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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第5章《2人だけの夜》
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そして同じ人に恋をする5

「ほらほら、薔薇の回りにたくさん居る…お兄ちゃんにも見えれば良いのにね」


「どうして洸貴さんについているのかしら?」


「女の人に薔薇を贈る事が多いので…変わった種類や色を好むのも気になった、って言ってる」


「ふーん…女の人に薔薇を贈る事が多いのね」


「そうなのよ。花束持って歩くの恥ずかしい、とか言いながらね」


「だって花って無難だと思うんだ、別に特別な意味はないよ」


「そうかしらね、とりあえず付き合ってた人には、みんな贈ったんじゃない?」


「そうなの?」


「そうかも…」


「何だかちょっと…嫌な気持ち?ううん、違う…私…焼いてるのかしら?」


「うん?」


僕には良く聞こえなかった。


「ゆりちゃんて、今まで人を好きになった事って無かったの?」


「素敵だな、と思う人は居たわよ。でも、ただそれだけで…」


「初恋とかは?」


「これ、って言える物が無いのよね」


何だか気になる話しを…やっぱり、僕は彼女の事が…?


好意を持っているのは事実だけれど…


そして、家に帰ると、美貴はこう言った。


「お兄ちゃん、ゆりちゃんのエネルギーを感じる事ない?」


「え?、感じないよ。エネルギーとかって、感じた事無いよな」


「もう、鈍感!」


2人はこんな会話をしていたらしい。


僕は、全然知らなかったけれど…


「最近ね…時々、洸貴さんに優しく抱き締められてるような感じがする時があるの。何だか恥ずかしいわ」


「お兄ちゃんのエネルギーよ、それ」


「あの、ホテルのラウンジの帰り道…あの時から時々そんな事が有って…」



最近美貴と一緒に瞑想させられているんだ。


「お兄ちゃんのハートチャクラは閉じてるのよ。私が開いてあげるからね」


僕のオーラの色は、グリーンらしい。


オーラと同じ色なのに、どうしてハートチャクラが閉じているんだろう?


「七つのチャクラ全部開いて、ちゃんと回ってる」


良くわからないけど、何で美貴には見えるんだ?


僕もオーラくらいは、見えるようになりたいなぁ…


でも、何だか気持ちが良い。


僕とゆりさんは、千年に一度くらいのペースで巡り合っていたようだけど、ここへ来て間隔が短くなっている。


ツインソウルは、そう簡単に巡り合えないと聞いているけど、2012年からアセンションに入ったせいらしい。


たくさん学んで、40代くらいになってから巡り合う事が多かったけれど、アセンションで、若いツインソウルが巡り合わされている。


「そうなのよね、中年になってから巡り合う事が多かったから、どちらかが結婚してたり、恋人が居たり、何かと障害が多いのよ」


相手がなかなか受け入れてくれなかったり、上手くいってたかと思えば心を閉ざしてしまったり、大変な学びなんだそうだ。


とは言っても、恋は恋。


縁の深い魂と言うだけで、普通の恋とそう変わらないんじゃないかなあ?


ツインソウルじゃなくたって、普通に恋愛して、結婚して、一生幸せに暮らす人だって居るんだし。


ただ……


強烈に惹かれ合いながら、恋愛関係にならないツインソウルも居る…


大切だから…普通では理解出来ないほどに大切だから、そばに居るだけで良い…そんなツインソウルも居るんだ。



今日から美貴は、京都に行っている。


帰りにコンビニで弁当でも買って帰るしかないか…


あんなもん一個食べたって足りないよなぁ。


冷蔵庫の中に何か買っておいてくれてるとは思うけど、とりあえず、弁当二つと明日の朝のパンと、ビールを買って帰ろう。


家に帰って鍵を開けると、部屋に灯りが付いている。


玄関には女物の靴。


あれ?今日から京都って言ってたよな…?


ま、良いか。


弁当より美貴の料理の方が美味いし。


「お腹すいた」


「お帰りなさい。フフフ、本当にただいまより先に、お腹すいた、なのね」


「えっ?!」


「美貴ちゃんに頼まれたの。留守の間にお邪魔するのは、ちょっとって思ったんだけど…」


「そうなのか…でも、良かったの?美貴が無理言ったんじゃない?」


「いいえ、そんな事ないのよ。お料理好きだし…美貴ちゃんね、お兄ちゃんのハートは、胃袋に繋がってるのよ、なんて言ってたわ」


「確かにそうかも…肉じゃがに、金目の煮付けに、きんぴらに、味噌汁….インゲンの胡麻和えも有る….こういうのも作るんだね」


「家庭料理も作るわ。和食も好きだ、って聞いてたの」


「僕の好きな物ばっかり。メニューも美貴が?」


「いいえ、実は、私も好きなの。同じ物が好きなのね」


彼女がコンビニの袋に目をやった。


「電話すれば良かったわね。携帯番号美貴ちゃんから聞いてたのに….」



ビールを買って来たけど、日本酒にしたんだ。


吟醸酒の美味しいのがあったからね。


CDを取り替えた。


食事の時は、モーツァルトが良い。


モーツァルトのセレナード…和食なのにおかしいか?


「お酒呑めるようになったの、最近なの。まだほんの少しだけね」


「フランスに居たのに、修道院じゃワインも呑めないよな」


「礼拝の時に、少しだけ頂くぐらいね」


ああ、一切れのパンとワインね。


「安いワインでも、美味しいの有るよな」


懐かしいフランスの話しをしながら食事をした。


同じ所に行ってるんだよな…


もしかしたら擦れ違っていたかも、という気になってきた…


まさかね。


「ごちそうさま。凄く美味しかった」


「そう?良かった」


後片付けだ。


「手伝うよ」


「良いわよ」


「美貴にも、邪魔になるから良いって言われるんだけど、時々手伝ってるんだ」


「じゃあ、お願いして良い?」


彼女が洗った食器を僕が拭いて、一緒にしまった。


「何だかこういうの、良いわね」


雨が降り出した。


「もう遅いから、失礼するわ」


玄関を開けると、凄い雨だ。


風も強い…稲光、雷だ。


「ああっ」


ゆりさんが、しがみついてきた。


これじゃ帰れそうにない。


もう少し待ってみる事にした。


雨は激しくなるばかりだ。


雷も鳴っている。


ソファーに座っても、彼女は僕の腕を放さない。



今まで忘れていたけど、この家に2人だけだ…


そう思うと、少しドキッとした。


まあ、そんなロマンチックな状況じゃないか。


雷が鳴るたびに、彼女は僕にしがみついてくる。


雨は止みそうにない。


こんなに近くに居ると、彼女の心臓の鼓動まで伝わって来る。


髪の香り?


良い匂いがする。


先に口を開いたのは、彼女だった。


「良い香り」


「えっ?」


一瞬、今僕が考えていた事がわかったのかと思って、ヒャッとした。


「オードトワレ?何付けてるの?」


「ああ、エルメスのエキパージュ」


「貴方にとても良く合ってる」


じっと顔を見ていると、2人が入れ替わるような変な感覚になったりする。


鏡を見ているようだ。


ツインソウル…


そう言えば、この前風邪をひいた時、彼女も一緒にひいてたっけ。


別にうつしたわけじゃないんだけどね。


双子の魂だから、そういう事は良く有るんだそうだ。


って、近いよ。


じっと見つめ合ってしまった…


どうするんだよ…


ピカッ、ゴロゴロ、ドッカーン!また雷だ。


彼女は、怖がって僕の腕にしがみついた。


やれやれ…


普通の男女なら、Kissでもしそうな雰囲気だけど…


本当に不思議だ、妹みたいな感じだけど、美貴とは違う…


美貴は、とっても大切な妹だけど、ゆりさんもいつの間にか大切な存在になっていた。



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