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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第4章《ツインソウル?》
4/18

そして同じ人に恋をする4

今日は美貴にサロンに来るようにと言われているんだ。

何か嫌な予感がするけど…ま、まあ気のせいか…


僕は、いつもの店でシュークリームを買って、サロンに向かった。


「今日のお土産は、何?」


なんて言いながら、ちょっと怖いぞ。


逃げないようにしっかり捕まえられて、セッションルームに入れられた。


「やるのか?」


「やるのよ」


美貴は、 ティシュの箱を用意している。


嫌な予感的中だ。


「ゆりちゃんが今まで見た過去世の相手が、本当にお兄ちゃんなのか確かめて、自分で納得したほうが良いのよ」


別に2人の話しを信じてなかったわけじゃないけど、こうやって自分で見てみると、本当にいつも…何千年も前から一緒に転生してたんだな…


「今日も泣いた…過去世の僕を今の僕が見ている感じなんだけど、感情移入するから泣けて来るのかな?」


「客観的に見ていたり、自分が過去世の自分になった気になったりしない?」


「する」


「イタリア時代は、浮気じゃなかったんだね」


「そんなにいつも、浮気ばっかりするか」


「だって、平安時代も、中世ヨーロッパも、江戸時代だって浮気したじゃない。お兄ちゃんのせいで私まで男性不信になりそうだわ」


「僕のせいで、って、過去世の僕だろ」


ま、まあ、江戸時代は酷いよな…


町方同心だった僕は、ゆりさんと夫婦だったんだけど、町娘との不義密通の罪で流刑になったんだ。


それでも妻は、許されて帰るのを待っていてくれたんだけど、僕が配流先で死んだので仏門に入ったんだよな。



イタリア時代の僕は、チェリストで、ゆりさんは、師匠の娘でピアニストだったんだ。


2人は夫婦で、僕達はデュオもしていたけれど、僕は他のピアニストと共演する事も多かった。


ある時、僕が共演者と浮気していると噂になったんだ。


そして妻は、本当に浮気したと思い込んでいしまった。


それから2人はずっと気持ちがすれ違ったままだった。


「ゆりちゃんに言っておかないとね」


「別に今生では何でも無いんだから、過去世の言い訳しなくたって」


「過去世のお兄ちゃんのせいで恋をするのが怖いのよ。だからちゃんと言ってあげないと」


「ブロックか」


「そう、ブロック…でも本当に何でも無いの?」


「気にはなるけど、今は妹が2人になった感じかな」


「んん、もう、本当じれったいんだから!まあ、お兄ちゃんのブロックも取っといたから、少しは変わるでしょう」


そう、ヒプノって、ただ過去世を見るだけの物じゃないんだ。


ブロックを取るのも大事な仕事って、美貴はいつも言っている。


「ゆりさんの声は好きだよ。最初に声を聞いた時、懐かしいような感じがしたな…誰か知ってる人の声に似てるのかな?って思ったりもしたんだけど、誰だかわからないし」


「きっと魂が覚えていたのね。でも、前の彼女の声はそうでもなかったでしょ?」


「うん…特には…」


「今日、前の彼女の過去世見た事は、ゆりちゃんには内緒にしといてあげるから」


「別に…」


「言っても良いの?」


「…」


「やめといたほうが良いと思うけど…お兄ちゃんは、正直過ぎるから困るわ」



そして、彼女と魂の再開をしてから、三度目のヒプノセラピーを受けさせられた。


もう、泣くから嫌だなんて言っても逃げられない。


今日は、ハイアーセルフと繋がった。


「本当によく泣くなと思ってたけど、やっぱりツインソウルだったのね。ヒプノすると泣く人は多いけど、お兄ちゃん普段は全然泣かないものね」


「当たり前だ」


僕も何故こんなに泣くのだろうと思っていた。


ヒプノをすると、他の人との過去世も見るけれど、大泣きするのはゆりさんの所ばかりだ。


「ツインソウルの涙って、どんなに我慢しても勝手に溢れてしまうのよね。オーラの中の潜在意識で覚えていて、どうして今まで会えなかったのか、って魂が泣くの」


初めて会ったのに懐かしい感じがしたのはツインソウルだからか…だとしたら、この先ヒプノしてなくても泣く事になりそうだ。


ブロックが取れて2人の距離がもっと近くなったら…


わけもわからず涙が溢れる。


それがツインソウル


やっと巡り合えた…僕の魂の声がそう言っていた。


「お兄ちゃん達が過去世でちゃんと学べていたら、それほど障害は無いかも知れないけど…まあ、ツインソウルと言っても、人それぞれだから」


ツインソウルだからと言って、必ず結ばれるとは限らない。


お互い深く相手を思いながら、離れて居るツインソウルも居る。


僕たちは、今生ではどうなって行くのか…


ハイアーセルフは、2人は、ツインソウル。


どの道を選ぶのかは自由と言っていた。


今はまだ妹のような感じだけれど…


恋愛感情の無いツインソウルは居無いらしい。


美貴と僕はツインメイト。



「お兄ちゃん、早く起きて」


「うん?何で?今日休みだろ?」


「そう、お休みよ。だからデートなの」


デート?いつの間に恋人出来たんだ?って、ええっ?!


僕は、一気に目が覚めてガバッと起き上がった。


「デートって?誰と?どんな奴だ?」


「これだから私、恋人出来ないのよね」


「???」


「お兄ちゃんと、ゆりちゃんのデートよ」


「そんな約束してないぞ」


「私がしたの」


「勝手に」


「つべこべ言わないで、早く顔洗って」


で…ここは、ローズガーデン。


【ローズガーデン】


「綺麗ね…あんまり開いてないほうが好きだわ…良い香り」


「嬉しそうね。ここに来たいって言ったのゆりちゃんだからね」


って、デートなのに美貴もついて来てるし…


まっ、僕もゆりさんも3人で行こう、って、言ったんだけどね。


そして、薔薇の見えるテラスでランチにした。


ゆりさんと美貴の手作り弁当だ。


「これ、美味い」


「さーて、これは誰が作ったのでしょう?」


美貴のヤツ…


食べ慣れた味じゃないから、わかるよ。


「ゆりさん、料理上手いんだね」


「そういう時は、良いお嫁さんになるよ、って言うのよね」


「フランスに居たのに、イタリア料理?」


「洸貴さん、パスタが好きだ、って言ってたから」


「ゆりちゃんがフランスに居たのっていつ?」


「高校卒業してから3年間」


「えっ、待って、お兄ちゃんがパリに留学してた頃じゃない」


あっ、そう言われればそうだった…


南仏に居たのなら、すれ違う事も無かったかも知れないけれど…


「パリにも何度か行ったわ」


「ツインソウルって、同じような過去があって、お互いそうそう、同じ同じ、ってなるの。性格も似てる所が有ったり、食べ物とかの好みが同じだったり…2人とものんびりしてるし、恋愛にブロックが有るのも同じよね」



「それに、手がそっくりなのよね、爪の形とか…本当似てる」


と言って2人の手を見比べている。


「守護天使も同じだしね…あ、マリア様も来てる。お兄ちゃんの右肩女神ラクシュミと一緒に居る」


「まあ、素敵」


「お兄ちゃん、マリア様好きなのよ。だから時々呼んじゃうのよね。女神同士は仲良しだから、自然と集まって来るし、とっても賑やかで華やかになるの」


「私、中世ヨーロッパで、マリア様を信仰してたのよね」


「そうそう、シスターローラだった時ね。ジャックだったお兄ちゃんは、最初はローラさんが好きだったのに、マリアさんとも仲良くなって、2人の間を行ったり来たりしてたのよね」


「でも、言えなかったんだ、好きだって。神に仕える身では、どうにもならないとわかっていたから」


「私も、好きだと言えなくて…ある時、騎士団長のジャックは、私達の修道院が敵に襲撃されたと知って、練兵場から馬で駆け付けてくれたの、そして….」


「そして、シスターマリアを庇って背中から刺されて死んだのよね。マリアさんは、その後敵に襲われて自害したわ」


「せっかく守ったのにな…」


「2人してウルウルしてる」


そんな時代を経験した魂だから、今生の僕は、争いが嫌いなのだろうか?


まあ、争いが好きな人は、あまり居ないだろうけれど、紛争のニュースなどを聞くと、胸が痛むんだ。


そして、もう少し薔薇を見てから帰ろうという事になって、花を見ながら歩いていると…


「ロぜリアさん?」


ロザリアよ、ロザリアと頭の中で声が聞こえた。


「ロザリアさんか」


「来てるわよ。薔薇の妖精の長ロザリアさん」


「まあ、本当!可愛い」


「前からお兄ちゃんについてたんだけど、全然気づいてくれなかった、って言ってる」


「ごめんごめん、だって僕には見えないから…」


僕には見えないけれど、妖精達が集まって来たらしい。


2人は嬉しそうに見ている。



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