌になるよ…」


「普通の女性なら、お兄ちゃんと会う前に恋人の1人や2人居たでしょうけどね。絶妙なタイミングよね…ま、天のシナリオがそうなってたのよ」


「ツインソウルと巡り合うなら、他の人と何も無い方が良かったよ」


「そうはいかないのがツインソウル、って言ったでしょ。皆んなそれで苦悩するのよ」



皆さんごきげんよう、神緒美貴です。


神緒洸貴の妹で、霊が見えたり、天使や精霊と話したりします。


ここからは、私がお話ししますね。


「早く来て」


「お、おう」


「拓真君大丈夫?」


「だ、大丈夫…交際は認めてくれてるしな」


そうなのよ!


あのお兄ちゃんが、拓真ならって、交際を認めてくれて…


まあ最初話した時は大変だったけどね~


こんな感じ…


「だから、拓真君と付き合ってみようかなー、って」


「拓真お前!!」


「は、離せよ。まだ交際を申し込んだだけだよ」


拓真君とお兄ちゃんは、高校時代の同級生で、その頃から私の事を意識してくれてたんですって。


それで最初は、お兄ちゃんと麗華さんの事で振り回されてる彼の話しを聞いてたりするうちに、何と無く意気投合した感じよね…


そして、いきなり「俺と付き合って下さい」って言われて…


それにしても、よくこのお兄ちゃんが交際を許してくれたものだわ…


で、今日の話しは…大丈夫かしら?本当に…?


「何だよ2人揃って」


「け、けっ」


「毛?」


「拓真君大丈夫?私が話そうか?」


「だ、大丈夫…み、美貴ちゃんと結婚させてくれ」


「はあ?誰と?」


「美貴ちゃんと」


「誰が?」


「お、俺が」


「美貴…ちゃん?」


お兄ちゃんは、頭の中が真っ白になったみたいで、しばらく黙ってたの。


そして…


「俺…葛城拓真は、美貴さんとの結婚をお許し頂きたく…」


「美貴…モーツァルト」


「え?」


「ピアノソナタ」


「何よ?こんな時に…」


お兄ちゃんて、いつもストレスが溜まったり、頭の中の整理がつかないとき、私のピアノを聞きたがるのよね。


次の日から会社で顔を合わす2人、気まずくないかしら?


そんな事を思いながらピアノを弾いていたんだけど、後日「妹を頼むな」って言ってくれたらしいの。


「いやいや、最初は大変だったんだぞ「何でお前なんかに」って…まあ、あいつは誰を連れて来ても許さないと思ってたけどな」


「花嫁の父…お父さんの代わりだったから」


「だけど、俺が真剣なのをわかってくれて「大事な妹を、他の奴に取られるより良い」って、言ってくれたんだ」


私達はこんな感じで上手くいってるんだけど、お兄ちゃん達はね…



ゆりちゃんは、お兄ちゃんのツインレイの事を知ってから、様子がおかしいのよ。


「宇宙でたった一つの魂?」


「そう、一つの魂が二つに割れた物だと言われているの」


「それが、中世のマリアさん?」


「うん。前世にも会ってる人」


「えっ?」


ゆりちゃんは、驚いたようにそう言うと、しばらく黙っていたの。


そして…


「…その人とは?」


「宗教にのめり込んでいる人で、お兄ちゃんとの宗教の違いも障害になってたんだけど、夫と子供が居て夫婦で宗教活動をしてたの」


「……」


「それで諦めたのよ。「この魂は、何度転生しても同じ魂を愛する事を誓う」って言って、その人の前から姿を消したみたいね」


「何度…転生しても…」


「それより前の過去生は、三角関係ばっかりだけどね~」


「……」


「でも、今生は一緒じゃないみたいだから…そうそう巡り合える魂じゃないもの」


「……」


この話しをして数日後、ゆりちゃんはお父様とフランスに行ったのでした。


あんなに嫌がってたのにね~


ああ、どうなっちゃうのかしら?このツインソウル。


ツインソウルには試練が付き物って言うけど、それにしても…


「お兄ちゃん」


「うん?」


「ゆりちゃん言ってたわよ、まだ一度も愛の言葉を言って貰った事無い、って」


「そんなに簡単に言えるものじゃない…」


「良く言うわよ。今まで付き合った人には、良くそれだけ湧いて出るわね?って呆れるぐらい恥ずかしいセリフ言ってたじゃない」


「今までの人とは違うから、いい加減な事は言えないだろ」


「いい加減て…本気で向き合うって言ったのはお兄ちゃんよ」


「わかってる」


「お兄ちゃんの魂は、どこを見てるの?」


「……」


「マリアさんはこの時代に居ないの、いつまでも過去世を引きずって苦しまなくても良いのよ」


「守ってやれなかった…僕が先に死んじゃだめなんだ…」


「お兄ちゃん…今は中世じゃないの。お兄ちゃんはジャックじゃないのよ。今この時を、ちゃんと生きて」



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