そして同じ人に恋をする14
【2人の部屋】
[ゆりがソファに座っていると高見沢の声]
「ゆり」
やめて…
「ゆり、早く来なさい」
嫌…
[ゆりは耳を塞いだ]
[高見沢が来て、強引にを連れて行く]
「やめて、高見沢さん」
「私はもう高見沢ではない。美咲家の婿養子になったのだから、美咲昭信だ」
「やめて、お願い」
「貴方と呼ぶか、昭信さんと呼びなさい。さあ、早く来るんだ」
[そして強引にベッドに押し倒した]
「嫌、助けて」
「随分待ったよ、この日を」
[必死で抵抗するゆりに、覆い被さる昭信]
「大人しくするんだ」
[昭信がゆりの服を破る。
その瞬間過去世の記憶が蘇る]
その時…
[武器を持った大男と、昭信の姿が重なった]
私…この人にレイプされている…
マリアさんが自害した後、私に襲いかかって来た兵士…
それは、この人…
[我に返って叫ぼうとするが、声が出ない]
助けて、洸貴さん…
誰か助けて…
[ゆりの身体にキスしようとする昭信]
嫌!
嫌あああぁぁ❗️
[声にならない…]
[その時…]
[電話が鳴った]
「誰だ、こんな時に…はい。あ、会長。いえいえ、すぐ伺います」
[電話を切ると震えるゆりに]
「待っていなさい」
[そう言うと服を着て出て行った]
[ゆりは暫くベッドで震えていた]
そうだわ、お母様に…
[鍵をかけて母に電話をした]
もしもし、お母様…
声が…声が出ない…
「もしもし、どなた?」
お母様、助けて、お母様…
「ゆり?ゆりなのね」
[ゆりの母は、察したようで急いで部屋に来た]
[翌日ゆりは病院に入院した]
[数日後退院したゆりは、母親と一緒にプロヴァンスで静養している]
[以前暮らしていたこの地が良いのではないかと、母親の提案だった]
嫌…来ないで…
嫌ああ!
[ゆりは、昭信の過去世の兵士を思い出し震えていた]
[そして、月日が流れて行く…]
【プロヴァンスの家の庭】
[庭には色々な種類のハーブが植えられている]
私は、今でも声が出ないけれど、身体は、どこも悪くないの。
気分の良い日は、ここで、こうしてお花を眺めているのが好き。
ここには妖精が居るのよ。
母が泣くから、なるべく明るく振る舞うようにしているの。
洸貴さんとは、あれから一度も連絡を取っていないの。
だって、もう会えない…
一度だけ…キスされたの…本当に一度だけよ。
結婚式の誓いのキス…あの時の…たった一度だけ…でも…
もう、洸貴さんとは会えない…
[風がゆりの髪を揺らす]
あなたの優しい声が、聞こえた気がした
時を越えて呼び合う魂
離れて居るのに、そばに居るような
そんな不思議な感覚
でも、手を伸ばすと誰も居なくて
会いたくて、会いたくて、会えなくて、切なくて
恋しくて、恋しくて、苦しくて、涙溢れて
ふと気がつくと温かさ感じてる
自分の中にあなたが居る
ツインソウル…時々近くに感じる時が有って…その後とっても切なくなるの…
お願い…少しだけ…泣かせて…
【日本】
あれから暫くの間、お兄ちゃんは抜け殻みたいになってたんだけど、私のお腹に赤ちゃんが居るとわかったら、凄く喜んでくれたの。
今は、明るくなったんだけど…
「ああ、美貴美貴、それは僕が持つから」
「うん、ありがとう」
「あ、危ないからな」
「大丈夫よ。お産は病気じゃないんだから…「動いた方が良い」ってお医者さんにも言われてるし」
「明日検診だろ?車で送って行くからな」
「大丈夫よ、一人で行けるから」
って、こんな感じなの…夫も呆れてるわ。
結局病院まで付いて来て、赤ちゃんの心音聞いてるし…
お兄ちゃんたら、顔が緩みっぱなし。
もう、ゆりちゃんの事は忘れられたのかしら…?
あれから三年だものね。
【病院の玄関】
帰ろうと二人で歩いていると…あら、居ない…
「お兄ちゃん」
振り返ると、ボーっと立ってるし…
お兄ちゃんの視線の先…シスターだわ。
やっぱりまだ忘れられないのかしらね。
【プロヴァンス】
「ゆり、気晴らしに、外に出てみたらどう?」
私は、首を横に振る。
「教会に行ってみれば良いのに」
だって、賛美歌歌えないもの。
母とは筆談で話しているの。
ここに来た当初は、父に連れ戻されるんじゃないかしら、夫が来るんじゃないかしらって、毎日怯えていたわ。
でも、父も夫も、一度もここへは来ていないの。
「来たら離婚すします」と母が言ったから。
父も婿養子だから、そこまで言われたら、どうしょうもないのね。
「ゆり、一緒に外に出てみましょうよ」
母があんまり言うものだから、外に出てみる事にしたわ。
【石畳の町】
また過去世が見える…石畳に城壁…
鎧を着て馬に乗った騎士…ジャックだわ…
過去世の洸貴さん…
どこに居ても、彼を忘れる事なんて出来ない。




