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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第7章《離されて》
7/18

そして同じ人に恋をする7

ツインソウルは、巡り合うと、相手の今までの事を全て知りたがる。


ツインレイは、何と無く相手の今までの事がわかってしまう。


わかると言うより、感じるのかも知れない。


その夜ゆりさんは、僕と麗華の事を聞いて、かなり泣いたらしい。


僕は、もっとちゃんと彼女と向き合わなければ…


「ゆりちゃんのお父さんね、顔を 見ると早く結婚しなさい、って言うんだって。結婚したら、ボルドーに行っちゃうのかな?」


「ホテルを継ぐんだろ?僕なら、婿養子は嫌だけどな」


「高見沢さん、て言う人と結婚させたがってるらしいのよ」


あのホテルのラウンジで会った人か…


「あ、メール…ゆりちゃんから…助けて?」


「助けてだって?」


「お兄ちゃん、早く車出して!わけは後で説明するから」


「わかった」


美貴に言われるまま車に乗り込んだけど、助けて、ってどういう事だ?


美貴は、彼女とメールのやり取りをしている。


「急いで空港に向かって」


ゆりさんは、父親の決めた相手、高見沢さんと、フランスに向かうらしい。


と、言うより、無理矢理連れて行かれるようだ。


結婚の準備や、ホテルの視察やらで、ボルドーに行くとの事だ。


空港に着いた。


「パリ行き、パリ行きは?」


カウンターに走る。


「嘘ぉ…飛んじゃったの?!」


間に合わなかった…ドラマじゃないんだから、そう上手く行くものじゃないよな…


結婚…するのか?


何だろう…この気持ちは…?


嫌…なのか?



帰りの車の中、僕達は家に帰るまで黙っていた。


あれからゆりさんの話題には触れなくなっていた。


何と無く…ただ何と無く話したくなかった。


僕は、いつも通りあの幼稚園の前を通って出社している。


時々将君が声をかけてくれるけれど、ゆりさんは居ない。


結婚してフランスに行くなら、幼稚園も辞めてしまうんだな。


そんな事を考えながら、会社に向かった。


麗華が時々会社に来る。


相変わらず強引に誘って来るけど、彼女の事は拓真に頼んで、僕は真っ直ぐ家に帰っている。


麗華とは、そんなに深い縁の魂じゃないようだ。


ヒプノをしても、彼女と一緒の過去世を見る事はない。


「お兄ちゃん、瞑想しょう」


「ああ、今行く」


これで良いのか?


良いも何も、ゆりさんの幸せを祈るしかないよ。


本当にそれが彼女の幸せなのか?


ご両親に祝福されて結婚するなら…


いや、本人の意志は?


本人の意志…


いけない…瞑想中に、どうしてもゆりさんの事を考えてしまう。


過去も未来も存在しない。


僕が居るのは今なんだ。


今この瞬間は瞑想中。


他の事は考えるな。


過去の事を思い出して後悔したり、未来を思い悩んだ時、僕はいつも心の中でこう言って、意識を今に戻す。


ラクシュミさんが言うんだ。


「過ぎた事をクヨクヨしたり、未来のまだ起こってもいない事を不安に思ってもつまらないでしょ」って。



今日は日曜日。


午前中に残っていた仕事を片付けてしまったし、午後はゆっくりしよう。


「お兄ちゃん、今日何食べたい?」


「うーん…和食」


「じゃあ、荷物持ちお願い。一緒にお買い物行こう」


玄関のチャイムが鳴った。


「お兄ちゃん、出て」


玄関のドアを開けると、いきなり僕の腕の中に飛び込んで来た。


ゆりさん?


「もう、離れているのは嫌」


「どうしたの?ボルドーに居たんじゃないの?」


「帰って来ちゃったの」


「…大丈夫?」


「そばに居たいの、離れたくないの」


離れたくない…それは彼女の魂の声だ。


「お兄ちゃん行こう…ゆりちゃん!お兄ちゃん早く中に」


「ああ」


空港から真っ直ぐ来たようだ。


心身共に憔悴しきっている。


フランスでは、結婚の準備が進められていて、ボルドーのホテルの視察やら何やらで、忙しく連れ回されたようだ。


お母さんに僕の事を話したら、お父さんに内緒で帰してくれたらしい。


僕の事…どんなふうに話したんだろう?


ツインソウルだなんて言っても、理解してもらえるかわからないし…


「好きな人が居るって…言ったの…だから、高見沢さんとは結婚出来ない、って…」


好きな…人…


「お兄ちゃん」


「僕たち、ちゃんと向き合わないといけないね」


ゆりさんは、少し驚いたようで、それから…


「ちゃんと向き合う?」


「うん」


「そばに…居ても良いのね?」


「君がそうしたいならね」


彼女の瞳から大粒の涙がこぼれた。


やっと、少し落ち着いたようで、美貴の部屋で眠っていた。


と、言うより、美貴が眠らせたんだけどね。


ずっと寝ていなかったようだ。


しばらく休ませてあげよう。



魂は、愛を学ぶ為に転生していると言う。


それは、男女の愛に限らず、慈愛など様々な愛。


悪く思えるような事も全て愛。


学び…


嫌な人も、学ばせてくれているから、それも愛。


悪く思える出来事も、意地悪な人も、魂の成長の為に必要な学びなんだ。


麗華との事も僕の学びだった。


もう、優柔不断な態度はいけない。


ちゃんと学んで終わったはずだった。


なのに、今頃になって現れるなんて…


昼休み、いつものように公園でランチ。


今日は、天気が良い。


しばらくすると、子供達の賑やかな声がする。


「おじちゃん!」


将君だ。


幼稚園の散歩で来たようだ。


子供10人ぐらいとゆりさんと他の保育士さん2人。


「一緒に遊ぼうよ」


将君が僕の所へ走って来た。


「将君、おじちゃんお仕事に戻るのよ」


「ちょっとだけ、良いでしょ」


「洸貴って、本当に子供好きよね」


「麗華」


「えっ?」


ゆりさんが驚いている。


「すぐ子供に懐かれるのよ。パリでもそうだったわよね」


「おばちゃん誰?」


「おばちゃんは、このおじちゃんのガールフレンド」


「違うもん。おじちゃんのガールフレンドは、美咲先生だもん」


「へー、この人が美咲ゆりさん?私、洸貴と寄りを戻す事にしたから」


「勝手な事言うなよ」


「拓真君が今日は会社に戻らなくても大丈夫だ、って言ってたから、これからデートしましょう」


どうせ麗華が、拓真に無理言ったに決まっている。


僕がここに居る事だって、拓真にしつこく言って聞き出したに違い無い。


「麗華。君とはもうとっくに終わっている」


「だから、やり直すって、言ってるでしょう」



「あの、私…今は私が洸貴さんとお付き合いしてるんです」


ゆり…さん?


あの大人しいゆりさんが、こんな事言うなんて…


お付き合い…ちゃんと向き合うという事は、そういう事になる。


「ふーん…まあ、良いわ。私諦めないから。あんたより私のほうが洸貴の事わかってるんだからね」


「ええ、そうでしょうね、一緒に暮らしていたんですものね。私はこれからゆっくり彼の事を知れば良いんです」


「やれやれ、麗華のおかげで、午後から時間が空いてしまった。幼稚園終わるまで、どこかで待ってるよ」


「えっ?あ…はい」


「ちょっと、どういう事よ。拓真君に頼んで時間空けてもらったのは、この私よ」


何とか麗華を帰した。


僕は、幼稚園が終わるまで、美貴が良く行く甘味屋さんで待つ事にした。


店に着いてから、気にしてるだろうと思って「麗華は居ないよ。一人で待ってる」と、メールした。


「初めてのメールね、嬉しい。ありがとう(^ ^)もう少し待っていてね」

と、返信が来た。


これが2人だけの初めてのデートになるのかな?


僕はまだ彼女を妹と同じように思っている所が有るけど…


「ごめんなさい、お待たせして…こういう所にも来るのね」


「美貴に連れて来られるからな」


「そうなのね。こういう所で男の人が待つのって、恥ずかしいんじゃないかしら、って思ってたの」


「慣れてる」


彼女も僕と同じ、抹茶ケーキセットを頼んだ。


何だか嬉しそうだ。


彼女は、麗華の話しには触れなかった。


だいたいは、美貴から聞いてわかっているからか…


それとも聞きたくないのか…



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