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『ツインソウル物語1』“そして同じ人に恋をする”  作者: 大輝
第16章《ツインソウルのシンクロ》
16/18

そして同じ人に恋をする16

[そして…]


[ロンシャン競馬場ですれ違ってから、3年が過ぎていた]


【プロヴァンスの屋敷】


日本へ行くのは嫌…


「お父様が倒れたのよ、一旦日本に帰りましょう」


「お母様一人で帰って」


「そんな事言わないで、こんな時ぐらい顔を見せてあげなさい」


父がまた心筋梗塞で倒れたの。


でも、私は日本に帰るのが怖かった。


もし、彼と会ってしまったら、何て言えば良いの?


会いたいけど…会えない…


声が出るようになってから、時々ボルドーに行っているの。


どうしても出席しなければいけないパーティーの時とか、会議の時やなにかは、行かなくてはいけなくて…


夫婦同伴でなければいけない時も有るの。


夫と会うのは嫌、触れられるのはもっと嫌。


必ず母と一緒に行って、出来るだけ早く帰るようにしているけれど…


ボルドーで過ごす時間は、地獄だわ。



「ゆり、早く支度をしなさい」


「どうしても、行かないといいけない?」


「お父様も、もう、そう若くはないのよ。そんな事言ってたら、後悔するわよ」


そうだった…


父は、もう60を過ぎていたんだわ。


でも…


「昭信さんも同行するなら、行きません」


「昭信さんは、ボルドーを離れられないようよ」


私は、母と一緒に日本へ行く事にしたわ。


あれから一度も帰っていなかった…


9年…もうそんなに長い間日本を離れていたのね…


9年も…あの人と会っていないの…


【洸貴の会社】


拓真の携帯が鳴った…


「はい…えー?俺は無理だよ。今日は遅くなる」


美貴からのようだ。


「迎えに行けないよ」


「美優のお迎えか?僕が行っても良いよ」


「ちょと、待った。洸貴が行ってくれるって。俺は遅くなるからな」


そして、僕は、いつもより10分早く会社を出て駅に向かった。


あの幼稚園の前を通って駅に向かう。


もう、ここにゆりさんは居ない。


知ってる子供も居なくなった。


暫くの間ここを通るが嫌だったけれど、今は平気になったな。


平気…なのかな?


まっ、今はそんな事は言ってられない。


この道が一番近いんだ。


僕は、駅から電車に乗り、美優の待つ幼稚園へと急いだ。



[その頃あの幼稚園の前を、ゆりを乗せた車が通りかかる]


変わってないわね…良くここまで送ってもらっていたわ。


やっぱり…涙が…溢れそうになる…


この街は、彼との思い出が多過ぎるわ…


父の病院へ行ってみると、幸い大した事がなくて、思ったより元気にしていたの。


[そして3日後…]


父は心配無いようなので、母と私は、今日プロヴァンスに帰る事にしたのよ。


【洸貴の会社の近く】


今日は、美貴達の買い物に付き合わされているんだ。


美優の服を買うらしい。


6才になった美優は、オシャレにうるさくなってきた。


女の子の買い物は、時間がかかるんだよな。


僕はどうせ荷物持ちだし、外で待つ事にした。


ここは、大人の女性の服と子供服が有る。


こういう店は、どうも苦手だな。


【通りの向こう】


[少し離れた所から、黒塗りの車が来る]


【車の中】


あれは…あそこで車に寄りかかっているのは…


洸貴さんだわ。


横顔でも間違うはずないもの。


「止めて」


洸貴さんの背中…こっちを向いたらどうしよう。


私に気づいたら…


ドキドキする…


ツインソウルのシンクロ…


どうしてもこうやって会ってしまうものなのね…


あっ、彼がこっちを向いた…


えっ?赤ちゃん?


[洸貴は、1才になるかならないかの赤ちゃんを抱いていた]



涙が…溢れてくる…


結婚…したのね。


[通りの向こう、車のわきで赤ん坊を抱いている洸貴が見える]


「出してください」


「宜しいのですか?」


「お願い…早く」


[車が動き出す]


【通りの向こう】


[洸貴は、何と無く動く車に目をやる]


「ああ、お兄ちゃんお待たせー」


「美優、気に入ったの有ったか?」


「うん。ママ、おじちゃまのお洋服は?」


「ここは、男の人のは無いのよ」


[ゆりを乗せた車は、空港へと向かっている]


【車の中】


洸貴さんが結婚してた…


お相手の方は…どんな女性なの?


綺麗な人?


それとも、美貴ちゃんみたいな可愛らしい人?


もう、私の事は、忘れてしまったの?


幸せですか?


その人と…


その人は…


ダメ…涙が…溢れて…止まらない…


「ゆり」


「お母様…」


「あの人が、洸貴さんね」


私は、頷くのが精一杯だったの。



【洸貴の車】


「お兄ちゃん、メガネ忘れないで、危ないから」


「ハイハイ」


僕は、普段はメガネをかけないけれど、運転する時だけはかけるので、車の中に置いて有るんだ。


「オギャー、オギャー」


「よちよち、良い子にしてるんだぞ」


「おじちゃまモーツァルトかけて」


「了解」


モーツァルトのシンフォニー40番をかけた。


ワルターさんの指揮だ。


モーツァルトをかけたら、泣き止んだ。


寝ちゃったみたいだね。


【美貴達のマンション】


拓真が帰っていた。


「ああ、ちょっと休ませてー」


「ママ疲れちゃったの?」


「黒豚の良いのが有ったから、俺、とんかつ作るよ」


「お願ーい」


拓真も変わったもんだ。


買い物から料理、洗濯物の片付けまでやるようになった。


「あー、その前にシャワー浴びて来て」


「えー何で?」


「汗臭ーい。側に来ないで」


あんな事言われてる…


変わったのは美貴も同じだな。


うちに居た頃は、僕が少し手伝うって言っても「お兄ちゃんは邪魔になるだけだら」って、家事は全てやってくれていた。


子供が出来ると、変わるものだな。



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